ついに6年目を迎えるミハイロ・ペトロヴィッチ監督
・ミハイロ ペトロヴィッチ監督との契約更新が昨日公式発表されました。ルヴァン杯優勝直後に新聞辞令が出まくっていたので「続投」はサプライズでもなんでもなく、「正式にはまだ決まっていなかったのか?」と思ったのが正直なところ。途中がっかりさせられた面も何にしもあらずですが、今年のパフォーマンスを見れば続投決定は当然すぎるくらい当然の判断でしょう。
・昨年と比較すると、天皇杯を除いてすべてのタイトルレースで成績改善。
◇リーグ戦:
年間勝ち点:72→74
年間勝ち点順位:2位→1位
得失点差:+29→+33
得点:69→61
失点:40→28
◇ACL:グループリーグ早期敗退→ラウンド16進出
◇ルヴァン杯:準々決勝で惨敗→優勝
◇天皇杯:準優勝→4回戦敗退
・ミシャ最大の難点だった「無冠」もついに払拭。チーム目標に掲げていた「年間勝ち点1位」も成し遂げました。
・昨年優勝を争った広島が今年勝ち点を大きく落とし、今年躍進した川崎は昨年の成績がぱっとしなかったことを思えばミシャが2年連続して勝ち点70超の成績を残しているのは驚異的としか言いようがありません。しかもACLを捨て試合同然の扱いにしてしまう広島と違って、ACLでも最低限の結果を残しながらリーグ戦で好成績。
・昨年「ミハイロ ペトロヴィッチ監督との契約更新に想う」でミシャに対する個人的な不満として
(1)ローテーションがとにかく下手
(2)使える選手層が一向に厚くならない
(3)戦況に応じた選手交代が下手
の3点を上げましたが、いずれも5年目になってようやく改善方向に向かいました。
・五輪期間に興梠&遠藤が離脱、ルヴァン杯では代表組(西川・槙野・柏木)が離脱しても普段の控え組がその穴をきっちり埋め、高木のようにそのままスタメンに定着してしまう選手が出たり、逆に遠藤が一時スタメンの座を失ったりして競争が激化。過去4年を比べて選手層が厚くなったのは一目瞭然で、それゆえ「スタメン固定→スタメン組の疲弊によってリーグ戦終盤失速」というミシャ鉄板コースを避けられたのでしょう。
・もっとも控え組の奮闘はミシャ以上に遠藤不在時の那須の活躍が大いに寄与したような気もします。大ベテランが出番のない時でも研鑚を怠らず、ようやく巡ってきたチャンスで万全の働きを見せる。また平川なんてちょっとしかなかった出番で一発で大仕事をやってのける。ああいう姿を見て前半戦さっぱりだった高木や駒井は大いに刺激を受けたのでしょう。
・また森脇なり柏木なり、昨年までのミシャならどんなに不調でも使い続けたであろう選手を今年は早い時間帯に代えてしまうこともあり、依然テンプレ傾向が強いとはいえ選手交代も多少マシになりつつある模様。
・戦術のバリエーションに乏しいのがミシャの難点ですが、ミシャなりに微調整が上手くなってきた模様。神戸との3連戦でリーグ戦で盛大に自爆した失態を受け、続くルヴァン戦で完勝したのがその好例。
・守備構築が上手くないどころか、そもそも無関心とすら思われたミシャなのに、今年になって失点が激減したのにはびっくり。「素早い攻守の切り替え→高い位置でのボール奪回」とリトリート守備との使い分けが見事に奏功。遠藤加入で最終ラインの押し上げ=コンパクトな布陣維持がやりやすくなったのが失点激減に寄与したのかもしれませんが、とにもかくにも失点が激減。そもそもシュートを撃たせない、撃たれても西川がいるという真田丸状態。
・FCソウルに激闘の末PK戦で敗れ、どう見てもヘロヘロなのに全く同じスタメンでアウェー鳥栖戦に臨んで案の定クソみたいな内容でスコアレスドロー。逆にG大阪戦では石原や加賀を突然起用したり、広島戦では駒井をボランチ起用したりと大迷走を繰り返して3連敗を喰らった際には、「今季の成績如何に関わらずミシャは今年限り」と思いました。
・ところが終わってみればミシャのパフォーマンスはここが底で、前述のようにミシャの難点は明らかに改善傾向。よってミシャ続投は当たり前すぎるくらい当たり前でしょう。
・ミシャがここ5年間でかき集めた選手達が続々30歳代に突入する来年は世代交代が現実的な課題に。またミシャのスタイルが特殊であるがゆえに「ポスト・ミシャ問題」の解決は容易でありません。もっともこれらの課題はミシャではなくフロントに突きつけられたものでしょうが。
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