【TV観戦記】17年第9節:大宮 1-0 浦和 ~ 他サポの皆さん、喜んでいただけましたか?(稲川淳二風)
・首位vs最下位。ダントツの得点力vs柏木一人にすら及ばない得点力。GGRなんて大宮戦をすっ飛ばして鹿島戦の煽りPVを作る始末。置かれている状況が違い過ぎて、大宮に負けることはまず考えられない。誰もがそう思っていたであろう今年の「さいたまダービー」ですが、やはり「ダービー」は魔物でした。
・どんなに大宮がしょっぱい状況に置かれていようが、なぜかダービーだけは豹変する。悪く言えば負けてもともと、負けたところでなんら失うものがない立場の大宮。そんな大宮が日頃の不振もなんのその、ダービーだけは必勝の信念をもって全力を振り絞って挑んでくるのに対し、浦和は勝って当たり前で、たかが年間34試合のうちの1試合と考えているような選手が少なからずいる。そんな気魄の差が往々にして浦和の凡ミスを誘発し、「ウノゼロ」という典型的なアップセットスコアを招いてしまう。
・気魄という精神的要因で片づけてしまうのはどうかと思われるかもしれませんが、具体的には球際の競り合いで浦和の劣勢は顕著でした。後半頭から投入された大山なんて同年代の関根をなぎ倒してましたし。正直西村主審は大宮のラフプレーと思えるような場面でもほとんど笛を吹かずに流し気味だったので大宮はやりたい放題。こういう手合いには浦和はACLで慣れているはずですが、連戦の疲労のためか、あるいは夏日という気象条件が祟ってか、球際での劣勢は最後までどうにもなりませんでした。
・また浦和の気魄不足は前半から顕著。ドン引きの相手に一方的にボールを支配するものの、立ち上がりに槙野→興梠の決定機を作った以降は40分近くまでシュートらしいシュートすら撃てず、腰の引けた闘いぶりに終始。大宮はビルドアップに難があるので、浦和はボールロスト時にいつものように攻守を素早く切り替えてショートカウンターを狙っても良さそうなものですが、そんな様子はあまり感じられず。
・あろうことかエリア内で遠藤が瀬川に交わされ、西川の好セーブで難を逃れた場面に象徴されるように、大宮にしっかり繋がれてごく限られたチャンスでエリア内からシュートを撃たれる始末。前からガーっと行かない割には守備ブロックをしっかり作るわけでないという、いかにも中途半端な守り。
・とはいえ疲労なり気象条件なりを考慮して前半は安全運転、終盤勝負と割り切ってしまうのも一手だろうと思いながら見ていましたが、なんとミシャは後半頭から柏木→青木、さらに53分に武藤→李とまるで選手を急かすような矢継ぎ早の交代。これじゃ前半の安全運転風はなんだったのか???
・しかも後半頭からの柏木→青木という不可解な交代は、試合後柏木小破のためと判明。試合後の監督会見によると「前半の途中から、前の試合(=WSW戦)で打撲を受けた影響があったのか、そういう中で交代させてほしいと申し出てきた」とのことで、要するにミシャが柏木を無理使いして、案の定途中交代を余儀なくされたという失態。
・こんなところで柏木を無理使いして、より重要な鹿島戦の出場が怪しくなるとはミシャも懲りないなぁ・・・ 横浜Mとの開幕戦でも柏木を無理使いした挙句、その後3試合休養を余儀なくされましたが、その失敗をまたしても繰り返すとは。こうなると謎の選手交代以前にスタメン選考自体が敗因の一つになってしまいます。
・「懲りない」といえば終盤のパワープレー紛い。嫌でもCS第2戦を思い起こさせる、何の可能性もないパワープレー紛いをまたしても見る羽目になるとは!!最後までしつこく、粘り強くサイド攻撃を仕掛け続けた挙句1点も取れずに試合終了なら相手があることだからまだ納得できます。ところが、浦和のストロングポイントでもなんでもないところになけなしのチップを叩いて勝負だ!で案の定負けて帰るって、どんだけ博打下手やねん・・・
・興梠は金澤にマークされて前を向かせてもらえないどころか失点に直結する凡ミス。武藤は完全に調子落ち。駒井のシュート精度にはもともと多くを期待できない。そして頼みのラファエルですら好機にミートしきれない、あるいはシュートをふかしてしまっては1点も取れないのは道理。
・そんな試合でもスコアレスドローで終えればまだしも隙を突かれて失点し、そのまま敗戦。しかもその隙はわずかどころか何回もあって、大宮の攻撃力がしょぼくて1点で済んだようにも窺えました。甚だ後講釈にはなりますが、振り返ってみれば敗因はてんこ盛りで、「起こるべくして起こったアップセット」なのかも。
-----ラファエル-----
--興梠----武藤--
宇賀神-阿部-柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----
HT 柏木→青木
53分 武藤→李
66分 宇賀神→駒井(駒井が右WB、関根が左WBへ)
・大宮は基本4-4-2ですが、守備時というかほとんどの時間帯で金澤が最終ラインに下がって5-3-2で自陣に引きこもり。昨年のダービーでは2戦とも4-4-2のままで対峙し、しかもそんなに悪い内容ではなかったので、ここで浦和戦スペシャルを使うのは意外でした。
・もっとも浦和から見れば守備時5-3-2という相手は珍しくとも何ともなく、今年も甲府や神戸と対戦済。ただその両者と比べると大宮は一段と引き気味で攻略がより難しかったのかも。
・浦和はべったりマークが付いた前3人に縦パスを入れられないので、両WBはもとより両ストッパーを盛んに攻撃参加させて専らサイド攻撃。疲労&暑さのためか浦和の動きは芳しくなく、立ち上がりに槙野→興梠ヘッドの決定機があってからしばらく決定機を作れませんでしたが、40分頃になってから槙野→武藤、関根→武藤→宇賀神と良い形が生まれましたが得点ならず。
・頭から柏木→青木、さらに早い時間帯に武藤→李と代えたが共に何の効果もなし。ほぼ自爆のような格好で先制点を取られた後にミシャは駒井を投入し、サイドからいくつも決定機を作りましたが、シュートはことごとく枠外。駒井が好機に打ち上げてしまうのはともかくラファエルすらシュートが枠に飛ばないのには参りました。
・最後は性懲りもなくパワープレーとは名ばかりの単なる放り込みに終始し、当然ながら淡々と跳ね返されて試合終了。
・失点は自陣でフリック失敗という、リターンに見合わないリスクを冒して下手こいだ興梠がもっとも責められるべきだと思いますが、それでもカウンターを喰らった時点でなお浦和守備陣は数的優位。にも関わらず、江坂に3人も寄せてしまって茨田がフリーという失態。さらにニアを抜かれてしまう西川もなんだかなぁ・・・
---江坂--瀬川---
長谷川-------茨田
---岩上--金澤---
和田-河本--山越-渡部
-----塩田-----
(得点)63分 茨田
(交代)
HT 長谷川→大山
72分 瀬川→清水
87分 江坂→高山(高山が最終ラインに入り、金澤がボランチに上がって本格的な5-4-1へシフト)
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