浦和2018年総括(4) ~ 長い中断期間を活かして整ってきた反撃体勢
・2018年Jリーグの日程面での最大の特徴はロシアW杯開催のため、リーグ戦は5月下旬からほぼ2ヶ月、その間に開催された天皇杯やルヴァン杯プレーオフをカウントしても1ヶ月ほど中断期間があったこと。その期間を活かして監督交代に踏み切ったり、大量の選手補強を敢行したりと派手に動くクラブもありました。
・浦和にとってはこの中断期間は2度にわたる監督交代後初の待ちに待ったまとまったトレーニング期間。中断期間開け後のホームゲーム第16節名古屋戦や第19節川崎戦のMDPを読むとオリヴェイラ監督は中断期間中に「フィジカルコンディションを上げる」「攻守の切り替え」「セットプレー」の3点に重点を置いてトレーニングを積んでいたことが明記されています。
・フィジカルコンディション向上の効果はてきめんで、特に第17節アウェーC大阪戦では練習が超厳しいことで知られるユンジョンファンのチームにも走り負けないどころか後半むしろ押していた時間帯すらあったのは驚きでした。
・素早い攻守の切り替えからのカウンターも有力な武器となりました。中断期間前にも川崎をアウェーで屠る試合がありましたが、中断明け後も広島・川崎と上位陣を連破。この連勝で厳しいトレーニングで積み重ねたことは正しかったと選手たちは自信を深めたことでしょう。
・セットプレーの練習に力点を置いた効果は天皇杯3回戦松本戦、第16節ホーム名古屋戦でいきなり発現!! 正直セットプレーの練習を全くと言っていいほどやらなかったミシャの5年半は何だったのかと訝しくなるほど(そして腹立たしいことに札幌ではセットプレーに力点を置いている)・・・ そしてこのセットプレーの練習の成果は暮れの天皇杯の舞台で再度活きてきます。
・また中断期間中に中村GMも一仕事。5/30にポルトガル1部のポルティモネンセに所属するブラジル人FWファブリシオを獲得し、第17節アウェーC大阪戦から実戦投入。ファブリシオは典型的なストライカーではなく、どちらかといえばセカンドタイプっぽいのですが、シュート精度というかシュートを撃つ瞬間の落ち着きはJリーグレベルから突き抜けており、第22節ホーム磐田戦でハットトリックの大爆発。
・もっとも長い中断期間があったとはいえ、オリヴェイラ監督も上記3課題をこなすのが精一杯で、攻守とも戦術的な積み上げ・ブラッシュアップはあまりなされないまま終わってしまった印象を強く受けました。端的に言えば第20節ホーム長崎戦、第21節アウェー鳥栖戦といったあまり前に出てこない相手には得意のカウンターを発動できず、手詰まりのまま試合を終えてしまう傾向が見受けられました。守っても強力な3バック&青木の個人能力頼みの色彩が強く、これらの問題の解消は年明け後のキャンプまで持ち越しになろうかと思われます。
(続く)
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