【展望】17年第28節仙台戦
(成績)
・勝ち点35(10勝5分12敗)の12位。もはや残留争いに巻き込まれる恐れはないが、トップハーフに入れる可能性も薄いという例年通りの成績でシーズンを終えようとしています。残留争い組に対する取りこぼしは少ないが、上位陣にはまるで勝てないという判りやすい傾向があり、しかも好不調の波もでかくて今季既に3連敗が2回。中下位になるべくしてなっているという成績です。
・前回対戦で浦和に7点取られた他、3点、4点と大量失点している試合が目立つ反面、ボトムハーフの中では得点力が高く、勝てばボロ勝ち、負ければボロ負けといかにも成績が安定しないチームらしいスタッツを残しています。
・直近ではFC東京相手に双方何の見どころもない塩試合をやったかと思えば、C大阪戦では一歩間違えれば壮絶な撃ち合いになりかねない派手な試合を演じており、シーズンを通してどころか試合毎でも出来不出来が激しいチームなのかもしれません。
・但し、ルヴァン杯では鹿島を撃破して準決勝進出。鹿島はCBの層が薄いのが数少ない泣きどころで、レギュラーCBが共に代表招集で不在だった幸運に恵まれた気がしますが、これはこれでたいしたもの。
(戦力)
・夏の移籍期間ではカザフィ体制下で完全に出番を失ったWB古林と、広島から新潟・清水とレンタルに出されるもいずれもフィットせずに終わったMF野津田をレンタルで獲得。共にコンスタントにスタメン出場しており、ピンポイントに良い補強をした模様。
・一方故障者が多く、序盤攻撃の軸になっていた左WB永戸とボランチで不動のスタメンだった富田が長期離脱。左WBは中野が穴埋めしていますが、ボランチは適任者不在なのか、なんと基本前目の奥埜が!
・リーグ戦中盤でボコボコ点を取りだしたFWクリスランは故障の影響なのか、戦術的な問題なのか、最近は後半途中からの出場に留まっています。次節浦和戦は浦和からレンタル中のFW石原が契約上出場できないので、1トップに誰が入るのかが見もの。前節C大阪戦では石原に代えて途中からなんと野沢が登場。なお今年獲得した平山は開幕前に大けがをして以降全く出番がありません。
・他に前節はGKシュミットダニエルが小破して欠場。
・若返りは着実に進んでいて、FW野沢や右WB菅井はほとんど出番がなくなった上、MFリャンも高卒3年目の西村に押し出されて最近は後半からの短時間出場に留まっています。CB増嶋も高卒2年目の椎橋にポジションを奪われてベンチへ。出番が減った左WB石川は札幌へレンタルに出されてしまいました。若返りが進んだのが今年の仙台の最大の成果かも。
(戦術)
・渡邉監督は今季新たに取組んだ3-4-2-1を一貫して採用。また渡邉監督はポゼッションに拘りをもっているようですが、仙台がパスを繋いでボールを前に運んだところで特に何かが起こるわけではありません。相手がプレッシャーをかけて来ても慌てなくなった辺りはポゼッションに拘ってきた甲斐があったかなと思いますが、それ以上の意味はなさげ。持ち味はむしろショートカウンター。
・なんとか前にボールを運んでも結局両WBからのクロス攻撃に頼りがち。アーリー気味にでもバンバンクロスを放り込んできます。このスタイルには夏に獲得した古林がぴったりで、どうしてもちょこちょこ仕掛けたがる腰高ドリブラーの中野はイマイチ。ただ往々にしてボールウォッチャーになりがちな浦和DF陣にとって大外へのクロスを多用する仙台の攻撃は非常に苦手かも。
・また三田&野津田とシュートレンジが広い選手がいるので、バイタルエリアがぽっかり空くとミドルシュートをぶちこまれかねません。
・梁がスタメンを外れることが多くなったのでFKは三田が蹴っていますが、元来得意だったセットプレーからの得点への影響は不明。
・守備は素早く攻守を切り替えて高い位置から積極的にプレッシャーをかけてきます。前目でボールが奪えない時の次善策として5-4-1の守備ブロックを敷くような格好。ただ富田がいないためかバイタルエリアの守備が案外緩くて、C大阪戦では際どいシュートを随分撃たれており、単にC大阪(特に山村)の決定力不足で事な気を得ただけのような。従って、最近は複数失点こそ記録していませんが特段守備が堅くなったようには見受けられません。
・浦和からレンタル中の石原がこの試合は契約上出場できず。石原はフィニッシャーとして(リーグ戦総得点34のうち8点が石原。ついでクリスラン7点)、さらにビルドアップというか縦パスの受け手としても文字通り孤軍奮闘中なので、石原不在の影響は半端ないと思われます。実際前節対戦時では石原不在がモロに響いて仙台の攻撃はほとんど体をなしていませんでした。
(浦和の対応)
・ACLアウェー上海上港戦から中3日。怪我を押して強行出場した柏木を筆頭に前目の選手を中心に疲労は甚だしく、守備陣もフィジカルの強い相手に激しいバトルを演じて相当お疲れだと思われます。仙台戦を最後に9/9柏戦から中2、3日で続いた連戦が終わり、代表に招集された槙野&遠藤を除けば10/14神戸戦まで試合が空くので無理使いが効く選手は極力使うのでしょうが、幸か不幸か浦和にとってリーグ戦はもはや消化試合。
・従って、上海上港戦でベンチスタートだったズラタン・高木・矢島・駒井・森脇は全員スタメンで出て来ても何らおかしくありませんし、故障明けの宇賀神も槙野に代わって左SBで出て来ても不思議はありません。
・少々机上の空論っぽいものの面子はそれなりに計算が立ちますが、問題は依然機能する気配のない戦術のほう。堀監督は相手に応じてフォーメーションを変える考えは全くなさそうで仙台相手でも4-1-4-1で臨むのでしょうが、準備期間もない中で面子を大幅に入れ替えて突如新戦術が機能し始めるとはとても思えないので、当然ながら苦戦が予想されます。
・埼スタではどういうわけか渡邉監督が付け焼刃の対浦和戦術で臨んで大敗する試合が目立ちますが、今回は立場が逆で戦術の成熟度が低いのは浦和のほう。ただでさえ苦戦しがちなユアスタでどうなることやら。
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<前節:C大阪 1-4 仙台>
-----石原-----
--野津田----梁--
中野-三田--奥埜-古林
-椎橋--大岩--平岡-
------関-----
(得点)
42分 石原
70分 野津田
77分 椎橋
90分 野沢
(交代)
69分 石原→野沢
73分 古林→蜂須賀
81分 リャン→西村
<前回:浦和 7-0 仙台>
---梁---奥埜---
-----藤村-----
永戸-三田-富田-蜂須賀
-増嶋--平岡--大岩-
------関-----
(交代)
HT 藤村→クリスラン
68分 永戸→茂木
68分 蜂須賀→菅井
・便宜上3-4-1-2と記しましたが、そんな形になっている時間帯はなく、前半は完全に5-3-2。後半クリスランが入って3-4-2-1に戻した風でしたが、如何せん陣形ガタガタの前がかりなのでよく判らず。
・それにしても毎回毎回渡邉監督は浦和とのアウェーゲームでやり慣れない策を弄して、その度に惨殺されるのか不思議でなりません。わざわざ伝統の4-4-2を放棄して、今年3-4-2-1に取り組み始めたばかりというだけでもかなりのハンデと目されるのに、この試合ではその3-4-2-1すら放棄してなぜか5-3-2を採用して案の定全く機能せず。
・おまけに過密日程でも何でもないのに、前節川崎戦からスタメンを3人も入れ替え。新戦術定着を最優先にここまでリーグ戦5試合とも同一スタメンでやっていたと目されるのに、なんでここでわざわざスタメンを弄るのか??? しかも抜擢した3人(藤村・蜂須賀・増嶋)が揃いも揃って何の役にも立たないありさま。普段やってないフォーメーションを採用し、しかもスタメンまで弄ってチーム熟成が進んだ浦和に対峙するなんて愚の骨頂。7-0の大差は起こるべくして起こったような気がします。
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