【観戦記】18年ルヴァン杯プレーオフ第2戦:浦和 2-1 甲府 ~ 合計2-3であえなく敗退
・第1戦の惨敗を受けて、少なくとも90分間で相手に得点を与えずに2点取らないといけなくなった第2戦。最低限必要だった「2得点」というタスクをわずか24分で達成し、あとは甲府の反撃をしのぎながら延長戦を含めてじっくり1点を取りに行けばいいという理想的なゲーム展開になったにも関わらず、2点目の直後にマウリシオの凡ミスが祟って「アウェーゴールを与えない」というもう一つのタスクはあえなく崩壊。
・51分にCKからの流れで武藤のシュートがポストを叩いたのを最後に浦和は大失速して攻守とも全くいいところがなく、なんとか体を張りに張って致命的な2点目こそ取られませんでしたが、浦和に点が入る感じは全くしないまま試合終了。アウェーゴール差どころかただの得失点差合計差でルヴァン杯プレーオフ敗退が決まってしまいました。
・それにしても27分の失点は痛恨でした。アウェーゴールを与えたことで延長戦はなくなってしまい、「残り60分強で相手に得点を与えずに2点取らないといけない」という試合開始よりさらに悪い条件での戦いを余儀なくされてしまいました。失点は森に絡まれたマウリシオの失態によるものでしたが、この試合マウリシオは非常にミスが多く、まるでただ風呂の設計技師がサッカー選手の真似事をしているかのよう。本物のマウリシオはプールの底に吸い込まれて、今頃ローマ帝国で働いているかも。
・ただ後半の大失速を見ると、この失点がなくても浦和が逆転勝ち出来たかどうかかなり怪しい気もします。浦和のスタメンは天皇杯から長澤→直輝、菊池→橋岡と2人代えただけ。そもそもルヴァン杯第1戦から中3日で天皇杯、さらに中2日で第2戦という厳しい日程(しかも昼間は30度と暑い!)だったにも関わらず、天皇杯でほとんどスタメンを変えなかったのが奇怪で、ほとんど同じ面子で3連戦に挑んだ浦和は、アウェーゴールを与えたダメージも重なってか後半大失速。天皇杯で全とっかえした甲府と比べて運動量の差は隠しようがありませんでした。
・オリヴェイラ監督はコンディション不足を嘆いていますが、全く動けなかった第1戦なんてルヴァン杯を前に厳しい練習をやりすぎてコンディション調整に失敗したのも同然ですから半ば以上自業自得。上野監督にも浦和の厳しい練習からくるコンディションの悪さを指摘されていますし。天皇杯でターンオーバーしなかったことを考え合わせると、オリヴェイラはハナからルヴァン杯を捨てていたとまでは言いませんが、少なくとも優先順位は天皇杯>>ルヴァン杯だったのでしょう。
・浦和はどういうわけか「プレーオフ」とか「チャンピオンシップ」とか、そういうイレギュラーな、オマケ感漂う試合にはことごとく負けるのが定め。この大会も「プレーオフ」ではなくノックアウトステージのラウンド16という位置づけだったらなんとかなったかも(自嘲)。
・まぁそれはそれとして、メンバー落ちとはいえJ2のクラブに力負け。この事実は厳然と受け止めるべきであり、浦和の実力はもはやJ2に転落してもなんら不思議はないレベルにまで落ちていることを実証したようなものでしょう。中断明け後ナバウトが戦線に復帰しようが、ファブリシオが加入しようが、今季の目標は「J1残留」のみ。ただそれだけです。ゆえに再開初戦のホーム名古屋戦は必勝を求められ、その前の天皇杯松本戦でのひと叩きも結果はもちろん内容が問われることになりましょう。オリヴェイラ監督も正念場です。
-----興梠-----
武藤---直輝--マルティノス
---青木--阿部---
宇賀神-マウリシオ-岩波-橋岡
-----西川-----
(得点)
19分 興梠
24分 興梠
(交代)
HT マルティノス→柏木(直輝が右SHへ)
56分 武藤→李
64分 阿部→武富(武富が左SH、柏木がボランチ、李がFWへ上がって4-4-2へ)
・興梠の2得点はいずれもスーペル。1得点目はバイタルエリアまで一人で運んで抑えの効いたシュートをゴール隅に叩き込んだもの。2点目はマルティノスのパスをエリア内で受け、飛び出したGKの位置を見てループ気味に反転シュート!! 裏抜けして良し、ポストになって良しと、この試合の興梠の出来はケチのつけようがありませんでした。
・ただその興梠もやはり孤軍奮闘の感はぬぐえず。守備時5-4-1ながら最終ラインが高い相手になんとか裏抜けに成功しても、サポートが遅くて甲府DFがゾロゾロ帰陣してしまい、結局シュートに持ち込めない場面を何度見たことか!
・この試合で珍妙だったのはマルティノスが終始前残りしていること。当然ながら守備貢献は皆無に等しく、橋岡の前にはスペースがぽっかり。その穴埋めにボランチが奔走すると当然ながらバイタルエリアに穴が開いてしまう。おまけにしょっちゅう痛がってピッチに転げまわり、橋岡にすら立て!と促される始末。この出来では前半だけで見切りを付けられるのもやむを得ないと思いますが、前残りしているがゆえに興梠のサポートとして一番役に立っていたのもマルティノス。
・34分に興梠が甲府CBのミスを突いてエリア内突入した場面がありましたが、この時いち早く最前線に突っ込んで絶妙な位置にいたのはマルティノス。マルティノスの前残り現象は天皇杯でも見られたもので、なにがしか意図があってやっているような気がします。また終盤甲府が引き気味になり、サイド攻撃くらいしか活路がなくなったのに高精度のクロスを入れられる選手がおらず、結果的にマルティノスを下げたのが痛手になったという皮肉な現象も。直輝をサイドに出してもあんまり意味がないかと。
・クロス攻撃といえば、最後のカードが橋岡→森脇ではなかったのも不思議。わざわざトゥーロンから呼び戻した橋岡は守備で手一杯(それだけでも菊池よりはるかにマシなんですが)で攻撃にはほとんど期待できないだけになおさら。最後の阿部→武富の交代はほとんど効果がなく、マウリシオを上げたパワープレーもこれまた何の効果もありませんでした。
-----森------
--小塚----堀米--
高野-佐藤--島川-湯澤
-ビョン--小出--今津-
-----河田-----
(得点)
27分 小塚
(交代)
60分 堀米→リンス
60分 森→田中
88分 小塚→道渕
・FW金園とCBエデルリマがベンチにもいなかったのが謎で、特にリマ不在は少なからず影響があったように見受けられました。
・しかし足が止まり気味の浦和に対して後半途中から投入された和製ケンペスと「仕上げのリンス」の威力は凄まじく、特にスピードがあるリンスは厄介でした。
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