【DAZN観戦記】17年第21節:甲府 0-1 浦和 ~ 最弱の矛を淡々と跳ね返す最弱の盾
・シュート数7対4というスタッフ通り、双方見せ場が少ない塩試合。塩また塩。過去甲府戦、特にアウェーゲームが面白かった試しはないのですが、甲府の堅陣を浦和が攻めあぐねての塩試合ではなく、攻めを繰り出せなくなった浦和が甲府の拙攻に助けられるという形での塩試合になるとは。前半こそ可もなく不可もなしといった内容でしたが、後半は防戦一方。依然浦和の実力が残留争い組と大差がないことを如実に示したような試合でした。
・浦和のシュート数が片手にも満たない試合ってちょっと記憶になく、しかも後半はおそらく武藤の1本のみ。監督が代わって「攻撃に無暗にリスクをかけない、まずは守備重視」という色合いが濃くなっているのを如実に示したスタッツ&試合内容でした。極端に攻撃偏重だったミシャスタイルから攻守のバランスを是正しようとして、なかなか上手い落としどころを見つけられない。監督が代わってすぐには上手く行かないのは致し方ないとしても、今回はちょっと守備側に重きを置き過ぎたように見受けられました。
・そうはいっても前節大宮戦のように内容で相手を圧倒していても自爆ボタン連打でドローに終わってしまうよりは、少々不細工だろうが勝つ、しかも超久しぶりに相手を完封して勝って、目に見える結果を出して選手並びに監督・スタッフ達が自信を取り戻すのが今は重要でしょう。相手が弱くて助かっただけで良い試合とは言い難かったけれども、とりあえず結果を出したことで内容が好転するきっかけになるかもしれません。
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・前半の浦和は「慎重居士」そのもの。いつものように5-3-2の形で守備ブロックを敷いて自陣で待ち構える甲府相手ですから、ミシャですら頭から闇雲に突っ込むようなことはしなかったと思いますが、堀監督はより一層リスク回避的に見受けられました。浦和は無理に縦パスを入れて甲府の3ボランチに引っ掛かるのを嫌ってか、攻撃は専らWBないしせいぜい森脇からのクロス頼み。あるいは最終ラインから縦ポンで菊池や興梠に甲府最終ライン裏を狙わせるような形が目立ちました。
・ただこれらの攻撃はほとんど決定機に至らず、9分に森脇のクロスをGKが弾いた後で菊池→槙野がシュートで終われたくらい。序盤はCKやFKもかなりもらえましたが、ショートコーナーを一度試したのが目を惹いただけで、それ以外はこれといった工夫は見られず仕舞いで、これまた決定機に至らず。
・ところが、サイド攻撃ないし裏狙いがいわば「撒き餌」としてそれなりに効いたのか、19分この試合初めて試みた中央突破がものの見事に決まって浦和先制。柏木→ラファエル→柏木のワン・ツーで甲府守備陣をこじ開けて柏木がエリア内侵入&GKの頭上をループ気味に抜くという見事なゴールでした。
・甲府は守備こそ堅いものの極端に得点力が低いので、とにかく先制してしまえば俄然有利。あとは前に出て来ざるを得なくなった甲府相手に効果的にカウンターを繰り出して血祭りに上げれば良いだけと気楽に構えてたのですが、そのカウンターをほとんど繰り出せなかったのがこの試合の一大反省点。
・前半30分くらいから甲府がボールを持つ時間も増えてきましたが、浦和はいったん自陣に引いて、改めて前からプレッシャーをかけて甲府のビルドアップを阻害。甲府は2トップにボールが入らない上に、たまに入っても個人でなんとかするしかないので前半はおよそ点が入る気配がしませんでした。ただ反撃に転じたところでラファエルが無闇に前に突っかけてはボールを失う場面が目立ちだし、終わってみれば後半の大失速のこれが引き金だったのかも。
・後半は一転して大苦戦。立ち上がりから何度も甲府にFKやCKを与えただけでなく、せっかくボールを奪っても積極的に前から潰しにかかる甲府に簡単にボールを奪回される場面が続き、ほとんど攻撃の形を作れませんでした。
・浦和の苦戦に拍車をかけたのが前述のラファエルのワンマンプレーに加えて、この日が浦和でのラストゲームとなった関根の空回り。49分に自陣深い位置でドゥドゥにボールを奪われて大ピンチを招いたのを皮切りに、何度も危険な形でのボールロストを繰り返して浦和右サイドは大炎上。
・57分の大ピンチも元はと言えば関根がリマに無謀に突っかけたところから。リマ→ウイルソン→ドゥドゥ→ウイルソンでフィニッシュにまで持って行かれてしまいました。もっともこの場面はウイルソンのフリック一発でドゥドゥに裏を取られる森脇もどうかと思いますが。
・さらに混迷の度を増したのが堀監督の謎采配。前でボールを収められないラファエルを代えるなり、イレ込んでどうにもならない関根を代えるなりしないどころか、何の問題もなさそうな柏木に代えて矢島を投入。残念ながらこれが攻守とも何の役にも立たず、ボールを落ち着かせて休む時間を作れない浦和は次第に足が止まり勝ちに。終盤になって堀監督は守備でへろへろの興梠に代えて李、さらに残り10分を切ってやっと関根に代えて駒井を投入して守備固め。
・甲府は何度も両サイドからクロス攻撃を仕掛けるものの、あまりにも正直すぎるというか攻めに工夫がなくていとも簡単に浦和守備陣に跳ね返されるか、あるいは単に精度を欠いて誰にも合わずの連続。甲府は後半攻めに攻めたものの、結局前述の57分以降の決定機は812分に最終ラインから縦パス一本でウイルソン→ドゥドゥに決定機があったくらい。これもラファエルのしょーもないボールロストが契機。
・AT突入直前に阿部が自陣ゴール前で相手と交錯して流血し、いったんピッチの外に出ざるを得なくなるアクシデントがありましたが、メディカルスタッフが素早く対応して事なきを得ました。勝ち点を掴み取るにはそういう細かいことも大事。
・一応お盆休みの時期に当たるとはいえ、平日にも関わらず小瀬には14,489人もやって来て、なんと今年一番の入り!急遽関根のラストゲームになって赤者がワラワラ押し寄せた(前売りはそんなに売れてなかったはず)上に、「今の浦和ならワンチャンスあるで!」と前節勝って意気上がる甲者もまたワラワラ来たんなぁ・・・
-----興梠-----
--ラファエル----武藤--
菊池-阿部--柏木-関根
-槙野--遠藤--森脇-
-----西川-----
(得点)
19分 柏木
(交代)
73分 柏木→矢島
79分 興梠→李
83分 関根→駒井
・この日不可解だったのがラファエルのスタメン。前節守備重視でズラタンをシャドー起用し、その起用は見事に当たったにも関わらず今節はなぜかズラタンはベンチ外。大宮戦の終盤に小破したのが響いたのかもしれませんが、それなら代替は李であって然るべきで、守備が計算できない(走行距離約9.3kmって90分出た前目の選手の中ではダントツに低い!)ラファエルを、よりによってシャドーで起用するのはどうも理屈に合いません。途中で見るに見かねてか、興梠がシャドーに回って案の定ヘロヘロになってしまいましたが。
・しかも幸先良く先制して、ラファエルがカウンター専用機としての本領を発揮するかと思いきや、肝心のカウンター発動の場面で自分で前に突っかけてボールロスト連発。こんな美味しい局面で使えなかったら、今後どうするんやろ??
・どうも堀監督は菊池を相当気に入っているようで、前節に続いて今節もスタメン。57分の大ピンチには西川がボールをこぼしたところに突っ込んできた新里に対して、慌てて駆け戻ってきた菊池が身を挺してカバーする見せ場も。ラファエルとは逆に菊池は走行距離約10.9kmとチームで一番良く走っており、そこを堀監督が買っているのかもしれませんが、判断を早くするか、ポジショニングを改善すればそこまで無駄に走らなくても良いのにという気が。
・出場停止明けの槙野は上々の出来。前半ウイルソンの股抜きシュートを読んでブロックした辺りは復調の証拠か。堀監督のコンセプト上菊池を追い越してまで攻め上がることなく、終始後ろ髪引かれ隊で守備に専念している限りにおいてはまだまだ大丈夫なのかも。
---ウイルソン--ドゥドゥ--
--田中----小椋--
阿部---島川---松橋
-リマ--新井--新里-
-----河田-----
(交代)
72分 松橋→橋爪
77分 阿部→高野
83分 田中→河本
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