【展望】17年第3節甲府戦
・過酷な5連戦が終わって、久しぶりに中6日空いての甲府戦。もっともここで一旦リフレッシュできるほど試合間隔が空いているわけではなく、案外調整が難しいのかもしれません。昨年事実上の消化試合と化したホーム浦項戦でレギュラー陣をごっそり休ませて中4日で続く大宮戦に臨んだものの、一度緩んだ心身はなかなか戻らないのか選手の動きはイマイチで、一番マシだったのが浦項戦もスタメン出場した柏木だったという惨状を思い出さずにはいられません。
・しかも相手は伝統的に「どんな試合でも引き分け上等!」「リアル人は石垣、人は城」で試合に臨んでくる甲府。およそ負ける相手ではないが、簡単に勝てそうにもないという面倒な相手で、まだまだクソ寒い時期のナイトゲームという悪条件に重ねてとんでもない塩試合、塩の山また山を見る覚悟が必要です。
(戦力)
・ここ数年降格が現実味を帯びてくるやいなや颯爽と「退き佐久間」が現れてなんとか残留を果たすパターンを繰り返してきた甲府。昨年は珍しく佐久間氏が通年で監督を務めて怪我人だらけの苦しい台所事情ながらまたまた残留に成功。
・ところが、今季新たに招聘したのはなんと教え子だらけの柏ですら成績はぱっとせず、翌年新潟でも大方の予想通り大失敗して残留争いにどっぷり浸かった吉田監督。甲府といえども「リアル人は石垣、人は城」戦法は本意ではないのか、傍目にはポゼッション重視のサッカーを夢見ているように伺えます。しかし、バレーをぶっこ抜かれた大木後期以降その路線は成功した試しがなく、またしても「退き佐久間」が登板する気がしてなりませんが。
・甲府得意の外国人ガチャ(滅多に当たらないので、だいたい夏にもう一回ガチャ)を今年も敢行。もっとJ1で実力証明済みのウイルソン(仙台)を採ったのが例年と違うところで、昨年残留の立役者となったドゥドゥと並ぶ前線はそれなりに面倒。他にFWガブリエル、DFエデル・リマを獲得って甲府はブラジル人ばかり4人おるやん! 但し、ドゥドゥとエデル・リマは故障して3月頭に全体練習に復帰したばかり。
・っちゅーか、バランスを考えると途中でまたまたマルキーニョス・パラナを呼び戻す羽目になるんじゃないかな??? 繁忙期にだけやってくる凄腕のパートのおばちゃんみたいなマルキーニョス・パラナを。昨夏に急遽獲得したダヴィは輝きを取り戻せずにお役御免。ダヴィのキャリアは名古屋へ移籍して以来実に波乱万丈。
・他はMF稲垣が抜けた(またしても広島が強奪!)代わりに堀米が京都から戻ってきたのが目立つ他、小椋(G大阪)、兵働(水戸)といったベテランをかき集め。両ベテランとも開幕からいきなりスタメンで出ているのがいかにも甲府。
(戦術)
・前節鹿島戦を観ましたが、さすがに監督が代わったばかりなせいか、甲府のスタイルに極端な変化は見受けられず。極力最終ラインを押し上げ、攻守を素早く切り替えて高い位置でボールを奪いに行こうという意図は見て取れましたが、鹿島相手だとそう簡単にボールは奪えず、結局自陣に押し込まれる時間帯が長くなるいつものパターン。
・守備時は両WBが下がって5-3-1-1。3ボランチの一角にボール奪取特化型の小椋がおり、大ベテランの兵働や和製ケンペス田中共々走り回っていて結構面倒ですが、終盤息切れ。過密日程の鹿島より先にバテるのはいかがなものか。またウイルソンはあまり守備をしないみたいで、その分相方(堀米)が前目の守備に奔走せざるを得ず、その負担が大きそう。
・攻撃は現状サイドに流れているウイルソンへの縦ポン&独力打開頼み。それでもウイルソンはスピードがあり、DFが脆弱だと弾き飛ばしてそのままGKと一対一になれる能力があるので油断できません。ただウイルソンがサイドで縦に走ってチャンスメークしても、中に飛び込む選手が少ないのでなかなかフィニッシュに至らず。
・また甲府がボールを持ったところで、ラストパスやクロスの精度が低いのでこれまたフィニッシュには至らず。鹿島戦のシュートはわずか2本。しかも1本はウイルソンのPK失敗。
・ウイルソンがハイボールに競り勝ってのこぼれ玉を他の選手が拾うのも狙いの一つのようで、鹿島戦ではこのパターンで試合終了間際にPKを拾いました。
・吉田監督は新潟では基本4-4-2ながら、浦和戦では守備時には右SHが最終ラインに下がって5-3-2の守備ブロックを作る可変システムで対応していました。今回は最初から5-3-2なので、浦和戦に向けて特に変わったことはしないでしょう。
(浦和の対応)
・C大阪戦から中6日と若干間が空いたとはいえ、甲府戦の後は中4日でアウェー上海上港戦、さらに中3日でアウェーG大阪戦と続くため、この3連戦をひとまとめにして人繰りを付ける必要があります。恐らくアウェー上海上港戦が最も手強くと睨んで、ここはアウェーWSW戦同様昨年の基本メンバーで臨み、そこから逆算して甲府戦は若干メンバーを入れ替えるものと予想します。
・おそらくC大阪戦お休みの駒井がスタメン出場するのは間違いないでしょうし(ここまで使い詰めの宇賀神がお休み)、ラファエルが1トップに入る可能性も高いと思います(興梠ないし武藤がお休み)。さらに那須をスタメン起用して遠藤ないし森脇を休ませてもなんら不思議はないでしょう。
・横浜M戦で無理使いしたのが祟って再び戦線を離脱した柏木が戻れるようなら青木がいったんお休みになるのも確実。もっとも柏木が戦列を離れている間に青木の台頭が著しく、柏木の位置づけはちょっと微妙になってきました。
・いつものように浦和がボールを保持するものの、甲府の守備ブロックの前でぐるぐるボールを回すだけで決定機が掴めないという試合展開になるかと思いますが、いままでの甲府と違ってなにせウイルソンが強力。浦和が不用意に前がかりになったところ、あるいはリスク管理がおろそかになった隙に甲府の縦ポン一発でウイルソンが浦和最終ラインを抜け出して西川と一対一になる地獄絵が嫌でも目に浮かびます。森脇の裏なんて徹底的に狙われるかも。
・浦和がコンビネーションでの打開に拘って甲府の守備ブロックに引っかかり続けるというのが「甲府戦あるある」なので、なんだかんだとラファエルの「一人で出来た!」が一番有効な気がします。鹿島戦でも金崎やPJの個人技でやられかかる場面が結構ありましたし。甲府の最終ラインが下がりすぎてバイタルエリアが空いた隙にミドルシュートをずどーんというのがあればなお良いのですが。
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<前節:甲府 0-1 鹿島>
---ウイルソン--堀米---
--田中----小椋--
橋爪---兵働---松橋
-新里--山本--新井-
-----岡------
55分 堀米→河本(足が攣った?)
75分 兵働→黒木
88分 橋爪→道渕(田中が左WBへ)
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