【観戦記】18年第3節:長崎 1-1 浦和 ~ もはやペッカーですらない。何がやりたいのか?
・ボール支配率はもちろん、シュート数でも浦和が長崎を上回っていますが、どう見ても決定機は長崎のほうが多くて「負けなくてよかった」というべき試合内容。66分には右サイドからのクロスを契機に島田に決定機を作られ、75分には途中投入の田上縦ポン→武蔵が裏抜け&西川と一対一。さらには試合終了直前の長崎CK→武蔵ヘッドと、どれか一つ決まっていたら即座に堀監督の首が飛んでいただろうと思われるくらい酷い試合でした。
・前半の試合内容は比較的マシでした。ゲームの入りは上々で、ルヴァン杯名古屋戦から中2日の厳しい日程ながら浦和は前からしっかり圧力をかけてファンマに高精度の縦ポンを蹴らせず、長崎得意の「いきなりファンマ作戦」をそれなりに封じていました。しかし点が入る気がしないのは相変わらず。幾度も長短のカウンターチャンスがありながらシュートで終われるケースが少なく、決定機らしい決定機は34分長澤の縦パスを受けた興梠が裏抜け&GKと一対一になった場面だけ(シュートはわずかに枠外)。また13分にもマルティノスからのクロスが飛び込んだ興梠&長澤に惜しくも合わなかった場面が。
・それでも長崎にはほぼ何もやらせていなかったのでスアコレスで折り返せえれば「悪くない前半」と総括できたでしょうが、前半間際にエリア内で遠藤が左WB翁長の足を引っかけてしまってPK与。武蔵にPKを決められて先制されてしまいました。
・「点が取れる気配はほとんどないのに、毎度毎度失点する」のが堀体制の基本仕様。先制されると極端に勝ち目は薄くなり、相手のシュートミスなり西川の好守なりで追加点こそ許しませんでしたが、途中投入のズラタンのヘッドで何とかドローで終えるのが精一杯。先制した長崎に自陣深くに5-4-1の守備ブロックをしっかり築かれてしまうと浦和は手も足も出ず、守備ブロックを崩すアイデアのかけらすらなく、思い思いに誰にも合わないクロスを上げたり、個々人で突っかけたりするだけに。
・FC東京→広島→長崎とボトムハーフクラスと思しきクラブとの開幕3連戦をわずか勝ち点2で終えるというスタートダッシュどころか「スタートから逆噴射」という結果もさることながら、内容が日に日に悪くなるというか混迷の度を深めているように思えます。
・F東戦はクロス精度が劣悪で全く点が入る気がしませんでしたが、長崎戦を終えて振り返ってみるとなんとなくやりたいこと(=ペッカー2018)だけは判っただけまだマシだったのかも。これでは点が入らないので武藤の位置を中に絞り気味にしたのが広島戦。そして長崎戦はなんと堀体制では「禁断」だったはずのフリックが復活。監督の指示ならともかく、選手が勝手にやりだしたのならチーム瓦解の兆候以外の何もでもありませんが、それはともかく「ペッカーとミシャ式の珍妙なキメラ」のようにしか見えないかったこの日のスタイルをいつまで続けるつもりなのか???
・また戦術がどうにも固まらない、選手間に浸透しない間はとりあえずこの日の後半のように個人能力で殴り続けて勝ち点をもぎ取るのもアリ(もちろんそんなものは永続するわけがない、相手次第での便法)だと思いますが、どうにも不可解だったのはこの試合で完全にブレーキだったマルティノスを前半だけで見切りをつけないどころか、71分まで放置したこと。最初に下げたのが長澤ってなんじゃそりゃ???
・マルティノスは長崎のガツガツした守りが嫌なのか、ガツンと当たられてボールロストが目立つ上にその後痛がってボールを追わず、また良い形でボールをもらっても判断が遅くてたちまち囲まれてしまいがち。そうこうしているうちに集中も切れてしまい、47分にはマルティノスのバックパスが直接ファンマに渡ってしまう大失態も。
・広島戦で垣間見られたように今の浦和はマルティノスを軸に右サイドからのチャンスメークが生命線。それゆえマルティノスに拘るのは判らなくもないのですが、これだけこの日ははっきりとダメだと判る選手をだらだらと引っ張るのって、昨年の謎の「矢島贔屓」に相通じるような気がしてなりません。こういうのってサブ組のモチベーションを著しく削いで碌なことにならないと思いますが。
武藤---興梠--マルティノス
--長澤----柏木--
-----青木-----
宇賀神-槙野-マウリシオ-遠藤
-----西川-----
(得点)
76分 ズラタン
(交代)
67分 長澤→武富
71分 マルティノス→ズラタン
82分 宇賀神→菊池
・小破して広島戦&ル杯名古屋戦を欠場した柏木がスタメンに復帰。これで広島戦で醜態をさらした「プレースキッカー不在問題」は解決しましたが、この日の柏木はそれ以上のものは何も見せられず。
・中2日での連闘の影響が最も甚大だったのは遠藤かな?ドリブルで突っかけてくる翁長の足を引っかけてPKを取られただけでなく、後半も翁長のスピードについてゆけずに簡単にクロスを上げられる場面も。でも森脇が故障して信頼できる代えがいないからなぁ・・・
・気になるのは依然としてマウリシオの調子が上がらないこと。この日はファンマとマッチアップする機会が多かったものの、ガタイが強い上にスピードがあるファンマに苦戦気味で、槙野のカバーのお世話になることもしばしば。この出来では岩波との入れ替えが現実味を帯びてきたような。
-----ファンマ-----
--鈴木----澤田--
翁長-島田--碓井-飯尾
-高杉--チェ--徳永-
-----増田-----
(得点)
44分 鈴木(PK)
(交代)
71分 髙杉→田上
79分 澤田→中原
84分 島田→中村
・前節鳥栖戦では終盤急激に運動量が落ちて自陣深い位置でタコ殴りの憂き目に合い、2点リードを守れなかった長崎。しかし、この試合はそれほど極端に運動量が落ちたように見えず。同じルヴァン杯から中2日とはいえ、長崎はルヴァン杯で総とっかえだったのに対し、浦和は半とっかえだったのが長崎に幸いしたのかもしれません。
・残念ながらセットプレーで同点に追いつかれてしまいましたが、試合内容では浦和相手にほぼ完勝。積極的に前からプレッシャーを掛けに行ったかと思えば、潔く自陣に引きこもってしまうこともあり、さらにボールを奪ったら長い距離を前目の選手が全力で駆け上がる。そんな滅茶苦茶しんどそうで夏場は破綻しそうなサッカーで浦和を土俵際まで追い詰めた高木監督。いやはや、選手の個人能力差をここまで監督の力量差できっちり埋められるとはなぁ・・・
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