【観戦記】17年第30節:浦和 3-3 G大阪 ~ 中位チームには毎度引き分け止まりというお約束(苦笑)
・台風21号の接近で風雨とも激しく、埼スタの屋根は何の役にも立たずにスタンドの奥にまで雨が吹き込んでくる観戦者にとっては非常に厳しい環境。そんな中でも埼スタのピッチは思いの外良好で、少なくとも「田んぼの中での単なる蹴り合い」にはならず、繋ぐべきところはしっかり繋ぐ普段通りのサッカーができ、悪くはない試合内容で3度リードしながらその度に追いつかれて引分け。磐田・鳥栖・神戸・G大阪と中位チーム相手には全て引き分けという、これまた普段通りの結果に留まりました。
・閉塞感としか言いようがなかった前節神戸戦と比べれば内容は格段にマシですが、3点も取られて「内容は良かった」はない。しかも攻守のバランスが悪くて得点も多いが失点も多いという判りやすいミシャスタイルの問題と違って、現状は失点のあり様が実に多彩で手の施しようがあるのか、いや手を施す気があるのか疑わしくなるくらい。ザルが壊れたので別のザルに代えただけに終わっている現体制を来年も続けるのでしょうか???
・また上海上港戦の激闘から中3日にも関わらず、スタメンは武藤→ズラタンと1名代えたのみ。超重馬場なので矢島や高木などスキルフルだがパワーに乏しい選手は使いづらいのだろうと好意的に解釈しましたが、案の定後半半ば以降失速気味に。スタメンに無理があるのは堀監督も了知していて早目に選手を代えては来ましたが、選手交代がどうにも嵌らず、3度追いつかれる一因になってしまいました。
・特に消耗が激しくはないズラタンを早々と下げたのは謎。ズラタンは攻撃面ではあまり良いところがありませんでしたが、セットプレーの守備で高さを失い、高木の出来も良いとは言い難かっただけに、選手交代による収支は結果的にマイナスだったような。選手交代の拙さゆえに勝てる試合を勝ちきれないというのは結構辛いかと。
・繰り返しになりますが前節神戸戦と比べれば内容は格段にマシというか、故障者が多いこともあってかG大阪は信じ難いほど弱くて浦和はビルドアップには全く苦労せず、球際も概して浦和が優勢で必然的に前半から浦和が押し気味の展開。もっとも前半は押し込んではいても概してG大阪守備ブロックの周りでボールを回すだけに終わり、20分遠藤縦ポン→ラファエル裏抜けのビッグチャンスがあったくらい。ただG大阪にはほとんど何もさせず、35分右サイドで遠藤航が安易に飛び込んだのが仇となってそのままウィジョにエリア内シュートまで持ち込まれた場面があっただけ。
・ところが後半になると浦和の攻撃陣がついに爆発。50分ラファエルの得点はセンターサークル付近からの青木の突進が契機。興梠とのワンツーは実りませんでしたが、東口が弾いたこぼれ玉をラファエルが詰めてゴール。青木にいとも易々とバイタルエリアまでボールを運ばれてしまうG大阪の3ボランチとは何なのか。
・65分のラファエル2点目も見事。スカスカのG大阪バイタルエリアで遠藤航→長澤→ラファエルと繋ぎ、ラファエルが左サイドから巻いてゴールマウス右隅を狙いすましてゴール。ラファエルを左SHに回したのは大正解。対峙する右SB初瀬はポジショニングといい、単なる1対1といい概して守備に難があるようでラファエルにボコボコにされてしまいました。
・73分はマウリシオのボール奪取からのカウンター。柏木がぽっかり開いた中盤で楽々ボールを運んでスルーパス→興梠というよくあるパターン。興梠は神戸戦&上海上港戦と決定機を決められずに調子落ちぽかったのですが、この試合興梠に訪れた唯一の決定機を決めてくれました。
・興梠に代わって投入された梅崎にも79分決定機が2度。ただ梅崎投入で下げたのがラファエルではなく、興梠だったというのが守備を考えれば甚だ疑問。消耗が酷い点ではラファエルも興梠も大差はなく、堀監督の「ラファエル信仰」が結果的に首を絞めた気も。
・得点パターンは多彩で、これだけ取り出せば神戸戦で感じた閉塞感も多少払拭できるのかもしれませんが、得点の度にすぐさま追いつかれるようでは喜ぶに喜べず。54分の失点は特に情けない。FKを蹴るのが遠藤保でも井出口でもなく初瀬だった意外感があったのかもしれず、ファーで遠藤保に抜け出された辺りは巧くやられた気もしますが、その後全員足が止まって折返しのウィジョに誰も付いていないのは実に酷い。競り負けですらないという酷い失点。
・67分の失点もなかなかのお笑い種。浦和左サイドに進出してきた遠藤保に易々をクロスを上げられたのも困ったものですが、エリア内の赤崎がどフリーというのがどうにも解せない。赤崎はそれまでほとんど何もしておらず、J1では力不足なのだろうと侮っていましたが、あれだけどフリーだとやられてしまいます。赤崎はこれが今季初ゴール。
・興梠のゴールで何とか逃げ切れるかと思ったのですが、ATになって落とし穴。長谷川監督は81分に長沢を投入して得意のセットプレーに活路を見出す手に出ましたが、それに対する堀監督の柏木→李という交代がなんとも微妙(しかもいつも通り3枚目のカードはなかなか切らない)。守り切るなら那須投入があっても不思議はなく、あくまで追加点を狙うなら柏木を外す手はないはず。
・初瀬CKに対して阿部が被ってしまい、呉屋には長澤が付いていましたが及ばず。マヌケ度はもっとも低い失点でしたが、こうなる前に打つ手はあったような気がしてならない残念すぎる結末でした。
-----興梠-----
ラファエル-長澤-柏木-ズラタン
-----青木-----
槙野-マウリシオ--阿部-遠藤
-----西川-----
(得点)
50分 ラファエル
64分 ラファエル
73分 興梠
(交代)
65分 ズラタン→高木
77分 興梠→梅崎(梅崎が左SH、ラファエルが1トップへ)
90+1分 柏木→李
・リーグ戦では初スタメンの長澤はこの日も大活躍。執拗に絡んでくるG大阪守備陣をものともせずに身体を張ってボールを保持して前線へボールを運ぶ、運ぶ。しかも単なる運び屋に留まらず、試合を重ねるにつれて周囲との連携も良くなり、気のきいたパスも出せるようになりました。2点目は長澤のアシスト。あえて難を言えばIHとしては自ら点を取りに行く姿勢に欠けるところかな。長澤の大ブレイクが今年最大の収穫かも。堀監督が就任当初に抜擢した菊池でも矢島でもなかったというのが皮肉ですが。
---赤崎--ファン----
-----遠藤-----
-井手口-中原--倉田-
藤春-今野--三浦-初瀬
-----東口-----
(得点)
54分 ファン・ウィジョ
67分 赤崎
90+2分 呉屋
(交代)
68分 遠藤→米倉(中原&井手口の2ボランチの4-4-2へ)
75分 赤崎→呉屋
81分 中原→長沢(倉田がボランチ、ウィジョが左SHへ)
・出場停止明けの倉田がスタメンに復帰し、故障したオ・ジェソクに代わって初瀬が右SBに。また新聞報道通り新潟戦ではベンチだったFW赤崎、MF中原をスタメンに抜擢。
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