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2019.03.07

【観戦記】ACL2019・GS第1節:浦和 3-0 ブリーラム ~ ドン底札幌戦から明らかに内容は前進して今季初勝利

・悪い意味で浦和史上に残りかねないクソまみれの大失態を演じた札幌戦からわずか中3日。その後さらに中2日でアウェー松本戦が控えているためオリヴェイラ監督もさぞかしスタメン構成に悩んだことでしょう。そしてその結果は札幌戦から杉本→ナバウト、岩波→森脇、山中→橋岡と3人入れ替え。札幌戦で前半だけでお役御免になった杉本がスタメン落ちし、また札幌戦はベンチにも入らなかった橋岡がここでスタメン入りするのは予想通りでしたが、森脇をいきなりスタメン起用したのには心底驚きました。

・入れ替えがたった3人だけだったので、オリヴェイラ監督は中2日で迎えるアウェー松本戦でのスタメン構成にも頭を悩ませることでしょうが、リーグ戦は目先多少勝ち点を落とそうともまだまだ挽回が効くのに対し、ACLグループステージはたった6試合の短期決戦。初戦かつホームゲームで、このグループ最弱と目されるブリーラムから勝ち点を取りこぼすといきなり勝ち抜けが怪しくなります。よってオリヴェイラ監督はこの1戦を重視して現在のベストメンバーに近いスタメンを組んだのでしょう。

・そしてその結果は大当たり。自陣深くに5-3-2の守備ブロックを敷くブリーラムを攻め倦んだ前半の出来に不満な向きも少なくないようですが、個人的にはこれでも十分満足。同じように自陣で守備を固めた仙台には決定機どころかシュートさえほとんど撃てないまま試合を終えましたし、札幌戦に至ってはあの大惨事。この2戦ですっかり目線が下がり、期待値が著しく下がってしまったせいか、個人的には前半の出来ですらさほど悪いとは思えませんでした。明らかに前2戦より内容は前進している。今はそれだけで十分だと思いました。

・後半はいきなり「伝家の宝刀(?)」セットプレーで先制。その直後にプリーラムのセットプレーでヒヤリとしたり、ペドロ・ジュニオールの裏抜けを許したりとドタバタする場面がありましたが、それを凌いだ後は一方的な浦和ペース。攻撃面での寄与にとかく難癖をつけられがちな橋岡が2得点を挙げる「椿事」もあって、結果はケチのつけようがない大勝。浦和は今季ようやく初勝利を挙げ、監督・スタッフ・選手共ちょっと肩の荷が下りたかもしれません。

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・先述のように、この試合では右サイドに森脇&橋岡とリーグ戦では出番が無かった選手を並べましたが、これがオリヴェイラ監督がプリーラム戦用に温めていた秘策だったようです。左は宇賀神&槙野と長年組みなれたコンビに戻したことと相まって、この2試合非常に少なかったサイドチェンジでピッチを広く使う攻撃、CB&WBの連携によるサイド攻撃、あるいは槙野からの縦パスで宇賀神が裏抜けを狙う攻撃というものが前半から見られました。個人的にはこれだけでも大満足。

・相対的には右サイドからの手数が多め。必然的に高い位置を取りがち&スピードがない森脇の裏はブリーラムに露骨に狙われており、実際スピ森脇が対応に苦慮する場面も見受けられましたが、浦和は攻→守の切り替えが早くて前半はプリーラムにシュートを撃たせず。唯一24分柏木→森脇へのパスをカットされて19番(スパチョック)に森脇の裏を突かれるピンチがありましたが、槙野が駆け戻って無事消火。

・とはいえ、浦和の決定機も僅少。9分柏木クロス→ナバウトと、23分森脇縦パス→興梠反転シュートに可能性があったくらい。プリーラムが早々と5-3-2でリトリート主体に守備を固める道を選択したので、浦和は札幌戦のようにビルドアップに苦しむことはなく、前半は80%近くボールを支配しましたが、プリーラムの守備ブロックはなんら揺らぐことなく前半終了。浦和はサイド奥深くにボールを運べてもその後は足元から足元へ繋ぐだけで、後は中央へ折り返してミドルシュートを狙うのが関の山。

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・ところが後半に入ってゲームは一気に動きます。47分11番(コラコット)のFKがポストを叩いてヒヤリとさせられましたが、その直後の50分柏木CK→槙野ヘッドでついに浦和先制。槙野にはもともと19番(スパチョック)がマークに付いていたはずですが、槙野がどうやってマークを振り切ってどフリーになったのか、リプレイ画面では肝心なところが映っていませんでしたが(苦笑)、オリヴェイラ監督がキャンプで仕込みに仕込んでいたはずのセットプレーがようやく結実。

・これでブリーラムが前に出てこざるを得なくなったことで戦局は一時流動化。52分ブリーラムのCKでブリーラムの選手が大勢ゴールライン付近に張り付くという奇怪な戦術を披露し、その流れからのクロスをあろうことか西川が被ってしまう失態も手伝って5番(アンドレス)のヘッドがバーを直撃。さらに54分ガタガタの最終ラインゆえスルーパス一発でペドロ・ジュニオールの裏抜けを許してしまう一幕もありましたが、ここは西川の好守に救われました。

・酷くオープンな展開になってしまったこの時間帯は反省が必要でしょうが、前に出てこざるを得なくなったブリーラムの布陣がすっかりスカスカになったために浦和のカウンターがより有効に。57分柏木縦パスで興梠が裏抜け&独走しながらもシュートを撃てず、66分右サイドから長澤クロス→興梠ヘッドはGKの好守に阻まれ、そのこぼれ玉を撃つもまさかの枠外と好機を逃しに逃しながらも浦和は左右から可能性の感じられるクロスがバンバン入り始めて追加点の予兆は十二分に充満していたと思います。

・そして75分橋岡が待望の追加点をゲット。エヴェルトンの縦パスをカットされたこぼれ玉をバイタルエリアから長澤がどフリーで強襲。GKが弾いたところをボックス内にいた橋岡が詰めたものでした。橋岡がボックス内にいたのが不思議でしたが、森脇が右サイド高い位置にいる代わりに橋岡が中へ入ってエヴェルトンの縦パスを受けようとしてた結果みたいで。

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・追加点が入ってちょっと肩の荷が下りたオリヴェイラ監督は77分札幌戦で有効性が実証済みの柴戸アンカー、エヴェルトンIHの布陣に移行。さらに88分汰木を2トップの一角に投入。オリヴェイラ監督は割と気楽な状況で汰木に浦和で、かつACLでの初舞台を踏ませ、経験を積ませるくらいの意図だったと思いますが、その汰木が監督も予期しなかったであろう衝撃的なデビュー戦を飾りました。

・汰木に対峙した相手が汰木に何の情報もなかったせいもあろうかと思いますが、汰木はいきなり左サイドをドリブルでヌルヌルとしたスタイルで駆け抜け、対面の相手を楽々交わしてクロス。ファーに橋岡が飛び込んで浦和は決定的な3点目を挙げました。

・汰木のドリブル自体は個人的には山形で何度か見ていたので驚きはありませんが、浦和デビュー&ACLデビュー戦でいきなりぶちかます辺りはただものではありません。最初のチャンスをいきなり掴む。前目の選手に絶対に必要な運みたいなもんを汰木は持っていました。いやはやこれには恐れ入りました。イケメンなので浦和でコンスタントに活躍すればおいおい写真集が出ることでしょう!!

・またこの得点は汰木以上に、汰木からクロスが来ると信じてファーサイドに詰めた橋岡を褒めるべきかもしれません。MOMが2得点の橋岡に決まったのは当然。19歳でまだ酒が飲めない橋岡に青島ビール(苦笑)

・先制されたブリーラムは途中で大柄なFW25番(マイガ)を入れてきましたが、特にボールの収まりが良い訳でなさそうで、槙野もマウリシオも楽々対応。浦和は54分の大ピンチのようにフリーでペドロ・ジュニオールへの縦パスを許さなければ良いので、前線でのナバウトの献身的なチェーシングも効いて、終盤は相手に何もさせず。

・終わってみればACL初戦はブリーラムにアウェーゴールを許さない大勝。ACLは総得失点差はあまり重要ではありませんが、勝ち点差が並んだ際には直接対戦の結果が重要になるので、ブリーラムに直接対戦の結果をひっくり返される可能性が非常に低くなったことは十分に評価できる結果だと思います。

・相手の状態がどうであれ、公式戦で一つ勝って自信を取り戻すのは非常に重要。中2日でのアウェーゲーム、しかもまたまた自陣で守備を固めてくるであろう相手と厳しい闘いが続きますが、札幌戦で地に堕ちた浦和がこの勝利で何かを取り戻したようなような気がします。ようやくエンジンがかかって来た浦和の逆襲に大いに期待しましょう!!

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---興梠--ナバウト---
---柏木--長澤---
宇賀神--エヴェル---橋岡
-槙野--マウリシオ--森脇-
-----西川-----

(得点)
50分 槙野 智章
75分 橋岡 大樹
88分 橋岡 大樹

(交代)
77分 長澤→柴戸(柴戸がアンカー、エヴェルトンがIHへ)
84分 興梠→汰木
90+3分 森脇→鈴木

・札幌戦でベンチ外だった阿部がこの試合でもベンチ外だったのは予想外。青木不在の中で阿部まで故障だとすれば一大事ですが、松本戦に向けて温存したと信じたいところ。武藤も依然ベンチ外。岩波が完全休養。

・WBは宇賀神左、橋岡右が依然ベターなことが実証されてしまったような試合で、山中が一気に辛い立場に。WBとCBの縦関係のコンビネーションプレーなんてこの2試合全然出来なかったからなぁ。また高い位置にいるWBへの大きな展開も急に増えました。そして何よりハイボールに競り勝てる橋岡は実に頼もしい。

・興梠はインフルエンザ等で事実上地獄の沖縄キャンプを回避したようなものですし、さらにローストチキン屋の開店準備に忙しくて(笑)コンディションがイマイチなのかも。今日も信じがたい外しっぷりでした。

・西川の飛び出しの判断がなんかえらく不安定のような・・・

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