【観戦記】16年2nd第17節:浦和 1-1 横浜M ~ 逃げ切りに失敗してすっきりとはしないものの、年間勝ち点1位を確保し真の王者に!
・浦和が相手を押し込んでいるものの横浜M(以下「鞠」)の堅守を崩しきれないまま時間が経過。スタジアムが沸き返る場面が少ない「塩試合」ぽくなってしまったという意味では鞠ペースの試合だったかと思います。ただ鞠の攻め手は極端に少ないので、浦和が先制さえすればそのまま逃げ切り勝ちできたはず。
・しかし、待望の先制点を得たにも関わらず逃げ切りに失敗。幸い同日川崎がG大阪に逆転負けを喫したために浦和の年間勝ち点1位が決定し、最後の最後で川崎に差し返されてしまう最悪の事態は免れてスタジアムにはどことなく安堵の空気が流れてはいました。とはいえ、勝ってすっきり決まったわけでもないのでお祭り騒ぎにもならず。
・年間勝ち点1位を確保してクラブとしての目標は達成したけれども、それはタイトルでもなんでもない。公式にタイトルとして認められるためにはCSを勝ち抜かなければならない。そんな現実を前に「喜びの持って行き場がない」という珍妙な最終節でした。
・戦前鞠が4-3-3を採用すると報じられていましたが、確かに攻撃時は喜田アンカーの4-3-3っぽい感じ。しかしそんな時間帯は非常に少なく、守備時は両WGとIHの片方(主に兵藤)下がって4-4-2を形成している時間のほうがはるかに長く、基本の4-2-3-1の両SHが下がるのと大差ないかと。
・新潟や磐田と違って、浦和に簡単にロングボールを蹴らせないように前からプレッシャーをかけてきてはいましたが積極的にショートカウンターを狙うほどではなく、基本的にはリトリート主体の守備。1トップの富樫すら自陣にいましたから、鞠はドン引きに近いと言って差し支えないかと。
・割り切って守備を固めて来た鞠は実に手強く、前半の浦和は全くといっていいほど攻め手を見いだせず。中央を無理にこじ開けてカウンターを喰らう愚を避けるため、浦和の攻撃はサイド中心。それもクロスは鞠守備陣に弾き返されるのがほとんどで森脇クロス→興梠ヘッドと森脇クロス→GKが弾いたこぼれ玉を高木が巻いてシュートを放ったのが惜しかったくらい。これ以外の決定機は高木のFKだけ。
・しかし鞠の攻撃は浦和以上に悲惨。鞠はそもそもボールを奪う位置が低く、しかもビルドアップがそんなに上手くないので、浦和のプレッシャーを交わせずにしょっちゅうボールロスト。ところがボールを失った後の鞠の攻守の切り替えが速いことも相まって浦和はショートカウンターのチャンスを活かせず前半終了。
・鞠は何の役にも立たなかった富樫に代えて頭から伊藤を入れ、前半よりは目に見えて攻勢に転じてきましたが、鞠の攻め手のなさは絶望的で立ち上がりに斎藤が単騎カットインして見せ場を作っただけ。結局後半も浦和が押し気味に推移。
・鞠の守備網が前半よりは多少ルーズになり、バイタルエリアが空いて来たためか、関根・駒井、さらに途中投入の李が立て続けにエリア内からシュート。さらに李との壁パスで中央突破に成功した関根のシュートのこぼれ玉を柏木が詰めてついに浦和が先制。
・先制された鞠の攻撃はほとんど体をなさず、斎藤が破れかぶれ気味にミドルシュートを放っただけ。モンバエルツ監督は遅まきながらマルティノスや遠藤とスピードがある選手を入れてきましたが、不意にカウンターを喰らって裏を取られさえしなければ何の問題もなく、実際引き気味に構えてスペースを消しながら守っていたはずなのに、残り5分でまさかの失点。
・浦和のスローインだったのに駒井がボールを失ったのがケチのつけ始め。マルティノスにスルーパスを出されたのはやむを得ないにしても、マルティノスを槙野と関根が挟む格好で対峙しており、より体勢が良い槙野は最悪イエロー覚悟で止められたはず。しかし、槙野が減速して関根に任せてしまう謎の行動。これはいったい何なのか??? ここで2ndステージ3枚目のイエローをもらうとCSに出られないと勘違いしたのか???
・また試合後の報道で判明したことですが、試合中川崎が逆転されたのを知っている選手と知らない選手がいたこと。つまらないボールロストを犯した駒井は「知らなかった」派。ATも終わり頃になって西川が時間を稼ぎ出したので、その頃には超遅まきながらベンチからはっきりとした指示が出たのかもしれませんが、槙野の謎行動と言い、方針をはっきり指示しないベンチワークと言い、なんか最終節になって浦和伝統の「脇の甘さ」が顔をのぞかせたような気がしてなりません。こういうのは短期決戦では命取り。
・天皇杯や代表戦を挟む関係でリーグ戦最終節からCS決勝戦までひと月近く間が開き、興行的にはいかにも間延びというかマヌケなスケジュール設定。途中一応天皇杯があるとはいえ妙に間が開いて選手のコンディション調整も一苦労だとは思います。
・ただルヴァン杯決勝の激闘によるダメージは殊の外大きく、その後のリーグ戦3試合の内容が低調だったのは確か。よってこの中断期間をリフレッシュ期間として前向きに捉えることもできましょう。調整が難しいとはいえ、11日間で3試合をこなす羽目になった川崎or鹿島よりは日程上有利なのも確かなので、中断期間中はあれこれ細かいことを気にせずに良い意味で悠然、泰然と構えてCS決勝を迎えるのが吉かと。
-----興梠-----
--高木----武藤--
関根-阿部--柏木-駒井
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----
得点:66分 柏木
58分 高木→李
70分 武藤→青木(柏木がシャドーへ上がる)
81分 興梠→ズラタン
-----富樫-----
齋藤-天野--兵藤-前田
-----喜田-----
金井-パク---中澤-小林
-----榎本-----
得点:85分 マルティノス
HT 富樫→伊藤
70分 天野→マルティノス(前田がIHへ)
80分 前田→遠藤
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