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2016.11.30

【TV観戦記】16年CS決勝 第1戦:鹿島 0-1 浦和 ~ ミシャらしからぬ実利最優先の闘いぶりで虎の子の1点を守り切る

・57分にPKで得た得点を守り切ってCS第1戦はアウェーで勝利。第2戦は引き分け以上なら当然、今季のレギュレーションでは0-1での敗戦(合計スコア1-1)でも延長戦はなくてそのまま浦和優勝となるので、目下の情勢は浦和やや有利。第1戦の結果はほぼ満点といって差し支えないでしょう。

・ただ試合内容は全く浦和らしくありませんでした。特に攻撃面で浦和らしさ、いやミシャらしさが垣間見られたのは序盤にちょっとあっただけ(左右からクロスが入った場面)。ほとんどの時間帯で全員が走り回って守備をしていたような試合、負けないことに徹していた試合と総括してもいいくらい。

・H&Aで決まるCS決勝。第1戦で事実上勝負がついてしまうような事態だけは絶対に避けなければならない。浦和はアウェーゴールが取れるに越したことはないが、攻め急ぐあまりにカウンターを浴びて次々失点しては元も子もない。さらにいえば浦和は12日に天皇杯4回戦を闘ってから2週間以上も試合がなく、試合勘が懸念される状態。

・よって第1戦でいきなり好調時の出来を引き出すのは難しく、出来が悪い時なりの闘い方をやるしかない。それゆえミシャは「第1戦はスコアレスドローでも構わない」とばかりにかなり守備に重きを置いた試合を選択し、その意図は選手達にもしっかり浸透していたように伺えました。

・ミシャは概してロマンチストで常に攻撃的、華々しい闘い方を好み、悪く言えば状況如何に関わらずいつも同じような派手な試合を指向してしまう。そしてミシャをあざ笑うかのようなリアリズムの前に何度も苦汁を舐めされられ、タイトルに手が届かずにいた。そんなミシャが実利最優先の試合運びができるようになっただけでも大いなる驚き。そしてスコアレスドローでも構わないとの想いで臨んだ試合なのにPKによる1点で勝利が転がり込むとは!! 

・もっとも第2戦で鹿島が2点以上取って勝つ可能性も少なからず残されており、阿部キャプテンが試合後に「もう1試合あるので、まだ何も決まっていません。」としっかり締めるのも道理。放牧から戻り、第1戦でひと叩きした浦和が続く第2戦でホーム埼スタで鹿島に「浦和らしさ」を存分に見せつけて快勝してくれれば言うことありませんが、確実に実を取りにいった第1戦の試合運びを見ると第2戦も案外渋い試合になってしまうかもしれません。でも久しぶりのリーグ優勝奪還のためにはそれもまた良しでしょう。

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・懸念された浦和の試合勘。少なくともぼんやり&ふわっと試合に入ってしまい、集中力に欠けたとか玉際が弱かったとか、そういう意味合いでの「試合勘のなさ」は全くなく、むしろ上々の出来だったと思います。よってミシャはこの長い中断期間中にモチベーションの維持には成功したといって良いでしょう。

・ただ縦パスと言い、サイドチェンジといい、コンビネーションプレーといい、浦和らしい攻撃を形作る諸要素の精度は壊滅的でした。この辺が試合勘のなさなのでしょう。長い中断期間中に大学生相手にしか練習試合が組めなかったのがモロに響いたのかもしれません。

・鹿島は2トップ&両SHが前から積極的にプレッシャーをかけてのショートカウンター狙い。前でボールが奪えなければしっかり引いて守備ブロックを形成(時にボランチの一方が下がって5バック気味に)。浦和はビルドアップに苦しみ、序盤こそサイドから可能性のあるクロスが入りましたが、その後はほとんど攻撃の形を作れず。40分過ぎにぽっかり空いたバイタルエリアを阿部が使って武藤が枠内シュートを撃ったのがこの日流れの中からでは唯一の決定機。

・鹿島の浦和対策が見事に奏功したという見方もできますが、前述のようにスコアレスドローでも構わないと割り切った浦和が無理をしなかったと見てもいいでしょう。浦和は長短とも縦パスの精度がイマイチで、鹿島のショートカウンター狙いに嵌りかかる場面もなくはなかったのですが、ボールを失ってからの攻守の切り替えが滅茶苦茶早かった! 鹿島のカウンターを早めに潰せたため、前半の鹿島はなんとシュートゼロ。

・浦和最大のピンチは50分、浦和右サイド深い位置で遠藤航が鹿島のプレス網に引っかけられたのを機に遠藤康に決定機を許してしまいましたが、西川が前に出て好セーブ。その後直後にも浦和がボールを繋ぎながらも攻めきれずにカウンターを喰らいかかって、阿部が金崎をイエロー覚悟で止める一幕も。

・試合の流れが鹿島に傾きかかりましたが、先制したのは浦和。柏木のクロスに反応した興梠を西がエリア内で後ろから倒してしまってPKの判定。ボールへの競り合いでもなんでもないところで西が興梠を倒しているのを家本主審がしっかり見ていました。阿部がゴールど真ん中に決めて浦和先制。

・鹿島はすかさず中村→柴崎でサイドからの攻勢を強め、その後の浦和は防戦一方に。ミシャは駒井→関根でサイドからの反撃姿勢を見せてはいましたが、カウンターが成り立ったのは関根に一回あっただけ。それもクロスが相手に引っかかってシュートに至らず。

・武藤→青木の交代以降は前三人も守備に走り回っているだけになってしまい、当然ながらボールを奪ってもただ前に蹴りだすだけに。随分自陣深い位置でのFK&CKを与えてしまい、CK→金崎ヘッド、ATには柴崎→土居ヘッドでヒヤリとした場面もありましたが、それでもなんとか逃げ切りに成功。

・鹿島は2ndステージの不振なんてどこへやら。CS準決勝では内容度外視=ワンチャンスで得た1点を守り切るという鹿島らしい試合運びで川崎を退けました。しかし、その試合運びをまさかホームで浦和にやられるとは思わなかったでしょうなぁ(笑)

-----興梠-----
--武藤----李---
宇賀神-阿部-柏木-駒井
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----

得点:57分 阿部(PK)

68分 駒井→関根
74分 武藤→青木(柏木がシャドーに上がる)
81分 興梠→ズラタン

・高木がベンチスタートになり、久しぶりに李がスタメン復帰。高木はリーグ戦終盤明らかに調子を落としており、守備もサボり気味だったので、守備的に入るという趣旨では妥当な選択でしょう。

・また宇賀神が左WBに戻ったのはともかく、右WBには関根ではなく駒井を起用。駒井は序盤こそ攻撃に絡んでいましたが、その後は完全に山本に封殺されてしまいました。関根は左右ともこなせるので第1戦はあえてベンチスタートにしたのかもしれませんが、第2戦は中3日なので関根がスタメンでもなんら不思議はありません。

・天皇杯で不振を極めたズラタンは81分に登場。1トップではなく左シャドーに入ったように見えました(李が1トップ)が、試合の流れに呼応して専ら守備に奔走。おそらく鹿島の放り込み攻撃に対する防波堤代わりの投入なんでしょうが。

---金崎--土居---
中村--------遠藤
--小笠原--永木---
山本-昌子--ファン---西
-----曽ケ端----

62分 中村→柴崎
80分 遠藤→ファブリシオ
89分 小笠原→伊東

・鹿島はCS準決勝川崎戦から左SHファブリシオを中村に代えただけ。怪我明けの柴崎はベンチスタート。

・FW鈴木優は小破したようでベンチ外。このためビハインドに陥ったにも関わらず鹿島は攻め駒不足でした。

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