【DAZN観戦記】18年第10節:柏 1-0 浦和 ~ 中2日の相手に走り負けては話にならず
・スコアこそウノゼロですが、前後半ともGK西川の好セーブで凌いだ場面が何度もあった反面、浦和の決定機は長澤と興梠に各々一度あったくらいなので内容的には大差がついて然るべき試合だったと思います。全く手も足も出なかった。久しぶりにそんな感想を抱きました。
・大槻組長が構成員をシバキ上げて戦績を3勝3敗3分かつ得失点差ゼロという全くのイーブンな状態にまで引き上げ、さらにオリヴェイラ新監督を迎えてさぁ大反攻だぁ!!と意気込んで日立台へ繰り出した方も多かったでしょう。しかし、残念ながら依然浦和の喫緊の課題は優勝争いではなくJ1残留であることを再確認せざるを得ない。そう言い換えてもなんら差し支えない酷い試合内容でした。
・とにかく後半の動けなさっっぷりが半端ない。柏は前節アウェー長崎戦から中2日かつ遠距離移動付き。浦和はほとんど移動がない中3日なので条件は浦和有利。しかも柏は立ち上がりからボールの出し手といい受け手といい厳しくプレッシャーをかけに来たので終盤息切れするだろうと思いながら観戦していましたが、先に足が止まったのは浦和のほう。後半の浦和はボール保持もままならずに防戦一方に陥り、攻撃は63分槙野→興梠の決定機に象徴されるように興梠にぽーーんと蹴るなり、無理目のスルーパスを狙うなり、非常に単純かつ単調なものしか成立しませんでした。
・走行距離は浦和も柏も113km前後で大差がありませんが、スプリント回数に大差があり(柏211回、浦和173回)、これが浦和の「走り負け」の印象に繋がっているのでしょう。また走り負けもさることながら、球際での競り負けも少なくなく、不用意なボールロストからショートカウンターを食らいかかることもしばしば。40分西川の縦パスをタッチ際で受けた宇賀神がロスト→中川→江坂ボレーという大ピンチがその象徴でしょうか。
・浦和の後半の失速傾向は大槻組長の時も顕著(特に仙台戦・清水戦)。堀監督の冬季キャンプの失敗が尾を引いているものと目され、まとまったトレーニングがとれる中断期間まで改善は難しいだろうと思います。せいぜい打てる手といえば積極的なターンオーバーくらい。その意味では札幌戦から中3日での連戦にも関わらず、スタメンの変更が阿部→マウリシオの一人だけだったのが疑問視されますが、それも結果論の域を出ないでしょうし。
・フォーメーションは札幌戦と同じ3-4-2-1。オリヴェイラ監督が戦前明言したように攻守とも「継続」を重んじた内容で、しかも敵陣でボールを持つ時間があまりなかったこともあって攻撃は札幌戦のようなミシャ色が強く出た形ではなく、むしろ縦に速い大槻色が強い内容だったように感じました。しかしチームの意図はそうだったとしても柏の強いプレッシャーを受けてビルドアップがままならず、とうとうロクに攻撃の形が出来ないまま試合終了。札幌戦と違ってそもそも興梠に楽にボールを入れさせてもらませんでしたし、興梠がなんとかキープしてもフォローがなくて往々にして孤立しがち。
・それゆえ柏戦の完敗はオリヴェイラへの再度の監督交代が招いたものではなく、大槻組長が引き続き指揮を執っていたとしても似たような結果になったような気がしてなりません。
・意地悪く言えば大槻組長は勝てそうで勝ちきれなかった札幌戦をもって「潮目が変わった」とばかりに上手く手仕舞って「無傷」の看板を手に賭博場を後にしたようなもので、その辺は組長の勝負師としての強運なのでしょう。
・逆にババを引いたのがオリヴェイラ新監督。もっとも準備期間のない状態で途中から監督を引き継ぐ難しさはオリヴェイラも了知しての就任でしょうし、「時間がない」ことをいつまでも言い訳にされても困りますが、ここまで完敗してしまうと「継続」に拘らず、オリヴェイラ色を強く打ち出すのは案外早いかもしれません。
・オリヴェイラは就任早々セットプレーの練習をしたらしいのですが、サインプレーらしきものは確認できず、札幌戦同様フツーに蹴ってフツーに跳ね返されるの連続。まぁちょっと練習しただけでいきなり変わり身を見せろ!!と言われても酷でしょうが。悪い意味で新味があったのが最後の槙野&マウリシオを上げたパワープレー。もっともこれまた全くの不発で、結果的に「ミシャの狂気」を思い出させるだけに終わり、試合後の「なんだかなぁ」感を加速させてしまったような。
・次節の湘南も走ることにかけては柏の上を行きそうな相手だけに、オリヴェイラは大幅にスタメンを変えざるをえないでしょうが、中2日とほとんど練習時間がないのがネック。果たしてどうなることやら。
-----興梠-----
--武藤----柏木--
宇賀神-遠藤-長澤-橋岡
-槙野--マウリシオ-岩波-
-----西川-----
(交代)
66分 武藤→武富
78分 興梠→李
84分 宇賀神→菊池
・浦和は前節札幌戦から中3日でしたが、スタメンは阿部→マウリシオの入れ替えのみ。直輝とナバウトがベンチに復帰。
・この試合はとにかくサイドを徹底的にやられました。10分に左サイドを小池&伊東で攻略され、小池クロス→クリスティアーノヘッドでいきなり決定機。後半になって48分浦和右サイドからクリスティアーノクロス→ファーで伊東折り返し→江坂→ボギョンという形を作られました。この場面は辛うじて遠藤シュートブロックで凌ぎましたが、これが72分の失点(中山クロス→ファーで江坂折り返し→中川ゴール!)の原型。宇賀神が徹底的に標的とされたようで、失点場面では哀れにも江坂&伊東と二人と競る羽目に。
・またサイドに釣りだされた際のマウリシオのスピード不足も顕著。マウリシオは試合開始早々西川の縦パスを受けてボールロストという極めて危険な場面があった他、随所で危なっかしいプレーを連発して、もはや「一日一ポカ」の永田状態どころではない様子。連戦で阿部に無理はさせられず、遠藤をボランチに転用するとCBの頭数も足りないので代えるに代えられないのが辛い。
・おかしかったのは西川も同様。53分ボギョン→伊東→中川で綺麗に中央を崩される絶体絶命の大ピンチを片手で防いだのを筆頭に好セーブを連発していたので悪く言われる筋合いはないと思いますが、このところどうにもキック精度が劣悪でタッチを割ってしまうならともかく、プレゼントパスを連発。65分には前に出て縦パスを出したは良いものの、直接ボギョンに渡って際どいロングシュートを浴びる一幕も。
・前半左で作ってフリーの橋岡へ展開する場面が何度かありましたが、決定機は35分こぼれ玉を長澤が拾った1回だけ。橋岡は守備では引き続き大奮闘しているものの攻撃まで多くを期待するのは無理があり、それ以上に宇賀神が攻守両面で精彩を欠き、サイド攻撃がまるで成り立たないのもこの試合が低調だった一因かと。WBもSBもどちらも人材難ですが、この調子だとオリヴェイラは中断期間を待たずに4-4-2へ転換してしまうかも・・・
-----江坂-----
クリスティアーノ-中川---伊東
---大谷--ボギョン--
中山-ジョンス--鎌田-小池
-----中村-----
(得点)
72分 中川
(交代)
69分 大谷→手塚
88分 キム・ボギョン→小泉
90+2分 鎌田→中谷
・柏は長崎戦から中2日にも拘らず中谷→鎌田、亀川→中川とスタメン入れ替えは2名のみ。特にクリスティアーノ・江坂・伊東といった前目のキーマンはスタメンを弄らないどころか90分使っての堂々勝利なのには恐れ入りました。
・またクリスティアーノを左SHに配したのが大当たり。両サイドでSH&SBがゲームを作り、江坂がためて中川なりボギョンなりが突っ込んでくる。結局この繰り返しが見事に奏功したような試合だったと思います。
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