« 真しま@練馬 ~ 中華そば | トップページ | トップチーム新体制に関する雑感 »

2018.04.22

【観戦記】18年第9節:浦和 0-0 札幌 ~ 竜虎相搏つ仁義なき戦い ついに完結

・CKが10対2、FKが26対8と大差がついたにも関わらずシュート数は13対9とさほど差がついていないという数値が如実に示すように、「浦和がかなり押していたけれども、なんだかんだと札幌が決定的なところはやらせなかった試合」でした。

・押していた時間帯が長かっただけに勝たないといけない試合だったという気がしてなりませんが、GKク・ソンユンを脅かすような決定機は非常に少なく、20分柏木CK→遠藤シュートがGK正面を突いたのと、74分長澤がバイタルエリアから撃ったのが際どかったくらい。それ以外は59分カウンターから柏木→興梠が惜しくもオフサイドになったのを筆頭に決定機でわずかにラストパスが合わなかったり、あと一歩のところでシュートがブロックされたりと「惜しい」だらけ。言うなれば、勝てそうな試合を勝ちきれるにはあと一歩も二歩も足りないと思えてならない試合でした。

004

・フォーメーションは大槻体制定番の3-4-1-2だと思いながらしばらく見ていましたが、どう見ても武藤の位置がいつもより低くてほぼ3-4-2-1。つまりミシャ式にミラーゲームでガチンコ勝負を挑んだ格好。しかも相手の良さを消すどころか、槙野や岩波が時折攻撃参加したあたりに象徴されるように、攻撃面でも大槻体制下では最も往年のミシャ式に近い感じになりました。

・しかし、興梠が割と自由にボールが持てる割には相手を押し込んでからの崩しがいかにも拙い。ボールは持っているのだが、概してパススピードが遅い上に単調なパス交換だらけで相手の意表を突くような動きがなく、自陣を固める札幌守備陣を揺さぶるには至らない。この辺がまとまった練習時間が取れず、何かを積み上げ、何かをブラッシュアップするのも難しく、ミシャ式の残り香に縋ってゆくしかない大槻組長の苦しいところ(もちろん練習時間が取れないという問題はオリヴェイラ新監督にも目先のしかかります)なんでしょうし、さらに言えばミシャ式とはほぼ真逆なことをやって半年あまりを空費した堀体制の宿痾なのかもしれません。

・おまけにCK&FKをアホほどもらったのに何の工夫もなく、札幌守備陣に跳ね返され続けたのにもがっかり。この辺も練習時間が取れないがゆえなのかも。

・また組長の選手交代も珍しく遅いように感じられました。74分長澤の決定機を最後に浦和はお約束のガス欠に陥ってパスミスが続出したものの、札幌優勢に傾いたわけでもないので組長は動きづらかったのかもしれません。そしてミシャが仕様通り早め早めに選手を代えるのに対し、組長が動いたのはミシャが全弾撃ち尽くしてから。「ミシャさん・・・弾はまだ残っとるがよう・・・」とばかりに組長最後の選手交代が嵌って勝てれば「仁義なき戦い 完結編」に相応しかったのですが、残念ながら組長の弾もしけていて何の効果もないまま試合終了。

001

・札幌にしてみれば、三好が一人気を吐いていただけで思うように攻撃の形を作れないどころか、ミラーゲームで必然的に生じる一対一で劣勢に陥ってビルドアップすらままならない時間帯が長かった以上引き分け御の字の試合だったと思います。ただここで驚いたのがミシャが一切無理をしなかったこと。「狂気の3枚替え」に象徴されるように、勝ちを焦って自爆ボタンを押しまくっていたあの日々は何だったのか? 北の大地では寒すぎて自爆ボタンが壊れてしまったのか?? それにしても粘り強く塹壕戦を耐え抜くミシャなんてものを見る羽目になるとか!!

・ホームでスコアレスドローだったにも関わらず、試合終了後のスタジアムは温かい拍手に包まれていました。勝てなかったけれども選手達が目一杯闘っていたことは間違いなく、その奮闘ぶりへの拍手だったかもしれませんし、それ以上にこの試合がラストゲームとなる大槻組長への賛辞&感謝だったのかもしれません。

・大槻組長の「20日間抗争」。磐田戦で完全にぶっ壊れたチームをロクな準備期間もなかったのにリーグ戦3勝1分、ルヴァン杯1勝1分と見事に立て直して無事完結。選手達の潜在能力を信じ、そのモチベーションを上げに上げ、古参の成功体験を呼び戻し、新参者の競争意欲を掻き立てて、フィールドプレーヤーを全員使って過密日程を乗り越えてのこの結果は天晴れというしかありません。

・ただ如何せん就任時に「暫定」という立場をフロントから明言されていたので、その手法で長いリーグ戦を闘い続けられるのか、戦術のバリエーションをどのくらい持っているのか、そういう辺りは未知数のままに終わりました。強烈な印象、圧倒的な戦績だけを残して颯爽と現場を去る。勝てそうで勝ちきれなかった札幌戦は組長にとっていい潮時だったようにも思えました。

003

-----興梠-----
--武藤----柏木--
宇賀神-遠藤-長澤-橋岡
-槙野--阿部--岩波-
-----西川-----

(交代)
81分 長澤→青木
86分 宇賀神→武富(武藤が左WBへ)
90分 興梠→李

・スタメンは前節清水戦から故障したマウリシオに代えて岩波、菊池に代えて故障明けの宇賀神と2枚入れ替え。水曜日のルヴァン杯と比較すると遠藤&岩波が連闘。

・面白かったのが3バックの並びを変え、遠藤ではなく阿部を中央、岩波を右CBに据えたこと。阿部は序盤都倉に空中戦で苦戦気味でしたが徐々に慣れてほぼ封殺に成功。また岩波がミシャ式の薫陶を全く受けていないのにも関わらず、前半ちょろちょろ最前線に顔を出していたのには驚きました。ボランチに上がった遠藤の出来も秀逸。札幌のビルドアップは遠藤によって壊滅状態に陥ったといっても良いくらい。

・圧巻だったのは橋岡。試合に出る毎にどんどん巧くなるようで、対面の菅には全く何もさせず。菅がさっぱりなので、その後ろの福森も上がるに上がれないという副次効果も生んで札幌得意のサイド攻撃を封じる役目を十二分に果たしました。これだけ出来れば攻撃参加がイマイチだったとしても今は文句は言われないでしょう。

・マウリシオは故障、マルティノスとナバウトは水曜日に90分使って中2日なのでベンチ外なのは仕方ありませんが、ズラタンは出番なし。運悪く小破したせいかもしれませんが、ズラタンは結局大槻体制下でルヴァン杯広島戦で短時間出場しただけに終わりました。中村GMが客寄せパンダとなるような積極的な無駄遣い補強を明言しているので、ズラタンの去就が気になります。

002

-----都倉-----
--チャナティップ--三好--
菅--宮澤--深井-荒野
-福森--キムミンテ--進藤-
-----クソンユン-----

(交代)
HT 深井→早坂(早坂が右WB、荒野がボランチへ)
62分 三好→兵藤
81分 チャナティップ→宮吉

・故障で前節柏戦を欠場していたチャナティップ、深井、宮澤、福森が続々と戦列復帰。どいつもこいつもなんで浦和戦に照準を合わせてくるかね・・・でもチャナティップは全く何もさせてもらえず、唯一の見せ場が後半長澤を突き飛ばしたのになぜかイエローが出なかった場面(苦笑)。

・すっかり札幌のキーマンとなった駒井は契約上出場できず。ミシャは駒井の不在を嘆いていましたが、今日の出来だとミラーシステムを挑んでくる相手には駒井がいたところでフツーにビルドアップに苦労しそうだと思いました。というか、これまで札幌と対戦した相手が無策すぎたような・・・

・都倉が阿部に封じられて以降、札幌の攻め手は三好のコネコネから「かいしんのいちげき」しかなくなったのに、その三好を下げて守備を固めるミシャの一手にはびっくり。どうも三好のコンディションの問題だったようですが。

|

« 真しま@練馬 ~ 中華そば | トップページ | トップチーム新体制に関する雑感 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 【観戦記】18年第9節:浦和 0-0 札幌 ~ 竜虎相搏つ仁義なき戦い ついに完結:

« 真しま@練馬 ~ 中華そば | トップページ | トップチーム新体制に関する雑感 »