【観戦記】17年第5節:神戸 1-3 浦和 ~ ネルシーニョが憑依したかのように冴えわたるミシャ采配!
・予想通りの形とはいえ前半は神戸にしっかり守り倒され、神戸の狙い通りにカウンターを喰らいかかる場面もあって苦戦。しかし後半早い時間帯にミシャが駒井ボランチ投入という奇策を発動して停滞した戦局を一気に打開。もっともボランチ駒井は過去何度か試行していますから「奇策」とまでは言いきれないかもしれませんが。
・選手交代による戦局打開はネルシーニョが最も得意とするところ。一方ミシャの選手交代は予定されていたかのような、しかも判で押したようなケースが多く、ネルシーニョのような戦術的意図を持ち、かつ相手の意表を突くような交代はおよそ期待薄と思っていただけに、「ボランチ駒井投入」という奇策を発動し、しかもそれが見事に嵌るとはビックリ!
・駒井を準備しているのが判った時、てっきりWBを代えて駒井のドリブルで対面の相手をぶち抜くことで局面打開を図るものだと思い込んでいましたが、そのドリブルを中央で縦に持ち上がる、縦への推進力を加えるほうに使うとは!
・そして駒井投入に伴いシャドーに上がった柏木が大活躍。試合結果への貢献度からいえばシャドー柏木のほうがはるかにでかいのですが、単に柏木をシャドーに上げるための選手交代であれば、これまでのテンプレミシャ采配なら武藤→青木だったはず。しかしミシャが青木ではなく駒井をチョイスしたのがミソでしょう。ボランチの一角として駒井のチョイスがありともなるとここのポジション争いは格段に厳しくなり、長澤や矢島はかなり辛い立場に。
・しかし2点リードした後の試合運びはいただけません。神戸の攻撃はカウンター頼みで先制点を取られると苦しく、セットプレーしか得点の気配がなかったので2点リードすれば楽勝だろうと思っていたのに、興梠がまさかの凡ミスでつまらない失点を喫してまたしても完封に失敗し、その後もドタバタ。幸いATになってカウンターが嵌って事なきを得ましたが、帰りの駅弁は全部興梠の奢りにしてもいいのではないかと(苦笑)。
・勝つには勝ちましたがしんどい試合でした。神戸は基本4-4-2ながら、守備時には右SH小林が最終ラインに下がって5-3-2、さらに田中順も右SHに下がって5-4-1っぽい格好で高めの位置に守備ブロックを敷く構え。浦和の前3人&両WBには神戸の5バックがべったりマンマーク気味に貼り付き、浦和の最終ラインなりボランチなりには神戸がしっかりプレッシャーをかけ、ボランチもパスコースを限定してビルドアップを妨害。
・予想通りの形とはいえ、浦和は前半ほとんど何もできませんでした。無理に縦パスを入れよと知れば神戸のカウンターの餌食。それゆえ攻撃はサイド頼みにならざるを得ず、そのサイドでも対面の相手をぶち抜けずに苦戦。縦ポンで神戸最終ラインの裏狙いも散見されましたがさしたる効果なし。前半の浦和の好機といえば立ち上がりに宇賀神スローイン→李→阿部のエリア内突入があったくらい。神戸のカウンター狙いにずっぽり嵌り、その精度の低さ、迫力のなさに助けられているだけという内容で前半終了。
・これではハーフタイムにミシャが怒り狂うのも道理。ミシャに発破をかけられて後半の浦和は停電で消えたままの電球が点いたり消えたりくらいの状態にまで戻ってはきましたが、浦和も神戸も攻めきれない状況は相変わらずで試合はちょっと塩加減。そこで飛び出したのがミシャの奇策。
・先制点は森脇→興梠が岩波に貼り付かれながらも柏木にヒールで繋いだところから。柏木は4人もの相手に囲まれながらも2回フェイントをかましてゴール!柏木に付いていたはずの峻希は柏木に言いようにやられた格好。もっともより責められるべきなのは峻希よりも、調子こいで不用意に浦和のパス回しに食いついてしまい、バイタルエリアをがら空きにしたニウトンなのかもしれませんが。
・2点目は柏木CK→遠藤ヘッド。ゾーン守備の相手に上手く後方から飛び込んだもの。上海上港戦での初ゴールはどさくさ紛れっぽかったのに対して、今回は文句なし。
・2点リードした時点でミシャは守備固めの趣旨で青木なり那須なりを入れて駒井をWBに出すものと思っていましたが、なぜか守備に不安がある駒井ボランチを継続。もっとも神戸の攻撃に迫力がないので駒井ボランチのままでも差し支えなく、セットプレー対策を兼ねてズラタン投入だけで十分と思ったのかもしれません。実際神戸のセットプレーは厄介で、藤田FK→ニウトンヘッドがポストを叩いて冷や汗をかかされました。
・ところが失点はセットプレーではなく、なんと浦和の自爆。興梠の緩いバックパスを渡邉に掻っ攫われるというマヌケ極まりないところから中坂に繋がれて失点。この失点を受けてミシャはようやく那須を投入。那須がボランチではなく遠藤がボランチに上がったのには驚きましたが、変に最終ラインを弄ったのが良くないのか神戸に傾いた流れは変えられず。AT突入直前に那須がエリア内で渡邉に交わされる大ピンチがありましたが、シュートはコロコロと枠外へ。
・もっとも自爆したのは浦和だけなく、神戸も最後にぽちっとな。自陣からのFKが直接興梠に渡ってしまう大失態。神戸はキッカー以外全員敵陣にいたのでどうしようもない。興梠は追いすがる峻希を振り切ってヒールで宇賀神へ。宇賀神が豹変したかのような絶妙なクロスを柏木に送り、柏木が角度のないところからきっちり決めてダメ押し。
・リーグ戦で神戸にアウェーで勝ったのはなんと10年ぶり。しかもその10年前は会場がユニバーだったので、ノエスタでの勝利となるとなんと2005年まで遡ります。新神戸駅からの帰路が心地いいってそりゃ記憶にないはずだわ・・・
-----興梠-----
--武藤----李---
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----
(得点)
61分 柏木
64分 遠藤
90+2分 柏木
(交代)
59分 武藤→駒井(柏木がシャドー、駒井がボランチへ)
68分 李→ズラタン(ズラタン1トップ、興梠がシャドーへ)
82分 関根→那須(遠藤がボランチ、那須がリベロへ)
・ラファエルが小破して、スタメンはリーグ戦では今季初のKLM。各々神戸にべったりマークに付かれて苦しみましたが、特に苦戦したのが峻希に貼り付かれた武藤。何もできないまま交代を命ぜられ、しばらくベンチでうなだれていました。
・西川の不振は深刻。キック精度がガタ落ちなのは相変わらずで、この日は飛び出してクリアできずに交わされるという今まで見たことない失態。西川の代表明けは概して良くないのですが、ここまで落ちるとは・・・
---渡邉--田中順--
大森--------小林
---藤田--ニウトン---
松下-渡部-岩波-高橋峻
-----キムスンギュ----
(得点)
81分 中坂
(交代)
66分 田中順→大槻
70分 大森→中坂
81分 ニウトン→高橋秀
・橋本がなぜかベンチにもおらず(闘莉王状態か!)、左SBは松下を起用。本職でもなんでもないはずですが、対面の関根に対峙して特段破綻なし。
・神戸の守備は非常に強固で前半はやや神戸ペース。それでもPJ離脱&レアンドロ長期離脱の打撃は深刻で、さらに田中順が今のところ期待外れ。とにかくカウンター時の精度&迫力がなさすぎました。神戸が真価を発揮するのはポドルスキが加わってからになるのかな?
・前でボールが収まった際にたまに峻希が攻撃参加。浦和はエリア内に入ってきた峻希への対応にかなり苦労していましたが、残念ながら好機でシュートを空振りする峻希でした。
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