遠藤 航選手、シント=トロイデンVVへ完全移籍で基本合意
・C大阪戦の前日(7/21)になって突如遠藤航選手がシント=トロイデンVV(ベルギー1部)へ完全移籍することで基本合意した旨が公表されました。先日「茂木力也選手、謎のレンタルバック」の稿で「ひょっとすると遠藤や橋岡が海外へ流出する話があるのかもしれませんが」と記しましたが、そのリスクシナリオがいきなり現実のものに。
・もともと海外志向の強い選手で、端的にいって浦和へ来たこと自体が海外移籍へ向けての踏み台的な意味合いがあったので、このタイミングでの移籍は特段不思議ではありません。もう25歳と若くはないので海外雄飛のチャンスは限られており、またロシアW杯メンバーに選ばれたものの結局出番はなく、他の国内組も概して冷遇されていたことも背中を押したのかもしれません。
・遠藤は2016年浦和に加入してすぐに3バックの中央(リベロ)としてスタメンに定着。翌年堀監督の下では3バックの右CBないし4バックの右SB、大槻~オリヴェイラ監督の下では3バックの右CBとポジションを移しながらもほぼ一貫して浦和の主力として活躍してくれました。ルヴァン杯ではPK戦5人目のキッカーとしてPKを蹴って見事に成功。これがキャプテンになるべくしてなった漢らしい(といっても浦和ではキャプテンになれませんでしたが)、浦和在籍時の一番の見せ場だったと思います。
・遠藤は典型的な「読み」で勝負するCBで、ラインの統率も巧み。さらに高精度のフィードを繰り出せるし、湘南仕込みの機を見ての攻撃参加もありといかにもミシャ好みのCBでした。ただ身長178cmとCBとしてはフィジカルに難があり、Jリーグレベルならまだしも、ACLレベルだと粗が目立ったのは事実。CBでは世界レベルに遠く及ばないとの自覚があるのか遠藤本人は終始ボランチに拘っているようですが、ボランチとしては浦和でもA代表でもポジションを確保できなかったのもこれまた事実。ベルギーリーグは欧州では少々格が落ちるとはいえ、楽にポジションが確保できるような場でもないと思います。
・浦和は主力中の主力を失う羽目になりましたが、もともと海外志向の強い選手を無理に引き留めた挙句ゼロ円移籍されるよりはマシと考えて、今回の移籍の運びとなったものと思われます。また遠藤は主力中の主力だったとはいえ、右CBは岩波・森脇・橋岡と控えが案外充実している(現時点で茂木を戦力カウントするのはさすがに厳しいかと)ので、原口や関根の流出時ほどの打撃はないと予想します。
・もっともふたを開けてみたら「遠藤の穴はでかかった!!」というのもよくある話。関根然り、井手口然り、「しょっぱいオファーに飛びついて出て行った選手は実力不足で試合に出られず、出て行かれたチームは穴が開いたまま」という「誰も得をしない悲惨な移籍劇」にならなければいいのですが・・・
・また浦和にはミシャ末期に集めたはずの20代半ばの選手が様々な形で悉くいなくなり、スムーズな世代交代が難しいという中期的な問題が遠藤移籍でより一層重くのしかかることになってしまいました。若くて優秀な選手がすぐに海外へ出てゆく傾向が加速し、おいおいどこのチームもぽっと出の若手と、海外へ行けなかったなんとも微妙な選手と、尾羽打ち枯らして海外から戻ってきたベテラン選手という構成になってしまうのかもしれませんが。
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