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2017.07.02

【観戦記】17年第17節:浦和 4-3 広島 ~ 2年前に優勝争いしてたチームが共にここまで凋落するとは・・・

・いやぁ、勝つには勝った。しかも2004年磐田戦での長谷部のゴールを彷彿させるような関根のスーパーゴールでの逆転勝ち。率直にそれを喜んだほうが精神衛生上好ましいのでしょうけれども、どうにもすっきりしない。笑うに笑えず、泣くに泣けない。笑いながら泣いている、あるいは泣きながら笑っている、往年の竹中直人の芸みたいな表情にならざるを得ない、そんな試合でした。

・双方芳しくない試合内容ながら浦和が前半40分過ぎに立て続けに2得点。昨今広島がほとんど点を取れていないことを考えればこれでかなり浦和有利になったなと安心していたら、リードしている際の試合運びの拙さはなんら修正されておらず、後半に入ってあっという間に2失点。さらに72分に浦和CKから2対5という絶望的に数的不利なカウンターを喰らってとうとう逆転される始末。リードされてATに入ったわけでもないのに、なんでそんな酷いカウンターを喰らうのか???

・申し訳ないが、正直ここで心が折れました。まるで磐田戦の焼き直し。残留争いに腰までどっぷつ浸かっている広島にすら勝てないどころか、負け方が酷い。あーあ、これで今年のリーグ戦は全部消化試合かぁと個人的には試合を投げてしまいました。

・ところが浦和の選手達は全く諦めていなかった。逆転されてミシャは那須→李で遠藤&柏木のポジションをそれぞれ一つ下げていつもの形に戻しただけでなく、興梠→ズラタンというあまり例がない交代を敢行。この交代が意外な妙手だったようで、投入直後にラファエル→関根→ズラタンの中央突破で同点。そしてATに関根が左サイドからカットイン&「一人で出来た!!」と言わんばかりに5、6人をごぼう抜きして逆転!!!

・ズラタンのゴールはともかく、関根のゴールは個人技の賜物以外の何物でもなく、ミシャスタイルもへったくれもない「火事場の馬鹿力」としか言いようがない形でしたがもう勝てればなんでもいいのだ。勝っている時はどうしたらいいのか悩みに悩んでしまうが、負けている時は迷いがなくて時にとんでもない力を出す。もっともそれでなんとかなるのは相手が弱いからで、強い相手には往々にして単に傷口を広げるだけに終わるのですが・・・

・試合内容はお世辞に褒められたものではなく、課題山積というか従前からの課題がなんら修正されていないことが明々白々になった酷い試合でしたが、それでも勝つには勝った。とにかく勝ったことで浦和の選手&スタッフが多少落ち着きを取り戻すかもしれない。なんとか自信を取り戻すかもしれない。そう思って無理やり前を向くしかないでしょう、この試合は。

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・それにしても2年前に優勝争いしたもの同士と思えないくらい双方ともビルドアップにミスが多くて、前半からカウンターの応酬みたいな残念な試合内容。ただ広島の出方がやや予想外で、普段通りの5-4-1のリトリート主体の守備ながらいつもの浦和戦よりやや最終ラインが高めでした。

・ところが最終ラインを押し上げたものの茶島&青山のボランチコンビで臨んだのが良くないのか広島の中盤が案外弱く、前半は浦和に高い位置でボールを奪回される場面が目立ちました。もっとも浦和も浦和で良い形でボールを奪いながらシュートで終われず、5分に武藤が青山からボールを奪ったのを機に駒井→関根→武藤の決定機を作ったくらい。

・また浦和はロングボール一本で広島最終ラインの裏を狙わせる場面もが目立ちました。15分に遠藤→柏木→駒井→興梠で良い形を作った後しばらく沙汰止みになってしまいましたが、42分の先制点となった柏木ロビングボール→駒井→興梠もこのバリエーションに入れて良いでしょう。

・広島のビルドアップはすっかり怪しくなっており、45分には野上→清水と繋いだところで清水のアバウトすぎるプレーでボールロスト。浦和は関根→柏木→武藤と難なく繋いで武藤が久しぶりのゴール!! 広島は武藤をがら空きのバイタルエリアに進出させた時点でアウトで、まるで浦和のような大失態(つД`) なお野上&清水の広島右サイドは相当脆弱で38分にも関根→武藤でぶち抜かれて大ピンチを招いています。

・浦和が攻めながらもシュートで終われないケースが多いので、広島がカウンターで反撃する機会も少なくはなかったのですが攻め手は乏しく、ほぼ柏のドリブルでの仕掛け頼みといった様相。21分に浦和右サイドで柏→皆川フリック→柏ドリブル進出という好機があり、裏を取られた駒井がエリア寸前のところでファウルで止める場面がありましたが、この場面に象徴されるように駒井は終始柏に苦戦を余儀なくされました。

・34分にも武藤の縦パスをカットされて素早く浦和右サイドに展開され、柏→皆川の危ない場面も。多少リスクをかけてでも縦パスを入れるのはミシャスタイルの根本思想なのでそれに異を唱えても意味がありませんが、ボールを奪われた後の攻→守の切り替えが緩慢になっていて、最後方から駆け上がってくる柏に守備陣がごぼう抜きされているってそれだけでも万死に値するかと。

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・しょーもなすぎる試合内容で2点ビハインドを負ったためか、森保監督は後半頭から茶島→ロペスで柴崎をボランチに下げ、しかもいきなりそれが奏功。広島がこの試合で珍しく人数をかけた分厚い攻めを仕掛け、浦和左サイドからのクロス→森島→皆川がゴール。この場面、なんでバイタルエリアで森島にどフリーでポストプレーを許しているのかがなんとも不可解。具体的には阿部が何もしていないのが実に切ない。一対一が生じやすいミラーゲームでこんな失態があっていいのか???

・54分の得点は前半から広島の突破口となっていた柏のドリブル進出が実ったもの。といっても浦和が右サイドで自爆ボタンを押したようなもので、柴崎&森島に詰め寄られた駒井が無理に前に繋ごうとしてボールロスト。こぼれ玉を拾った柏がバイタルエリアへ一気に進出→皆川スルー→ロペスゴール。勝っているのにリスキーなプレーを選択した駒井の罪が一番大きいのでしょうが、またまた後方から駆け上がってくる柏を傍観している遠藤もたいがいやで、これは。

・勝っているのにリスキーなプレーを選択した点では槙野が一番酷いか。この失点前から槙野が再三攻撃参加していて、しかも全くシュートで終われずにカウンターの口火に。まさに「ハイリスク・ノーリターン」。これを是正しない限り浦和が安定して勝ち点を伸ばすのは難しいでしょう。

・72分広島の3点目はもう「浦和歴代珍プレー集」に上げてもいいくらい酷いもの。浦和CKからの流れで、最終的には遠藤が後方から当たられてボールを失ったのが引き金になってしまいましたが、それ以前にCKを跳ね返されてイーブンのボールになりかかった時点での浦和の戻りが緩慢すぎる!! ビハインドでATに突入したわけでもないのに、なぜかまるで「まだワンチャンスあるで!」と言わんばかりに攻め残っている!!その挙句、遠藤のボールロストを契機に2対5という絶望的に数的不利のカウンターを喰らう始末。

・浦和の失点は攻守の切り替えの遅さとか、マークのルーズさとか、状況を勘案しないかのようなプレー選択の拙さに起因したものだらけで、人を代えたりシステムを弄ったりしても即効性はなさそうな気がしましたが、逆転されたのを受けてミシャはとうとう遠藤ボランチ&柏木シャドーという今日の新機軸を断念。ところが同点に追いついた辺りから最終ラインを下げてしまった広島を攻めあぐね気味に。

・敗色濃厚な戦局を前にミシャが放った最後の勝負手はなんと興梠→ズタラン。いつも終盤に投入されて、しかも今年は全く奏功した試しがないズラタンですが、この日はこれが大当たり。関根のフリックを受けてエリア内で前を向いたズラタンが遅れてやってきた水本をものともせずにファインゴール! ああ、これがズラタンの正しい使い方。前を向いてナンボ。ズラタンにポストプレーなんて求めるのがそもそも間違っている! ズラタン再生の道のりが見えたような良いゴールでした。

・ズラタンのゴールを演出したのがなぜかバイタルエリアに進出していた関根。これが広島守備陣の意表を突いたのでしょう。どフリーの関根に慌てて千葉が付くもフリックで交わされ、ズラタンがフリーになるという絵にかいたような悪循環。

・そして最後の最後は関根の独壇場。61分、78分と関根のドリブルでの仕掛けで決定機を作っており、その予兆はあるにはありましたが、まさかATで決まるとは!広島は終始関根にチンチンにされていた清水はともかく柴崎すらあっさり交わされてしまったのが致命傷。野上は無謀なスライディングでこれまた何の役にも立たず、千葉&水本という老朽化したCBではどうにもならず、最後はGK中林が股を抜かれてジ・エンド。

・広島はこれで4連敗。しかもATに再逆転されるといういかにも心が折れそうな負け方で、15位札幌との勝ち点差が5に開いたにも関わらず、まだシーズン半ばで降格しそうという危機感がないのか試合終了後浦和の選手達を談笑している選手が結構いて驚きました。

002

-----興梠-----
--武藤----柏木--
関根-阿部--遠藤-駒井
-槙野--那須--森脇-
-----西川-----

(得点)
42分 興梠
45分 武藤
85分 ズラタン
90+2分 関根

(交代)
56分 武藤→ラファエル(興梠がシャドーに下がる)
73分 那須→李(柏木がボランチ、遠藤がリベロへ下がる)
84分 興梠→ズラタン

・「展望」で「不振の選手を代えるくらいしか手立てはない」と記しましたが、ミシャは前節からラファエル→那須と入れ替えただけでなく、柏木&遠藤のポジションをそれぞれ一つ上げるという予想外の手を打ってきました。しかし、結果は限りなく失敗。柏木は結局ボランチに近い位置まで下がってボールを捌く場面が多かったのはともかく、遠藤は守備でたいして役に立っておらず、これならわざわざ遠藤をボランチに据えた意味がなく、柏木ボランチ起用と大差がないように見受けられました。

・また遠藤のボランチ起用の是非以前に、遠藤を代表帰りからずっと酷使しているのがそもそも疑問。しょーもないボールロスト、当たり負け、そして緩慢な攻守の切り替えとパフォーマンスの劣化が著しいように見受けられます。天皇杯で青木の出来が芳しくなく、スタメンでボランチ青木という選択肢がなくなっている結果なのかもしれませんが。

・那須が超ハイラインとの相性が悪いのもこれまた明白。那須を使ったら使ったなりの闘い方をしないといけないはずですが・・・ といってもこの日の浦和の失点は那須起用以前の問題でしょう。

・鳥栖戦でさっぱりだった関根がこの試合で突如覚醒したのが不思議でなりませんが、駒井は興梠のゴールをアシストしただけで、それ以外は対面の柏に完敗。もっとも駒井は痛み止めを服用して試合に出ていたそうで、そんな状態の選手をスタメンで使わざるを得なくなっているのがこれまた辛い。宇賀神は無理使いが祟って依然ベンチ外。しかも前節ベンチ入りした梅崎もこれまたなぜかベンチ外で平川が珍しくベンチ入りしましたが、平川に90分は酷。天皇杯で戦術理解度が平川>菊池なのが丸判りになってしまい、菊池に起用のめどが立たないのがいやはやなんとも。

003

-----皆川-----
--柴崎----森島--
柏--茶島--青山-ミキッチ
-水本--千葉--野上-
-----中林-----

(得点)
47分 皆川
54分 ロペス
72分 ロペス

(交代)
37分 ミキッチ→清水(負傷による交代)
HT 茶島→ロペス(柴崎がボランチに下がる)
80分 青山→森﨑

・森保監督は前節大宮戦からロペス→森島、森崎→茶島だけでなく、なんと林→中林とGKまで入れ替え。ただ茶島のボランチ起用は結局失敗。浦和同様、勝てないと打つ手打つ手が裏目に。しかも守備固めで入れたはずの森崎がこれまたたいして役に立たないというおまけ付き。

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