【DAZN観戦記】18年第33節:湘南 2-1 浦和 ~ 不甲斐ない試合内容で、3位入りは完全消滅
・湘南はルヴァン杯優勝で超久しぶりにタイトルを獲得したものの、ルヴァン杯勝ち残り&台風による試合順延の関係で過密日程を強いられたのが祟ってか、リーグ戦ではなかなか勝ち点を積み上げられずに残留ラインのすぐ上を絶えず彷徨っている状況。一方浦和は計算上ACL圏入りの可能性を残しているものの、残り2勝してかつ3位鹿島&4位札幌の負けを願うしかないという厳しい状況で、最終節のわずか4日後(12月5日)へと前倒しになった天皇杯準決勝へと気持ちが移っていても特に不思議はありませんでした。
・代表ウィーク明けの一戦ですが、この日の試合内容には両チームの置かれた状況から来るモチベーションの差が多分に影響したように感じました。試合開始早々右WB石原が対面の宇賀神をがっつり削ってイエローをもらった場面に象徴されるように、湘南はいつもながらの凄まじい運動量に加えて球際の激しさ・厳しさがいつもの2割増しみたいな感じで、浦和は球際で負け、競り合いで負けまくっていたような塩梅。
・またモチベーションの差以上に、浦和は思わぬ怪我人続出でハンデを背負う羽目になったのも試合結果に直結したといって良いでしょう。浦和は柏木がイエロー累積で出場停止。また中断期間中に槙野がキルギス戦で不運極まりない脳震盪を起こして湘南戦には出場できず。さらにマウリシオが右下腿三頭筋肉離れで離脱。おまけに小破で前2節を欠場していた青木がこの一戦にも間に合わず、浦和はなんとレギュラー陣4名がごっそりいないという苦しい状況に追い込まれてしまいました。オリヴェイラ監督はやむなく、柏木→武富、槙野→茂木、マウリシオ→森脇、青木→阿部と入れ替え。
・ファブリシオ離脱以降、ほぼ固定したスタメンで勝ち星を積み上げてきた浦和にとって一挙にレギュラー陣が4人、しかも後ろ目の選手がごっそりいなくなった影響がないはずがなく、特に守備面にその影響が顕著だったように感じました。DAZNのスタッツだとシュート数は26vs9と浦和が圧倒していますが、湘南の数少ない決定機にレギュラー陣をごっそり欠いた浦和が守備の脆弱さをさらけ出して負けたと言い換えてもいいでしょう。
・1失点目はCB坂のロングフィードをCF山崎が頭で落とし、良い形でボールを拾った梅崎がそのまま独走してゴール。森脇が久しぶりに3バックの右に入りましたが、裏を取られた格好の森脇のスピードでは梅崎に追いつけず。というかドリブラーにやられまくる森脇ってもう何度も見た光景なんだよなぁ・・・もっともこの場面、山崎に競り負けた岩波の罪もでかく、後方に残っていた茂木の対応も疑問符が少々。
・梅崎はシュート意欲が非常に強く、好機に撃ちまくるものの、そのほとんどが入らないという「入らないエメルソン」が基本仕様だったはず。その梅崎がよりによって古巣浦和戦で最初のチャンスをいきなり決めるかね、フツー・・・・
・また湘南が夏に徳島から強奪したCF山崎は得点力こそいかにもJ1未満な感じですが、ポストプレーヤーとしては結構厄介で、浦和は山崎への対応が概しておざなりだったようにも見受けられました。
・2失点目は自陣深い位置からの阿部の素早いリスタートで、パスを受けようとしていた長澤が松尾主審に激突してしまうアクシデントが契機。「松尾どこ見てんねん!!!」と怒り狂いたくもなりますが、こぼれ玉を拾った石川を後方に残っている浦和の選手達は集中を欠いたかのようにただただ傍観。しかも石川がクロスを上げた先の菊地を茂木が見ていないという失態も重なって菊地が難なくゴール。試合後オリヴェイラ監督は茂木を「いろいろなポジションでプレーできる選手なんですけど、できる中では一番向いていないセンターバック」と評していますが、その評価通りの残念な対応でした。
・失点には直結していませんが、青木に代わってスタメン起用され続けている阿部の出来も残念至極。この試合では湘南を自陣に押し込んでいる時間帯が長く、自然浦和は前がかり気味に3バック(しかも森脇はかなり前目に進出)&アンカー然とした阿部だけで守る場面が目立ちましたが、阿部はもはや湘南の繰り出すカウンターを早めに潰すフィルター的な仕事が全然出来ていないような・・・
・レギュラー陣を4名欠いたことで守備は著しく脆弱になった感じがしたのに比べて、攻撃は相対的にはマシ。森脇が前に出て橋岡を支援しながら右サイド主体に攻める得意の形は何度も出来ていました。守備面を考えれば橋岡CB、森脇WBという配置がベターなのでしょうが、橋岡は森脇や岩波と違って後方から高精度のロングフィードなりクロスなりを繰り出せないので攻撃が成り立たず、その辺は痛し痒し。
・そしてサイドからのクロスあり、カットインからのシュートあり、ミドルシュートありと浦和は序盤からそこそこ攻撃の形は作っており、ボックス内に侵入する回数も多かったのですが、残念ながらシュート数の割にはなんだかんだとGK秋元をびびらせるようなシュートは撃てませんでした。湘南が好機を確実に決めたのに対し、浦和は47分宇賀神横パス→長澤がシュートをしっかりミートできずに絶好機をフイに。
・難を挙げれば柏木不在は縦パスの出し手が少ないところに顕著でした。柏木に代わって武富が久しぶりにスタメン起用されましたが、武富は柏木と違ってパスの受け手で、長澤と特性が被り勝ち。しかも長澤と違ってボールを受けたところでの当たり負けが目立ち、ほとんど良いところがなくお役御免。縦パスが入らないので2トップが下がりがちになってしまい、これもシュート数の割には決定機が少ない一因に。
・2点ビハインドを受けてオリヴェイラ監督は67分武富に代えてナバウトを投入して3-4-2-1に布陣変更。しかし、ナバウトは怪我明け後も連携に難があるのが顕著なのに、中断期間中豪州代表に選ばれてチーム練習に加われなかったのが祟ってか、相変わらず空回りしたまま。また一発はあるものの、もともとスペースがないところで活きるプレースタイルではないので、この選手交代は完全にハズレでした。
・さらにオリヴェイラ監督は71分森脇を諦めて柴戸を投入し、岩波を3バック右、阿部を中央に配置転換。77分珍しく茂木が攻撃参加してなんとボックス付近にまで顔を出したことで湘南守備陣が混乱したのか、茂木→武藤ヒールパス→裏抜け下興梠のゴールでついに反撃開始。
・その直後に武藤→ズラタンで一気に勝負に出て、ズラタン自体はボールの収め処として機能し、少なくともナバウトよりはずっと働いていましたが、ズラタンも全体練習に復帰したばかりでチームとしてはズラタンの有効な使い方がよく判らないままに時間が徒過。湘南をボックス内に釘付けにしながらも浦和のシュートは悉く枠外orシュートブロックにあって同点に追いつけず。
・この敗戦で浦和は3位入りどころか4位にすら入れないことが確定。ACL出場権を得られるのはもはや天皇杯優勝だけになってしまいましたが、中3日で天皇杯準決勝を迎えるリーグ最終節をどのような布陣で迎えるのか。槙野&柏木の復帰は確実ですが、マウリシオと青木は無理使いしないかもしれません。ただ湘南戦のような「不甲斐ない」と感じざるを得ない試合内容は勘弁してほしいものです。
---武藤--興梠---
---武富--長澤---
宇賀神--阿部---橋岡
-茂木--岩波--森脇-
-----西川-----
(得点)
77分 興梠
(交代)
65分 武富→ナバウト(ナバウトがシャドーの3-4-2-1へ)
71分 森脇→柴戸(柴戸がボランチ、岩波が3バックの右、阿部が中央へ)
77分 武藤→ズラタン
・右サイドではU19代表の橋岡とU21代表の杉岡が対峙。奇しくも「ルックスに全く若さが感じられない若者」同士のマッチアップでしたが、いつもゴールキックのターゲットになる橋岡が杉岡になかなか競り勝てないのも地味に響きました。
-----山崎-----
--梅崎----菊地--
杉岡-齊藤--石川-石原
-大野--坂---山根-
-----秋元-----
(得点)
20分 梅崎
56分 菊地
(交代)
HT 齊藤→金子
76分 梅崎→高山
90+2分 石原→野田(高山が右WB、野田がシャドーへ)
・湘南は浦和からレンタル中の岡本が契約上出場できず、代わりに石原がスタメンに。ボランチの一角に金子ではなく齋藤が入ったのがやや意外。
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