浦和2018年総括(2) ~ 反撃へ向けて時間と勝ち点を稼いだ大槻暫定監督
・堀監督の後任には大槻育成ダイレクターが暫定監督として就任。堀監督をわざわざ中断期間開け初戦の後に更迭するという、タイミング的にはどう見ても愚行としか言いようがないフロントの所業のために、大槻暫定監督は準備期間が全くない状態でチームを立て直すという非常に難しいタスクを強いられました。
・大槻体制初戦のルヴァン杯第3戦アウェー広島戦をメンバー総とっかえの上でドローで凌ぎ、その直後のリーグ戦第6節仙台戦では堀体制の4-1-2-3をあっさり放棄して、フォーメーションを3-4-1-2に転換。仙台戦は多分に相手のフォーメーションに合わせての対策的意味合いが強かったと思われましたが、以後神戸戦・清水戦とそのフォーメーションを継続して結果は存外の3連勝。
・大槻暫定監督は基本フォーメーションを主力選手が慣れ親しんでいる3バックに戻した(但し主力が抜けるルヴァン杯では4-4-2)だけでなく、自信を失っていた選手たちのモチベーションを高め、時にはケツを蹴り飛ばしながら過去の成功体験を呼び戻すという「モチベーター」として稀代の才能を発揮しました。どこからどう見てもヤクザの高級幹部にしか見えないいで立ちで指揮を執るという演出力というか自己プロデュースにはただただ脱帽!!
・「勝っていても負けていても同点でも、どんなに苦しい状態でも戦いなさい、走りなさい。そうすれば、この埼玉スタジアムは絶対に我々の味方になってくれる。そういう姿勢を見せずして、応援してもらおうと思うのは間違っている。」 清水戦のMDPに掲載されたこの言葉は浦和史上屈指の名言でしょう。
・大槻組長が構成員をシバキ上げて一気に勝ち点10(3勝1分)を稼ぎ、リーグ戦序盤とはいえ順位を9位にまで上げて一息ついた功績が高く評価されるのは当然のこと。この貯金がなかったら後任のオリヴェイラ監督は就任早々目先の勝ち点稼ぎに忙殺され、その結果リーグ終盤へ向けての大反撃なんて考える余裕なんて生まれなかったかもしれません。
・ただ大槻暫定監督はまとまった練習時間が取れない中、かつ「暫定」というある意味気楽な立場ゆえ、もっぱらモチベーション注入で勝ち点を稼いだ側面もあり、短期間で結果を出すというタスクにたまたま向いただけかもしれません。フロントが後任探しをさぼって下手に大槻体制を長期化させていたらボロを出したかもしれません。
・その意味では堀監督を更迭した直後に山道本部長を事実上更迭し、中村修三氏をGMとして招聘したのは遅まきながらとはいえ好判断でした。山道氏はミシャ長期政権後の構想がノーアイデア、ノープランで堀コーチを急遽再登板させる愚を犯したのみならず、その堀監督すら1年を経ずに更迭する羽目となったことで、さすがに浦和経営陣から詰め腹を切らされたのでしょう。真面目に監督を探そうとしない山道氏が続投していたら、その後の浦和はどうなったであろうかと想像するだけでぞっとします。
(続く)
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