【展望】17年第13節川崎戦
・次節はACLの関係で順延されていた第13節川崎戦。川崎もACL組かつベスト8まで勝ち残っているので、浦和と日程条件は全く同じ。アウェーゲームですが至近距離なので移動によるハンデもほとんどありません。既にACL準々決勝で川崎との対戦が決まっており、どーせならルヴァン杯でもいきなり対戦して「川崎戦だらけの2017年夏」にすれば良いのに(苦笑)。
(成績)
・2012年から5シーズン指揮を取ったものの結局何のタイトルも取れずに終わった風間監督をとうとう諦めて、鬼木コーチが内部昇格しての初年。勝ち点29(8勝5分3敗)の暫定6位。今年の川崎の最大の特徴は失点が少ないことで、総失点14は伝統的に守備が堅いというか塩試合上等の横浜Mと全く同じリーグ1位。その代わり得点もさほど多くなく、スタッツ上は柏や鹿島同様「競り合いに強い」チームに芸風が一変しています。
・今年序盤は怪我人が非常に多く、コンスタントに試合に出ているのはGKチョン・ソンリョン、CB谷口、WB車屋、CHエドゥアルド・ネット、CH中村、FW小林くらい。CBエドゥアルドやWBエウシーニョが長期離脱していた他、入れ替わり立ち代わり怪我人が出たため、鬼木監督もスタメン構成上苦労が多かったと思います。
・従って、過去の成績は今年の川崎の実力を推し量るにはあまり役に立たないかもしれません。第15節広島戦からエウシーニョが戻って、ようやく主力が全員戦列復帰した模様なので、真価はこれからといってもいいでしょう。
・怪我人が多発したにもかかわらず、川崎の空恐ろしいところは連敗していないこと。序盤は大久保離脱が祟ってか勝ちきれない試合が極めて多く、また怪我人多発ゆえ選手層が薄くてACL帰りの試合は弱いといった一面もありましたが、なんとか連敗せずにやり過ごせたのが浦和との勝ち差になっています。ACLもグループ最弱のイースタンと引き分けた時には「終わった!」と思いましたが、終盤追い上げて2勝4分で首位通過。負けないこと、これホンマ大事。
(戦力)
・オフに大久保がFC東京へ移籍。昨年小林と並んで15ゴールを叩きだした大久保離脱の影響は小さくなく、リーグ序盤は相手を押し込んだところでエリア内で勝負できるのが小林しかいないので最後の詰めがどうしても足りない、相手の守備ブロックの回りでぐるぐるパスを回すだけという状況に陥りがちでした。
・ところがG大阪から獲得した阿部がフィットしだしてからその問題が一挙に解決。故障もあってフィットに若干時間がかかりましたが、阿部を1トップ(といっても川崎の超流動的なシステム上ゼロトップみたいなものですが)に配したのが大当たり。神出鬼没、かつフィニッシャーというよりはボールの受け手、あるいは引き出し手として良く機能しています。浦和同様、馴染む選手と馴染まない選手の差が極めて大きい川崎スタイルですが、半年もかからずにここまで出来れば文句なし。
・阿部同様補強の目玉だった家長(大宮)は故障で出遅れたのが祟ってか、現在中村に代わって終盤短時間出場するだけ。
・怪我人が多かった時期に重用されていた新外国人選手MFハイネルはここ3試合ベンチ外。馬力のある選手でボールを持つと目立ちますが、やや「俺が俺が」みたいな感じだったので川崎には合わないだろうと思っていたところ案の定なのかな??
・CB武岡とCB舞行龍(新潟から獲得)が怪我で長期離脱中。
(戦術)
・最近のフォーメーションは一貫して阿部1トップの4-2-3-1。風間監督の時代は浦和戦に限ってミラーゲームを仕掛けてくる、あるいは途中からそのように変えてしまう試合が少なくありませんでしたが、鬼木監督が上手く行っている現状のやりかたをわざわざ変えているとは思えませんが。
・なお第15節広島戦では普段通り4-2-3-1でスタートしたものの、前半は広島の5-4-1リトリート守備の前にほとんど効果的な縦パスを入れさせてもらえずに苦戦。また守ってもミキッチにどフリーで何度かクロスを許していました。終盤CB奈良を投入して5-4-1にシフトして何とか逃げ切っています。
・監督が代わってもスタイルに大きな変化はありません。相手を押し込んで一方的にボールを支配し、かつ細かくパスを繋いで相手ゴールを陥れる。もちろん徹底してショートパスというわけでなく、クロスに小林が突っ込んでくることもあれば、ぽっかり空いたバイタルエリアからミドルをぶちこめる上に、セットプレーでも点が取れる。実に面倒な相手です。クロスボールを多用するチームでないにも関わらず、今年はクロスからの得点が目立つのが実に不思議。
・最終ラインが高いのも相変わらずで、しかもボールを失った後の攻守の切り替えが非常に早い。相手に高い位置からプレッシャーをかけて容易にビルドアップを許さず、ミスパスを誘ってボール回収。高い位置にコンパクトな守備陣を敷いていて、しかも相互の連携が良く、そんなに走らなくてもボールが回収できるせいか、走行距離はJ1ではかなり少ないほう。
・攻守の切り替えが早いのは何も今年からではありませんが、監督が代わって一段と守備意識が高くなったのか、攻守のバランスが格段に良くなったように見受けられます。なんかスタイルがユニークでバランス感覚がない監督の後をバランスの修正だけで成績を安定させるってミシャ→森保と風間→鬼木の系譜がそっくりな気がしますが。
・また韓国代表GKチョン・ソンリョンが相変わらず手強い。総失点は少ないけれども被シュートが少ないわけではなく、なんだかんだとソンリョンに随分助けられている気が。もっともそれもチームの実力のうち。
(浦和の対応)
・前節広島とシーソーゲームを演じて勝つには勝ちましたが、内容はいたってお粗末。浦和も弱いが、それ以上に広島が弱かったというだけの話で、劇的な結末だったにも関わらず素直には喜べない試合でした。3日(月)の練習前には緊急ミーティングが開催されてミシャの怒号が響き渡ったそうですが、攻守の切り替えが緩慢になっているとか、勝っているのにリスクをかけすぎるとか、怒ってどうなるという問題でもなかろうに。
・前節試行した遠藤ボランチ&柏木シャドーは結局限りなく失敗に終わり、終盤元の形に戻さざるを得なかったところを見ると、今節は封印でしょう。よって相変わらず人を代えるくらいしか手立てがなく、特に宇賀神&梅崎の復帰如何にかかるところ大と思います。宇賀神がようやく練習でフルメニューをこなせるようになったのは朗報。
・またどう見ても興梠がお疲れ気味。中3日を勘案して、これまた不調とはいえラファエルを起用するか、あるいはラファエルの守備がいい加減なのが致命傷になりかねないのでズラタンを起用するか、少々頭が痛いところ。
・浦和守備陣がやらかしがちな失敗は、相手に食いつき過ぎてその裏を取られること。中村なり大島なり縦パスの出し手をとにかく消さないとお話になりませんが、その両名に限らず慌てて飛び込んでしまうと致命傷になってしまいます。食いつき過ぎてもいかんが、寄せずに自由を与えすぎるのもいかん。そのバランスが非常に難しいのですが、昨年の等々力でウノゼロで勝った際にそれが上手く出来ていたはず。浦和はどこでそのバランス冠感覚を失ったのやら。
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<前節:川崎 5-0 神戸>
-----阿部-----
登里---中村---小林
----ネット--大島---
車屋-エドゥ--谷口-エウシー
-----ソンリョン-----
(得点)9分 阿部、20分 阿部、68分 小林、81分 谷口、90+4分 小林
(交代)
78分 登里→長谷川
83分 中村→家長
84分 エウシーニョ→田坂
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