【TV観戦記】ACL2017・準々決勝第1戦:川崎 3-1 浦和 ~ アウェーゴールに微かな光明も、点差以上の惨敗
・かなり守備的なスタンスで試合に臨んだものの、結果はシュート数18対4というスタッツ通り終始川崎に圧倒され、よく3失点で済んだなと思わざるを得ない厳しいものになってしまいました。正直甲府あたりが川崎と対戦した時と大差がない試合内容といって差し支えないかと。守備的に入った割には前半半ば辺りから守備ブロックに暗雲が漂い始めて、案の定33分に失点。後半頭から武藤を投入して反撃を試みるも50分に2点目を取られて堀監督のゲームプランは完全に崩壊。
・堀監督就任後ボトムハーフレベルとの相手との対戦が続いたのでボロは出ませんでしたが、Jリーグトップレベルの川崎相手となると守備意識の向上だけでは守れない。守備を動機付けのレベルからシステマティックなレベルにまで高めて行かないとどうにもなりません。ただそんなレベルに達するには連戦連戦で時間がなく、今季はもう難しいのかなと感じました。
・また堀監督が不運と思うのは怪我人が多発していること。この試合ではなんと柏木がアップ中に故障して突如青木のスタメン起用を余儀なくされ、青木は青木なりに頑張ってはいましたが、なんだかんだと柏木不在が攻撃面で重くのしかかってしまいました。さらにもともと宇賀神&森脇と主力が2枚欠けており、高木や長澤も依然ベンチ入りできない状態。おまけにFC東京戦で温存したはずのズラタンもその後の練習で小破してしまったのかなぜかベンチ外。チーム再建途上なのに怪我人だらけという状況ではフルメンバーの川崎に圧倒されるのもある程度やむを得ないかと。
・幸いアウェーゴールを一つもぎ取れたので、0-2での折返しとなった済州戦よりは幾分マシな状況ですが、カウンター攻撃しかないと見切りをつけられた済州よりは川崎は格段に強く、おまけに殴り合いに活路を見出し得るミシャスタイルと違って堀スタイルはおよそ点が入る気がしないので、ホームであっても2点取るのは至難の業。ハナから諦めてしまうほど絶望的な状況でもありませんが、3失点目が第2戦を難しくしてしまったかなと思います。
----------------------------------------
・前述のように柏木がアップ中に故障して青木とのスタメン入れ替えを余儀なくされましたが、それ以上に驚いたのは矢島のスタメン入り。FC東京戦で途中投入されて決定機に絡んだ一方で守備の緩慢さで死を招きかかるというなんとも微妙な評価に終わった矢島。そんな矢島この一戦でスタメンに使うとはよほど堀監督は矢島を買っているのでしょうが、正直この試合を見ても矢島の良さはよく判らず仕舞い。
・浦和は矢島が2ボランチとほぼ同一の高さにまで深く下がって、李がやや前残りになる5-3-2の守備陣形で川崎に対峙。要所要所で川崎のボールホルダーに厳しく当たってはいましたが、中盤で川崎の攻撃を寸断するには至らず(=従って3ボランチはさほど機能していなかった)、序盤からやや深めの最終ラインで弾き返せすだけに終始していたように見受けられました。
・浦和がなにより辛かったのが最終ラインでボールを奪っても単に前に蹴りだすだけで、上手くビルドアップできなかったこと。ボールを奪う位置がそもそも低く、なんとか奪ってもかなり遠い先に興梠と李が残っているだけなのでそこまで繋ぐに繋げない。最初は無理に繋ごうとしてカウンターを喰らう愚を避け、前半はリスクをかけない趣旨なんだろうと楽観していたのですが、やはり自分がボールを持って休む時間を作れず、川崎にほぼ一方的にボールを回されてるままだとクソ蒸し暑い環境下では非常に辛かったかと。
・芳しくはないが悪いというほどでもないという立ち上がりでしたが、22分に浦和右サイドから家長クロス→小林にエリア内で槙野とマウリシオの間で余裕をもってボールを受けられて反転シュートを撃たれた辺りから川崎の攻勢に晒されがちになり、32分右サイドを深々と中村に抉られ、そこからの折返しを小林に決められてとうとう失点。右サイドの守備で駒井が何の役にも立っておらず、マウリシオが右サイドに釣りだされた挙句、中村のセルフスルーパスで遠藤とマウリシオの間を破られてしまいました。
・少々怪しげになってきたとは言えば守備はまだマシで、悲惨なのは攻撃。カウンターに活路を見出そうにも川崎の戻りが早くてままならず。遅攻を強いられると柏木不在が祟って縦パスは全く入れられず、攻撃は専らサイドから。しかもほとんどフィニッシュに結び付けられず。サイドからもほとんど形を作れない辺り関根離脱の影響は思った以上に甚大。そして全く点が入る気がしない割にはカウンターだけはしっかり喰らい、40分には小林クロス→車屋ヘッドで決定機を作られてしまいました。
・堀監督は何を思ったのか後半頭からいきなり李に代えて武藤を投入。李自体は良くも悪くもなく、武藤を投入するなら矢島を下げてたいして機能していない5-3-2を放棄するほうがベターではないかと思いましたが、武藤投入の効果を見定める暇もなく後半立ち上がりに中村FK→阿部で決定機。さらに50分ネットのスルーパスから小林にシュートを撃たれ、一度は西川が防いだものの、エウシーニョが詰めて追加点。
・この場面カウンターを喰らって3ボランチは何の役にも立っておらず、ピッチ中央で楽々とネットにボールを受けさせ、ノープレッシャーで前を向かれた時点でアウト。しかも最後にエウーシニョに詰められてしまいましたが、もともとエウーシニョは菊池の前方におり、エウシーニョに追い越されるまで菊池は何をしていたのか?菊池の守備意識の低さというか攻守の切り替えの遅さが招いた失点と言っても差し支えないでしょう。
・守備的に試合に臨んだ堀監督のプランは2点取られたことで完全に崩壊。その後は前目に人数を割いて攻めに出たものの、守備を固める川崎相手に文字通り手も足も出ず、サイドから可能性を全く感じられないクロスを入れるのが精一杯。一方守備は一段と怪しくなって56分に家長→小林、61分にソンリョン→小林→中村、73分に家長→小林と決定機を作られてしまいました。そんな戦況を見て鬼木監督は中3日で続くリーグ戦を睨んでか70分に中村を下げる余裕のかましっぷり。
・堀監督も70分になってようやく矢島を諦めてラファエルを投入して1トップに据えましたが、ラファエルは今日も独善的なプレーを繰り広げてわざわざ相手の堅いところに突っ込んで自爆の繰り返し。およそ点が入る感じはしませんでしたが、76分青木からの縦パス一本で武藤が裏抜けに成功して奇跡的にアウェーゴールをゲット!! オフサイドのように見えましたが、左サイドで車屋が残っていたのでぎりぎりセーフだったのかな?
・これで試合が終われば内容はともかく結果は悪くはなかったのですが、86分にまたまた右サイドが決壊。家長との一対一で簡単に振り切られてしまう遠藤にも、ボールウォッチャーと化して小林を見失う槙野にもがっかりですが、それ以前に後方から出てきた車屋を誰も見ておらず、右サイドで阿部・家長・車屋の3人を駒井・遠藤の2人で見る羽目になった時点で守備にも何にもなっていないという残念至極感がムンムン。
・結局のところこの試合を通じて左SH家長にやられっぱなし=右サイドは炎上続き。守備的に試合に入った割にはこの結果で、浦和は何か手ごたえとなりうるものを得たのかなぁ???
-----興梠-----
--矢島-----李--
菊池-阿部--青木-駒井
-槙野--マウリシオ--遠藤-
-----西川-----
(得点)
76分 武藤
(交代)
HT 李→武藤
70分 矢島→ラファエル
87分 興梠→オナイウ
-----阿部-----
家長---中村---小林
----ネット--大島---
車屋-谷口--奈良-エウシー
-----ソンリョン-----
(得点)
33分 小林
50分 エウシーニョ
85分 小林
(交代)
70分 中村→登里
83分 登里→田坂(負傷による交代)
86分 小林→森本
| 固定リンク