【観戦記】19年第2節:浦和 0-2 札幌 ~ 準備不足で昔の自分にボコボコにされるの巻
・いやぁ、ぐうの音も出ない完敗。もうちょっと点差がついてもおかしくないくらい、浦和はボコボコにやられ続けました。特に前半。プレスが全く嵌まらずに自由にパスを繋がれてしまう。特に札幌の素早いダイレクトパスの連続に浦和守備陣は全くついてゆけずに後手に回りに回ってしまうのには参りました。まるでかつての自分に翻弄されているかのように。
・オリヴェイラ監督が一年に及ぶ長丁場を見据えてキャンプを体力づくりに費やす一方、ミシャはキャンプでは練習試合を数多くこなして戦術仕込みに精力を傾けるタイプ。トレーニングの重点があまりにも対照的で、競馬で言えば早熟馬と超晩成馬の対戦みたいなようなもの。オリヴェイラ監督のアプローチでは基本的に早仕上げのミシャには苦戦するだろうなと思っていましたが、ふたを開けてみれば両者の成熟度が違い過ぎて話になりませんでした。仙台戦は相手も成熟度が低かったので、クソつまらない凡戦で済みましたが、札幌は今の浦和には荷が重すぎました。
・浦和のスタメンは仙台戦と全く同じ。一方、札幌は湘南戦からジェイ→鈴木、早坂→L・フェルナンデスと2枚入れ替え。連戦でもないのにジェイをスタメンから外したのには驚きましたが、鈴木のスタメン起用は大当たり。しかもそれ以上に当たったのは布陣の微調整=チャナティップをトップ下、A・ロペスを前に出して鈴木と2トップ気味に据えたことでした。
・湘南戦では札幌の攻撃は左サイド、特に福森からジェイ目掛けてのクロス攻撃に偏重しがちで、オリヴェイラ監督もその対策は考えていたでしょうが、この日の札幌の攻撃は札幌風に魔改造された「ミシャ改」ではなく、浦和時代に先祖返りしたかのような地上戦主体の「ミシャ初号機」でした。
・これを浦和は全く予期していなかったようで、試合開始早々菅→A・ロペス→鈴木のパス交換で岩波が鈴木に簡単に裏を取られていきなり失点。これが「プレスが全く嵌まらず、自由にパスを回され続ける」という前半の惨状の序曲でした。
・また埼スタで浦和をボコボコにして超ご機嫌なミシャが饒舌に語るように、チャナティップをエヴェルトンにつけ、浦和最終ラインのビルドアップもFW2人で牽制ずることで、浦和のビルドアップは見事に窒息死。浦和のボールは結局サイドに追いやられて簡単に刈り取られ続けました。オリヴェイラ監督も「今日のゲームでは、立ち上がりはエヴェルトンにいろいろなものがのしかかるような試合になってしまったように見えました。」と布陣の微調整効果が絶大だったと認めるところ。
・マウリシオの縦パスをカットされたところから食らった27分のチャナティップ→鈴木のカウンターは、そもそも浦和のビルドアップが酷く窮屈になっているところから生じたもので、ある程度必然的だったと言って差し支えないのかも。
・浦和は浦和で無策というか傷口を自ら広げたようなもの。前節杉本がズルズル中盤に下がってきてビルドアップを助けるものの、肝心な時に前にいないのでフィニッシュに絡めなかったことを反省してか、この日は杉本が興梠と共に常に前残り気味。しかし、浦和のビルドアップが壊滅しているのでFWまで全然ボールが行かず、2人とも最前線に取り残されるありさまでした。
・オリヴェイラ監督は「相手のプレーを前の選手がどんどん制限して止めていかないといけないと思います。しかし、本日の試合ではチームがコンパクトにならず、前線の選手がやるべきことが実行できていない」と怒りを露わにしていて、哀れにも杉本は前半でお役御免。FW2人の前残りは監督の本意でなかったようですが、前半のうちに修正しようともしなかったのは少々不可解で、杉本だけやり玉に挙げられてもなぁという気も少々。
・とはいえ、前目の守備はないも同然 & スピードのある鈴木を嫌ってか最終ラインは上げるに上げられずに布陣が間延びして中盤はスカスカとなっては札幌にいいようにパスを回されてしまうのは道理。39分には右サイドからカットインしてきたL・フェルナンデス→A・ロペス→L・フェルナンデス→鈴木といとも簡単にダイレクトパスの連続で崩され(なぜか鈴木は無人のゴールに流し込めずにシュートはバーの上)、52分にはA・ロペス→チャナティップ→荒野→A・ロペスと見事な中央突破を許す始末(シュートは枠外)。
・浦和の反撃体勢が整ったのは60分柴戸を投入してアンカーに据え、エヴェルトンをIHに上げてから。後半杉本に代わって投入されたナバウトが例によって空回り気味ながらも必死に前線から追いかけまわしてくれるのも多少奏功し、かつ札幌の運動量が落ちたことも手伝ってようやく試合は五分五分に。
・前半札幌守備陣に縦への突破が消されるどころかボールの奪いどころになっていた感すらあった山中が柴戸投入後左サイドから裏抜け&クロスという持ち味を出し始めて、61分柴戸→山中クロス→興梠というこの日一番の決定機を演出。これがこの試合の数少ない「良かった探し」。また76分には宇賀神クロス→ナバウトどフリーで飛び出すも撃ち切れずという場面も。
・札幌の運動量が終盤落ちるのは湘南戦でも垣間見られ、終盤に2失点を喫する一因になっていたので、試合が終盤までもつれていれば不出来な浦和にもワンチャンスあったかもしれませんが、残念ながら前半の2失点で事実上試合終了。今の浦和には2点も取る力はありませんでした。ATどころか80分過ぎには帰路に向かう方も少なくなく、それも道理と思える試合内容でした。
・監督がスロースタートを自認している以上、シーズン序盤は引き分けの連続でも仕方ないと思っていましたが、2戦目にしてまさかの惨敗。しかも「点が入る気はしないが、守備はそれなりに機能している」状態での負けならともかく、守備網をズタズタにされての敗戦はさすがに堪えました。現状前から行くのか、後ろに守備ブロックを作って耐え忍ぶのかすらはっきりせず、武藤&青木の不在を嘆く以前の問題のような気も。
・超晩成馬ゆえのんびり構えているうちに、3歳になっても一勝もできずにコンビーフ行きというのもあるからなぁ・・・ リーグ戦と違って短期決戦のACL初戦を中3日後に控えて不安が募る残念な試合でした。
---興梠--杉本---
---柏木--長澤---
山中---エヴェル--宇賀神
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----
(交代)
HT 杉本→ナバウト
60分 長澤→柴戸(柴戸がアンカー、エヴェルトンがIHへ)
79分 柏木→マルティノス
・中3日後にACL初戦があることを考慮してか、阿部と橋岡はベンチにも入らず、代わって森脇&汰木がベンチ入り。故障が癒えてベンチ入りの可能性さえ報じられた武藤がベンチ入りしなかったのもACLを睨んでのことでしょう。
・開幕から宇賀神が右WBに転用されていますが、現状攻撃面でたいして役に立たない点では橋岡と大差なく、むしろ西川のゴールキックのターゲットがいなくなってしょっちゅう相手ボールになりがちという意味で、橋岡不在が響いているような気も。
・ナバウトはいつも空回り気味とはいえ、とにかく一生懸命やっているのがよく判る。それだけに早く結果が欲しいもの。
---鈴木--ロペス---
----チャナティップ----
菅--深井--荒野-ルーカス
-福森--宮澤--進藤-
-----クソンユン-----
(得点)
2分 鈴木
27分 鈴木
(交代)
81分 L・フェルナンデス→早坂
81分 A・ロペス→ジェイ
90+4分 菅→石川
・開幕戦では全く良いところがなかったA・ロペスを浦和守備陣は甘く見過ぎたかなぁ・・・ チャナティップが怖いのは予期していたでしょうけど。それにしても鈴木共々ミシャ式に馴染むのが早いこと!
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