新加入選手会見&背番号発表も済み、どうやら浦和の今オフの補強は打ち止め臭いので、それに関する雑感をまとめておきます。ポイントは
(1)昨オフに続き今オフも世代交代を強く意識した補強
(2)目先の戦力底上げとしては力不足
(3)DF補強が薄いのは謎
の3点。
(1)昨オフに続き今オフも世代交代を強く意識した補強
・今オフ獲得した選手はGK榎本を唯一の例外として、いずれも20代前半~半ばの選手。昨年遠藤・駒井・福島を獲得した流れと軌を一にしています。浦和の主力選手は20代後半から30代に偏在しており、その後はポーンと高木&関根まで飛んでしまうため、スムーズな世代交代を企図して20代前半~半ばの選手を続々獲得しているものと目されます。しかも、その補強方針にブレがない点は高く評価していいと思います。
・強いて難癖を付ければ、早晩世代交代の時がやってくるであろうキャプテン阿部の後継者がはっきりしないこと。駒井、矢島、長澤、菊池と前所属チームで必要に応じてボランチをやっていた選手こそ何人もいますが全員攻撃的で、阿部とはプレースタイルが違いすぎます。青木が当面後継者扱いなんだろうと思いますが。
(2)目先の戦力底上げとしてはいかにも力不足
・今季の補強選手の顔触れを見ると、J1で文句のない実績があるのは榎本とラファエル・シルバのみ。しかも、その両名をもってしても現在のレギュラー陣からポジションを奪えるかとなると疑問符が付きます。少なくとも昨オフの遠藤のように加入後即レギュラー入りが期待される補強はなかったと思います。言い換えれば、今オフの補強はベンチメンバーの入れ替えに留まったと評さざるを得ません。
・もっとも今オフで浦和を去った、あるいたレンタル移籍となった選手はいずれも昨年浦和でほとんど出番がなく、主力の流出といえるような移籍は全くありませんでした。従って今オフのIN&OUTで戦力がダウンしたとは思いません。
・また、2015年加入の武藤のように前所属チームではイマイチでも浦和で大化けして早くからレギュラー陣に加わる例があり、高木や駒井のようにやや時間がかかりながらもレギュラーを脅かす存在になる例もあります。これまでの選手補強に関するミシャの慧眼を見れば、新加入選手の中から何人かが「予想外の活躍」を見せてくれるのかもしれず、今オフの選手補強を「小粒」と断じてしまうのはどうかと思います。
・とはいえ、新加入選手がミシャ流にフィットするにはある程度時間がかかります。遠藤のようにあっという間に馴染む選手もいれば、橋本のように全く馴染めないまま終わる選手もいます。新加入選手が戦力化するスピードより、浦和のレギュラー陣が老朽化するスピードが速ければ、浦和は思わぬ低迷期に突入するかもしれません。
・30代の選手が多くなってきたとはいえ老朽化にはまだ時間があると判断して、あえて即効性のある補強をしなかったのでしょう。また即効性のある補強をしたくても、浦和には損失補てんができるスポンサーがおらず財政的に無理が出来ないので、たまたま「移籍金0円」案件が転がっていないそのような補強は案外難しいのかもしれません。
(3)DF補強が薄いのは謎
・永田&加賀とDFの控えを2枚放出したのに、補強したのは田村の1枚のみ(しかもレンタル)。てっきり岡本を湘南からレンタルバックするものだと思っていたら、なんと岡本はレンタル延長。
・永田も加賀も昨年ほとんど試合に出ていないので実質的な戦力ダウンではありませんが、現在最終ラインで信頼できる駒は槙野・遠藤・森脇・那須の4枚のみ。緊急時は宇賀神ないし阿部をCBに下げる手しかなく、ACLがあることを思えば控えの層が薄いのは明々白々。
・福森@札幌の獲得に失敗したのが響いているのかもしれませんが、J1で全く実績がない福森に多くを期待するのも珍妙な話。ひょっとすると昨年怪我がちでベンチ入りすらままならなかったイリッチの「かいしんのいちげき」的な確変に賭けているのか(;゚Д゚)
・日本人CBに目ぼしい選手がいないのであれば、アジア枠でCBを採っても良さそうなのですが、ここは人脈が全くないからのか、スピラノビッチがミシャに合わずに退団して以降全く動きがありません。この点はCB補強に限ったことではなく、人的リソースをわざわざ限定しているようにも思えて残念です。