【TV観戦記】ACL2019・GS第2節:北京 0-0 浦和 ~ ボコボコにされても倒れずにアウェーで勝ち点1を奪取
・シュート数20対ゼロ、CK8対1、北京のボール支配率66.4%というスタッツに象徴されるように90分にわたって浦和は一方的に殴られ続け、試合内容は目を覆いたくなるほど惨めなものでしたが、それでも浦和はGS勝ち抜けの上で必須であるアウェーでの勝ち点1を獲得。ボクシングでボコボコに打たれて顔面腫れ上がって、目もほとんど見えてなさそうなのに、それでも倒れずに立っている奴って相手は嫌やろうなあ・・・
・なにぶんACLは短期決戦。「良い試合だったが勝ち点ゼロに終わった」よりは「クソミソにやられたが勝ち点1をもぎ取った」ほうがはるかにマシなことは赤者の誰もが骨身に沁みており、選手&スタッフ、そして北京にまで駆け付けた赤者には最大限の賛辞を捧げたいと思います。
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・浦和は松本戦から中3日かつ長距離遠征付きでしたが、スタメンの入替は柴戸→エヴェルトン、森脇→マウリシオの2名のみ。エヴェルトン&マウリシオは共に内転筋に痛みがあって大事を取ってアウェー松本戦には帯同しなかったので、この入れ替えは予想の範囲内。森脇は一転してベンチ外に。
・浦和のゲームの入りは悪くなく、Jリーグ同様前から最終ラインを押し上げてプレッシャーを掛けに行きましたが、当初様子見に徹していた風の北京攻撃陣が前半半ばを待たずに咆哮。18分槙野がバカンプに倒されて裏抜けを許したのを皮切りに浦和は大ピンチの連続に陥ってしまいました。
・スピードがあるFWバカンプは浦和守備陣もある程度情報があり、対応策も考えていたでしょうが、案外難儀だったのが右SBの38番(ワン・ガン)。これまたスピードがあり、19分槙野が安直にタックルに行って交わされたのを皮切りに完全に浦和左サイドを制圧。スピードで劣る宇賀神は終始きりきり舞いさせられました。いわんや柏木をや。
・また24分自陣でのスローインを奪われてそのままボールを繋がれてボックス内に侵入されてしまった場面を見ると、浦和の3ボランチというかエヴェルトンのアンカーシステムが全く中盤のフィルターとして機能していないのは明らか。これではバカンプに裏を取られるのを嫌って最終ラインを下げて守備ブロックを敷いたところで、ドリブルなりパス回しなりでバイタルエリアを自由に使われてしまうのは当然でしょう。
・ただ浦和にとって幸いだったのは北京のシュート精度が低いこと。20本もシュートを放ちながら枠内はたった4本。バカンプはスピードがあるだけでしぶとく付いてくるDFを交わすだけの能力はなく、慌ててシュートを放つのが関の山。これに95億円ってどんだけ金余ってんねん・・・ さらに酷いのが9番のFW(ジャン・ユーニン)。好機に放つシュートは悉く枠外。スコアレスドローに終わった主犯として三角帽子被らされて市中引き回しじゃないのか、彼は・・・
・さらに浦和にとって幸運だったのは29分ボックス内から放ったビエラのシュートが後方に広げている槙野の手に当たった場面で、主審がハンドを取らなかったこと。先日のアジアカップ基準なら間違いなくPKだと思いますが、ACLはVARがないのが浦和には幸いしました。
・とはいえ、浦和はとにかくボールを奪う位置が低いのでロングカウンターも一苦労。橋岡を高い位置に押し出してそこを基点に攻めようにも、橋岡から前線へのクロス精度が低くてシュートすら撃てず。それどころか50分には橋岡のボールロストからカウンターを浴びてビエラの一発でヒヤリ。
・オリヴェイラ監督は63分になってようやく長澤に代えて柴戸を投入。しかもエヴェルトンをIHに上げる定番の策ではなく、柴戸を2ボランチの一角に据えて5-4-1で専守防衛に徹したのが効いて、ようやく北京の攻勢も鎮静化。前半あれだけ猛威を振るったバカンプもすっかり消えてしまいました。
・しかし浦和はボールを奪ってもアバウトに縦にボールを蹴りだすだけ、しかも前線にボールが収まらないので、相変わらず攻撃は全く成り立たず。しっかりボールを繋いで浦和の時間を作れない、作ろうともしないのが少々残念でした。
・そこでオリヴェイラ監督は72分ナバウト→杉本の勝負手。前線でボールをキープし、他の選手の攻め上がりを待って攻撃を活性化させる算段だったようで、確かにそれらしい場面も見受けられましたが、それでもシュートには持ってゆけず。
・オリヴェイラ監督はとうとう勝ち点3を完全に諦め、81分柏木→阿部で判りやすい引き分け狙いに転じましたが、その意図を杉本だけが判っていなかった風だったのが甚だ残念。カウンターの好機でボールが自分のところまで来なかったことを嘆いて天を仰いでいる場合じゃないだろう、切り替て前から追えよ!!
・杉本投入で前からの守備が緩くなったのが遠因となったのか、ATにはボックス内に侵入したビエラのシュートがポストを直撃。その直後ショートコーナーからのビエラ→バカンプのゴールかと思われた場面はバカンプがわずかにオフサイドという判定で救われて、ほうほうの体ながらもなんとかスコアレスドローで試合を終えることができました。
・MOM&青島ビール賞が西川になったのは当然でしょう。中国での試合なのでフォトショットには青島ねーちゃん達も付いてきてニッコリ。枠内シュートが少ないので西川のビッグセーブ連発で凌ぎに凌いだというわけではなく、ポジション取りで相手のシュートコースを限定し、セットプレーでは無難なセーブ&無難なパンチングの連続という地味ながらも重要な仕事の積み重ねで無失点で凌いだといった感じでした。リーグ戦では飛び出しの判断に疑問符がつく場面が散見されましたが、この日の出来はパーフェクトでした。
---興梠--ナバウト---
---柏木--長澤---
宇賀神--エヴェル---橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----
(交代)
63分 長澤→柴戸(柴戸が2ボランチの一角に入り、5-4-1へシフト。最初は興梠、続いてナバウトが1トップに)
72分 ナバウト→杉本
81分 柏木→阿部
・72分杉本投入時に、実況はなぜか杉本&汰木の2枚投入と連呼。しかし、どうもピッチサイドに水を飲みに来た橋岡と汰木を取り違えただったようで、またしてもエア汰木。松本戦といい、北京戦といい、守るのに精一杯の展開で守備に難がある汰木を入れるわけがないということになぜ実況は気づかないのか・・・しかも杉本と同時投入って、そんなんやるのは攻めだるまのミシャぐらいだろうに・・・
・この試合での消耗は酷く、特に連戦を強いられた興梠・柏木・宇賀神はさすがに中3日で迎えるC大阪戦での起用は難しいのではないかと。従って杉本が古巣相手にスタメン起用される可能性は高いと思いますが、この日の出来ではなんでナバウトにポジションを奪回されたのか杉本は全然判っていないような気がしてなりませんでした。
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