浦和2018年総括(5・完) ~ 衝撃のファブリシオ長期離脱と体制再整備
・第24節アウェー名古屋戦では相手の超強力ブラジル人選手によってボコボコにされてしまったとはいえ、中断期間開け後のリーグ戦戦績は4勝2敗3分と上々の出来。第24節終了時で勝ち点は32まで積み上がり、順位も9位に浮上して降格を気にする必要はあまりなくなりました。
・ところが好事魔多しというかなんというか、ファブリシオが第25戦ホームC大阪戦で自爆して長期離脱。チームに馴染むのにあまり時間はかからずに着々とゴールを量産するだけでなく、「ウルトラマン」のポーズで早々と人気者になったファブリシオ。中断期間開け後の浦和の得点源として誰もが期待を寄せていたファブリシオの長期離脱はとにかく衝撃的でした。
・C大阪戦ではファブリシオに代わって李が投入され、投入直後に鮮やかなカウンター、しかも多くの選手が関与しているという意味ではミシャ式の残り香っぽい素晴らしいゴールを李が決めるという見せ場がありましたが、試合全体を通じてみれば浦和は久しぶりにKLMが揃い踏みしているのが災いして、C大阪が固めている中央を細かいパス回しでなんとか打開しようとしてボールを失った挙句カウンターを浴びるの繰り返しで、結局セットプレー絡み2発で逆転負け。
・大槻→オリヴェイラ体制下では徐々に「ミシャの残り香」にすがるウェイトを減らし、縦に早い攻めに切り替えてゆく傾向が見て取れましたが、この試合は「ミシャの残り香」に別れを告げるという意味で象徴的な試合だったと思います。
・ファブリシオを失ったオリヴェイラ監督は第27節ホーム神戸戦からフォーメーションを青木アンカーの3-1-4-2ないし3-3-2-2に転換。当初はイニエスタ対策の意味合いがあった(しかしイニエスタ欠場で空振り)ようですが、これがシーズン終了までの基本フォーメーションとなりました。
・布陣自体総員突撃風味でやや前がかり気味、かつ序盤から激しく敵陣にプレッシャーをかけてゆくスタイルのためか、スコアは必然的に出入りが激しくなり、オリヴェイラ監督らしくなく毎試合失点を重ねるだけでなく、試合終盤の失速傾向も再び顕著になり始めました。久しぶりに最前線に据えられた武藤の得点能力が活きるという成果もありましたが、シーズン終盤に中盤の守備の要=青木が故障離脱する不運もあってG大阪・湘南に敗れてACL圏入りにはあと一歩届かない結果(勝ち点51の5位)に終わってしまいました。
・しかし、ACL出場権獲得というオリヴェイラ監督就任当初の公約は天皇杯優勝という形で無事達成。就任時の成績、さらにいえば中断期間入り時点での成績からすればリーグ戦3位以内という目標は現実味がなく、スタメン構成で判断する限りオリヴェイラ監督は早々と天皇杯重視の姿勢を見せていました。そのため槙野や遠藤はW杯終了後も休みをもらえず、3回戦松本戦にスタメン起用される憂き目に。
・なぜか敵地で戦う羽目になった準決勝鹿島戦では試合前日大原にサポーターを呼び込んで選手たちのモチベーションを上げに上げて、苦しい試合内容ながらセットプレー一発で逃げ切り勝ち。その試合で多数の負傷者を出したもの、ホーム埼スタが舞台の決勝戦では仙台相手にこれまた同じような準備、同じような試合展開で逃げ切り勝ち。オリヴェイラらしいというか、ある意味鹿島っぽい勝負強さを存分に発揮しての天皇杯奪還でした。
・堀体制瓦解からわずか8ヶ月。堀監督更迭時の真っ暗闇を思えば、よくぞここまでたどり着いた。実に感慨深いこの1年でした。
(完)
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