【観戦記】18年ルヴァン杯第4戦:G大阪 0-1 浦和 ~ 仁義なき戦い 吹田死闘編
・週末のリーグ戦から双方大幅に面子を入れ替えての一戦。当然ながら双方とも連携に難があって、いたるところでパスミスが続出。またフォーメーションの噛み合わせ上随所で一対一が発生し、小競り合いとまではいかないものの激しくやりあう場面もしばしば発生。そんな状態だったので綺麗に敵陣を崩すような場面を期待するのは難しく、「より致命的なミスを犯したほうが負けやな」と思いながら観戦していましたが、案の定究極のミス=PKを与えてしまったG大阪が負けるという判りやすい結果に。クルぴ監督が「内容的にはほぼ0-0の引き分けで終わるような試合だったと思います。逆に、どのような結果が出てもおかしくないような試合とも言えると思います。」と負け惜しみを口にしていますが、その評もあながち間違ってはいません。
・シュート数もG大阪8本、浦和10本と多くはなかったせいか、試合内容は悪く言えば「有料の練習試合」の域を出ず、昼間は汗ばむ陽気なのに日が沈むと急激に冷えてしまうという4月らしい気候だったことも相まってちょっと塩加減多めの観戦と相成りましたが、選手個々人にスポットを当ててみればそれなりに見どころのある試合でした。大槻組長が眼光を鋭く光らせている中でどの選手も手の抜きようがなく、やれることを懸命にこなしているのははっきりと判る。ただそれがどうにも噛み合わないので、非常にもどかしい。そんな試合だったと言い換えてもいいでしょう。
・浦和は週末の清水戦から中2日、かつさらに中2日で札幌戦が控えていることもあり、CB遠藤以外全部入れ替え。CB岩波も清水戦ではマウリシオ故障を受けて長時間出場したので事実上9人入れ替えといっても良いでしょう。清水戦に出ていたメンバーでは西川、橋岡、柏木、長澤がサブで帯同したものの、興梠・武藤・菊池・阿部・槙野は完全休養。故障明けの宇賀神とズラタンがベンチ入りした他、ユースの大城がサブに入ったのが目を惹きました。
・面白かったのはフォーメーションを大槻組標準の3-4-1-2ではなく、ルヴァン杯広島戦と同じ4-4-2を採用したこと。組長は多くを語っていませんが、浦和はもともとWB/SBの層が薄い上に森脇が故障中なこと、さらにマウリシオが故障してCBまで頭数が怪しくなったというチーム事情を踏まえたものかもしれません。またレギュラー組がごっそりおらず3-4-1-2を採用してミシャ式の残り香にすがるメリットもないので、より汎用性の高い4-4-2を組んだだけかもしれません。いずれにせよG大阪の4-2-3-1(守備時4-4-2)にあえてマッチアップさせる意図ではなかったと思います。
・どう思案しても「(WB/SBが)一人足りない・・・」という番町皿屋敷状態に陥っている中で右SBのお鉢が回ってきたのが柴戸。神戸戦では途中投入で突然WBをやらされ、今後はSBと本職とは程遠いポジションを任された柴戸ですが、対面はなんと本職SBでも対応が楽ではない泉澤。これはさすがに柴戸には荷が重く、11分には早々と泉澤に深々と右サイドを抉られてしまいました。
・また同じ右サイドではマルティノスとオ・ジェソクが対峙。こちらは五分五分で、しかもオがやたら激高したり、マルがやたら痛がったりしてプレー以外のところで妙な見せ場を作っていましたが、マルの戻りが遅いと右サイドはたちまち炎上。21分にマルのボールロストを契機にオが前方進出→井出のシュートがポストを叩く場面がありましたが、これが決まっていたらそのままG大阪が勝っていた可能性は高かったと思います。それほど前半の右サイドは怪しげ満点でした。
・一方浦和はマルティノスorナバウトの独力突破&クロスに活路を見出そうとしている風でしたが、クロスは誰にも合わなかったり、簡単にクリアされたりとさっぱり。前半のサイド攻撃で形になったのは37分ナバウト→荻原クロスがG大阪DFにあたって軌道が変わり、ゴールマウスを襲いそうになった場面だけ。それ以外の見せ場は前半終了間際の荻原ミドルシュートくらい。
・後半開始早々に遠藤ドリブルで持ち上がり、ナバウト→李の決定機がありましたがその後しばし沈黙。60分くらいまでG大阪の攻勢が続き、CKを結構与えてしまいましたが、ここで浦和守備陣が奮戦。両サイドの守備は怪しげながら、なんだかんだ最後の最後でやらせない。きっちり中央で跳ね返す。やたら若いG大阪の攻撃陣では岩波&遠藤&青木で固める(おまけに直輝もいつになく守備に専念)浦和の中央をこじ開けるにはいかにも力不足でした。J1レベルとJ3レベルの差と言ってしまえばそれまでですが。
・また燃え上がる両サイドに我慢に我慢を重ねた組長もとうとう見るに見かねたのか、60分前後に相次いでSBを交代。この交代の効果はてきめんでG大阪の攻勢は尻すぼみに。浦和は橋岡投入後マルとナバウトの左右を入れ替えて逆襲に転じる構えを見せましたが、試合を決めたのは主攻たるサイド攻撃ではなく、なんと青木の縦パス。難しい体勢から柏木と見まごうばかりの鋭い縦パスがアーク付近にいた武富にズバリ。もっとも武富にはCB菅沼が付いていたのでそのままシュートに持ち込むのは難しかったかもしれませんが、助太刀に入ったCB西野が愚かにも武富の足を引っかけてPK。武富自ら難なく決めて浦和先制。
・先制後はマルティノスが急に活き活き。水を得た魚というか、スペースを得たマルティノスというか、正しいマルティノスの使い方はこうだよなぁ、狭いところでごちゃごちゃやっているうちはダメだよなぁ、と実に判りやすい。後ろが宇賀神で安心感があるせいか、攻めに迷いがない。武富への惜しいクロスあり、自らカットインしてシュートあり、そして最後は対面の米倉を狡猾に退場に追い込む無双ぶり。マルは右だと変に仕掛けたがるのに対し、左では簡単にプレーしようとするせいか、左のほうが活きるみたいで。
・広島→神戸→大阪となぜか曰くありげなところばかりの平日カチコミ3連発を大槻組はなんと負け知らずで突破。今週末は先代が殴り込みにやってくる「仁義なき戦い 完結編」。乞うご期待!!
---李---武富---
ナバウト-------マルティノス
---青木--直輝---
荻原-遠藤--岩波-柴戸
-----福島-----
(得点)
71分 武富(PK)
(交代)
57分 荻原→宇賀神
63分 柴戸→橋岡
90分 武富→長澤(長澤がボランチに。直輝がトップ下に上がって4-2-3-1か)
・スペースがない状態ではどうにもならず、おまけに出来にムラがあるというか気分屋なので途中からは使いづらいという難点があるものの、長所もはっきりしているのがマルティノスに対し、ナバウトは常に一生懸命やっているけれども常に空回りしている状態。初登場の広島戦が最高で、その後試合を重ねるごとに悪くなっているような気が。本人も相当焦っているのか、やたら無理目のシュートを撃って、しかも味方にぶち当てること2度、3度。最後は電池切れで守備に戻れなくなってしまいました。組長ラストゲームでの評価はいかに。
・李は生粋のストライカーで縦パスを収めるのは得意ではないので、サイドから良いクロスが入らないと活きようがない。またFWとしての武富はどちらかといえばシャドーあるいはセカンドタイプなので、相方にボールが収まらないと活きない。両SH含めて前目の4人は皆頑張っているんだが、先制後カウンター連発モードに入るまでなかなか噛み合わず、これがこの試合のもどかしさの主因だったような気が。
・故障明けの宇賀神がついに実戦復帰。30分程度の出場でしたが、荻原の後だとさすがに安心感・安定感が段違い。宇賀神がこれほど頼もしく思える日が来るとは(つД`)
-----中村-----
泉澤---井出---藤本
---高江--市丸---
オ--西野--菅沼-米倉
-----林------
(交代)
HT 藤本→食野
78分 井出→髙木
87分 泉澤→福田
・「競争の中で、選手として成長したい」「周りと競争することで成長できる」と言い放って浦和を去った無双のエトワール矢島はすっかりJ3の主力選手と化して、なんとベンチにもおらず。そうか、矢島はもう星になってしまったのか・・・
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