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2017.08.06

【観戦記】17年第20節:浦和 2-2 大宮 ~ 監督から選手へと受け継がれる伝統の自爆ボタン

・シュート数12対4。決定機の数でも浦和は大宮を優に凌駕しており、どう見ても追加点さえ取れていば楽勝だった試合。それどころか凡ミスと評するのも緩すぎるような、あまりにもお粗末な大失態で同点に追いつかれたのがこの試合の全て。最後の失点も正直なんだかなぁという形で、試合内容自体はそんなに悪くはなかったものの、点の取られ方が酷くて勝ちきれませんでした。

・18位新潟や17位広島には勝てるが、16位大宮には引き分け止まりで、15位札幌には負けるのが今の浦和の実力。もはやリーグ優勝どころかACL圏入りすらも絵空事と化し、J1残留だけが現実的な目標になってしまった浦和にとって勝ち点1を積み上げ、降格圏にいる大宮に勝ち点3を与えなかったことを以て最低限のタスクは果たしたといっても良いのかもしれません(自嘲)

・堀監督は「攻撃偏重&極端なセットプレー軽視」というミシャスタイルのバランスの悪さを是正するところから始めたようで、短い準備期間にも関わらずその意図はチームにしっかり伝わっていました。また結果は付いてきませんでしたが立ち上がりのわずかな時間を除いてほぼ浦和ペースで試合が進んだだけでも良しとすべき試合だったと思います。

・点の取られ方があまりにも衝撃的で、結果的にまたしても複数失点を喫してしまいましたが、堀監督が守備をなんとかしようと試みたのは明らか。森脇はともかく、宇賀神が攻撃参加することはほとんどなく、古典的な3バックに回帰したような感じ。必然的にボランチが両方とも最終ラインに入ってしまうようなこともなく、中盤に大穴が空くこともない。当然ながらミシャスタイルより攻撃時の迫力は著しく減退しましたが、それでも決定機は作っているのでバランスは悪くありません。

・また2シャドーにはとにかく守れる人材を配置。武藤はもちろん、ズラタンをスタメンに抜擢し、かつ1トップではなくシャドーに配したのは当たりでした。ただ両名とも守備に奔走するあまり、決定機にシュート精度を欠いてしまう嫌いが。13分武藤クロス→ズラタンヘッドはともかく、19分スローインを受けてフリーでバイタルエリアに侵入したズラタンのシュートが枠にすら飛ばなかったのはがっかり。どちらか決めていれば楽勝でしょうに。もっとも守備貢献が高い上に決定力もあるような選手ならJリーグに留まってないのでしょうが。

・攻撃時に縦パス&フリックみたいなリスキーなことはあんまりやらず、むしろ大宮の高い最終ラインの裏狙いみたいなシンプルな攻撃を試みる回数のほうが多かったかと。

・さらにいったんリードした後はアホほどリスクをかけることなく、むしろカウンター狙いに終始。特に後半はその志向が顕著でした。大宮にボールを持たせても特に危険はないと見切っての所業なのかもしれませんが、その狙いも的中して前半終了間際に遠藤がボール奪取後そのまま持ち上がって、関根横パス→遠藤で決定機。また後半もカウンター専用機ラファエルを投入して、すぐさまラファエル→武藤で決定機を作りました。これまたどちらか決めていれば楽勝でしょうに。

・セットプレーもショートコーナーを交えるという工夫が見られただけでも大きな進歩。またこぼれ玉を拾ってシュートで終わる意識をも高めているのか、21分には宇賀神が際どい枠内シュートを放つ見せ場がありました。先制点(PK)の契機となったのはFKの流れからで、奥井がエリア内ハンド。

・攻→守の切り替えも心なしか速くなり、ビルドアップが拙い大宮最終ラインには前からしっかりプレッシャーをかけ、受け手にはがっつり当たる。大宮戦にありがちな球際での競り負け、当たり負けもさほど感じられず、むしろ優勢とすら思われた試合だったにも関わらず、そんな努力の数々を全部フイにしたのが66分の宇賀神の大失態。GKのほうを向いてボールを受けられる態勢にない遠藤にパスを出すかね???そこに遠藤がいるだろうという「だろう運転」が招いた惨劇でした。

・最後の失点も相当情けない。そもそも岩上にどフリーでクロスを上げさせているのがアウト。関根は最終ラインに吸収されて無駄に人数が余っており、武藤が慌てて岩上に駆け寄るも時すでに遅し。そして瀬川に前に入られてしまった遠藤も残念ですが、瀬川が叩きつけたボールは緩かったにも関わらず、まるでジャンプのタイミングがズレたかのように頭上を越されてしまう西川は残念極まりない。もはや枠内に撃たれたら一巻の終わり。文化シャツター様は「シャットアウト」どころか「ナイスセーブ」すら出せない有り様で、これでは怒りのあまり「スポンサーを降りる!!」と言われても返す言葉がない。どうしたんや、西川。

Dscn1876

-----興梠-----
--武藤----ズラタン--
菊池-阿部--柏木-関根
-宇賀神-遠藤--森脇-
-----西川-----

(得点)
26分 興梠(PK)
69分 柏木(菊池クロスをGK加藤がキャッチしきれず、柏木詰める)

(交代)
75分 興梠→ラファエル
80分 菊池→駒井(関根が左WBへ)
90+2分 ズラタン→李 忠成

・ズラタン以上にびっくりしたのが菊池のスタメン抜擢! 天皇杯での出来を見る限り、WB陣の中ではもっともスタメンに遠く、平川にも遠く及ばないと思っていただけに心底びっくりしました。ただ前半の出来は芳しくなく、肝心なところでパスミス&ボールコントロールミスを連発して正直攻撃の阻害要因に。ただ後半前に広大なスペースが生まれるようになると俄然生き生きしだして2点目を演出。相手を押し込む展開だと使えないが、カウンター要員にはなるみたいで、攻撃にあまりリスクをかけない堀スタイルで最も得をした選手なのかも。また中3日でアウェー甲府戦があるので、駒井を温存してここで菊池を抜擢した側面があるのかも。

・出場停止の槙野の代わりは予想通り宇賀神。専守防衛で良いなら田村でも良かった気がしますが、田村はここで起用されないとなると前途多難。

・那須、青木、高木、梅崎と普段のベンチ入りクラスが軒並み故障したため、田村、矢島、平川がベンチ入りしましたが、ベンチメンバーではかなりレギュラーに近いと目された長澤がベンチ外になったのは非常に不可解。体調不良か何かなのかも???

・2日の練習で小破して出場が危ぶまれた遠藤はなんとか無事フル出場。積極的に相手の前でボールを奪取する場面が多かったものの、2失点にがっつり関与。それ以外にも78分にプレゼントパスの一幕があり、依然万全にはほど遠い模様。ミシャが代表帰りでも遠藤を酷使したのが未だに祟っているとしか言いようがなく、阿部をCBに下げる決断を堀監督が下すのかどうか。

・興梠のほどんど助走を取らないPKはホンマ心臓に悪い。でも加藤が先に動いてしまって大過なし。

Dscn1874

---江坂--マルセロ---
岩上--------茨田
---カウエ---大山---
和田-菊地--河本-奥井
-----加藤-----

(得点)
66分 マテウス
88分 瀬川

(交代)
58分 奥井→マテウス
77分 大山→瀬川
85分 カウエ→横谷

・大宮はキックオフ時の配置を見て4-4-2と記しましたが、実際は左SH岩上が最終ラインに下がって5-3-2、さらにマルセロも2列目に下がって5-4-1になっていた時間帯のほうが長く続きました。

・立ち上がりはかなり積極的に前からプレッシャーをかけ、浦和もビルドアップに難儀しましたが、それも15分くらいまで。あとは基本高い位置に守備ブロックを作って待ち構え。

・後半になるとカウエをなぜか左CBに据えて3-1-4-2に布陣を変え、その後も頻りにFWを入れて前目の選手を車掛かりっぽくどんどん配置転換しては見ましたが、最大限良く解釈しても2点目が大宮の狙い通りだっただけで、全くと言っていほいほど決定機は作れませんでした。

・伊藤監督は就任以来4-1-4-1でやっていたはずなのに、なぜかこの試合はフォーメーションといい、人材配置といい、目まぐるしくグルグル。新外国人自体は共に当たりっぽいのですが、彼らを活かす最適解を見出すべく試行錯誤しているうちにシーズンが終わってしまいそう。少なくとも何の怖さもないポゼッション志向はマルセロを活かす道ではないと思うのですが。

・加藤はキック精度がガタ落ちで浦和時代の面影は微塵もなし。安全に外に蹴りだすことばかりやっているとこうなってしまうのかな? 菊池のクロスをキャッチしきれなかったのも残念でした。

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