【展望】17年第17節広島戦
・次節はドツボに嵌っている者同士の一戦。「負けたほうがナントカ」にはたぶんならないと思いますが、この一戦で負けると既に降格圏に両足どころか頭まで浸かっている広島はともかく浦和が被るダメージは甚大で、今季終了の気配が濃厚になってしまいます。文字通り「絶対に負けられない一戦」ですが、そんな意気込みだけで勝てるならここまで3連敗してないって(´・ω・`)ショボーン
(成績)
・勝ち点10(2勝4分10敗)の17位。森保監督就任後リーグ優勝3回を誇るチームがまさかの大不振。昨年から失点が急増し、しかも2ndステージは10位に沈んでおり、低迷の兆候が全くなかった訳ではありませんが、さすがに残留争いにどっぷり浸かるところまでの低迷を予想した人はほとんどいなかったのではないかと。久しぶりにJ1名物「びっくり降格」が発生しそうな予感が漂っています。
・残留争いの渦中にあるチームなので当然ながらスタッツに見るべきものはなく、「守れない上に点も取れない」という状況。なお順位が近い大宮・札幌・広島の3チームは総得点・総失点とも似たり寄ったりで、まるでだんご3兄弟(古い)。
・ルヴァン杯は勝ち点10(3勝1分2位)のB組3位で終了してプレーオフに進出。28日にFC東京と第1戦と戦いましたが、0-1とアウェーゴールを取られての敗戦。なおその後中3日で浦和戦を控えているためか、スタメンを前節大宮戦から総入れ替え。後半途中からレギュラー組の柏と柴崎が出てきただけで、もはやルヴァン杯なんてどうでも良くなっている様が見て取れます。
(戦力)
・広島転落の直接の引き金となったのは間違いなくウタカ放出でしょう。昨オフに清水から広島へ晴れて完全移籍したと思いきや、即日FC東京へレンタルという傍目にはなんとも不可解な移籍劇。守備貢献が低いなど、ウタカ放出に至った理由はそれなりにあったのでしょうが、昨年レアンドロと並ぶ19得点を叩きだしたリーグ得点王をむざむざ手放すなんで正気の沙汰ではないかと。しかも昨年の広島は「戦術はウタカ」「ウタカ頼みの○サッカー」の様相が濃かっただけに、ウタカ放出の影響は半端ないものに。
・さらに昨年出番が激減した佐藤が名古屋へ移籍したので、ウタカ&佐藤の代役としてMLSに語学留学(苦笑)に出ていた工藤を連れて来たものの、残念ながら1トップには全く向かなかったようで、第12節からアギーレ皆川にスタメンの座を奪われています。といっても概してボールを奪う位置が低くて1トップが孤立しがちな広島ですから、も一人で何かできる選手ではない皆川を使ったところで事態が好転するはずもなく。
・先日故障明けのパトリック(G大阪)をレンタル補強しましたが、これまたサイドに流れるのを好むFWで真ん中に陣取ってのポストプレーは得意でないというかなんというか・・・・
・またシャドー用に獲得したと思しきフェリペ・シウバもどうやらハズレで、第8節からスタメン落ち。さらに広島がまたまた甲府から強奪した稲垣は開幕時に3試合使われた後はほとんどベンチにも入れず。補強がことごとく失敗したのも広島転落の一因なのでしょう。
・加えて最悪のチーム状態にも関わらず、塩谷が突如アル・アイン(UAE)へ移籍。クラブと長期契約を結んだ後に150万ドルと言われる多額の移籍金を残していった分、同じようにクラブが一番しんどい時に無料で出て行った細貝よりはマシなのかもしれませんが、代わりを探しづらいシーズンの真っ最中の移籍という点ではこちらのほうが悪質。
・リオ五輪での醜態に象徴されるように塩谷の守備が相当アレなのはともかく、後方から突如最前線に踊りだしてくるのが広島の攻撃の有力なオプションになっており、しかもそんな能力があるCBなんでそうはいないので穴埋めには苦労しそう。前節大宮戦では野上を右CBに配しましたが、深い位置でパスミスをやらかして失点に直結。もっともビルドアップの過程でのミスなので野上一人の責任とも思えませんが。
・一応G大阪から丹羽を完全移籍で獲得しましたが、塩谷とは全く持ち味が違う純然たるCBなので代わりにはならないような。というか、塩谷の離脱が早く判っていれば、宮原を名古屋へレンタルに出すことはなかっただろうなぁ。
・しかも塩谷離脱で後ろ目の選手が浦和以上にベテランだらけに。昨年から衰えが目立つ水本を今年もフル活用せざるを得ないのはいかにも辛い。
・CB佐々木が再度長期離脱を余儀なくされている以外、昨年と違って主力に目立った怪我人がいないのが救いといえば救い。
(戦術)
・結果はズタボロですが、広島がやっていること自体は昨年からほとんど変わっていません。昨年青山の故障離脱を機に一時丸谷アンカーの3-1-4-2を3試合ほど試行しましたが、鹿島にタコ殴りされたのを契機に新システムは青山復帰を待たずに基本早々にお蔵入りしていつもの3-4-2-1に。また浦和同様、最終ラインを押し上げて高い位置でボール奪回を目指した時期もあったようですが、これまた上手く行かずに基本5-4-1のリトリート主体の守備に回帰しています。
・この広島の「変わらなさ」も不振の遠因なのでしょう。ミシャはああ見えてもただ漫然と引くだけの守備を止めて前からボールを奪いに行ったり、ビルドアップ時のポジションに変化を付けてみたりと結構試行錯誤していますが、森保監督はミシャよりも少し上だが、その少しが圧倒的な意味を持つ結果を出していただけに戦術を変えづらく、それゆえにミシャよりも研究されて行き詰まるのが早かったのかと。
・相手の研究が進んだ上に、主力の入れ替えで攻守のバランスが崩れて「失点が多い上に点は取れない」という惨状に。具体的には前3人が往々にして機能しないがゆえに青山や塩谷がやたら攻撃参加してその穴、特に青山が前に出た時の裏を相手に突かれて失点する場面が目立っています。
・守備は昨年からかなり怪しくなっていますが、攻撃のほうは点こそ取れていないものの形はそれなりに作れており、シュートも撃ちまくっているものの決まらないという感じ。僅かな歯車の噛み合わせの狂いでしかないという状況なだけに監督も大胆な手を打ちづらいのでしょうが、傍目には決定力抜群の選手を切った報いとしか言いようがありません。ただミキッチからのクロスが点に直結しなくなっているのは気がかり。
・なお鹿島戦・川崎戦と森保監督は終盤ビハインドの状況でミキッチを削って宮吉を入れて4-4-2へシフトする珍しい手を打ちましたが結果は出ず。さらに前節大宮戦ではやはり終盤ビハインドの状況で「禁断の3-1-4-2」、しかも青山アンカーという相当リスキーな手を打って何度か決定機を掴んだものの決められず、逆にATに2点取られて大敗。
(浦和の対応)
・目下3連敗の浦和。しかもその3連敗も試合を重ねるごとに内容が悪くなる有り様で、広島のことをどうこう言えるような状況ではありません。
・同一フォーメーションのミラーゲームながら広島が守備的に入って浦和が攻め倦む試合になるのが通例。今年のいつもの広島なら「ポゼッションは優に相手を上回り、シュートもそれなりに撃っているが点は入らない」という試合になりがちですが、こと浦和戦に限って言えば浦和にボールを持たせてしまう展開になりがち。もっとも浦和の最近の試合を見ると、積極的に前に出て来られるほうが厄介ですが。
・広島のWBが超強力なだけに、前に出て来られて両サイドで劣勢を余儀なくされると、それが主因になって試合の趨勢が決まりかねません。前節欠場の宇賀神の具合が気になりますし、関根も駒井も絶不調といって差し支えない状態だけに、サイドの攻防はかなり心配。またボールを持たされ、サイド攻撃で行き詰まった挙句にボールロスト→WBの裏をロングボール一本で突かれるという展開も目に浮かびます。
・「試合内容は悪くないが運がなかった」といえるような状態なら信じる道を突き進んでもらっても全然構わないのですが、如何せんドツボに嵌っているチームなので、やり方を変えるか選手を代えるか、何か変えないとどうにもならないでしょう。といってもミシャはなんだかんだと試行錯誤の回数こそ多いものの、相手に応じて、あるいは状況に応じて試行錯誤してきた策を上手く切り替えられるタイプではありません。よって不振の選手を代えるくらいしか手立てはないかと。
・といっても天皇杯盛岡戦の出来を見ると信頼しうる控え選手はそんなにいないものこれまた確か。どう見てもお疲れの遠藤に代えて那須、不振のWBの一角に梅崎抜擢くらいが現実的な落としどころと思います。
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<前節:広島 0-3 大宮>
-----皆川-----
--柴崎----ロペス--
柏--森崎-青山--ミキッチ
-水本--千葉--野上-
-----林------
67分 ロペス→宮吉
67分 皆川→工藤
81分 森崎→フェリペ
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