【DAZN観戦記】19年第9節:清水 0-2 浦和 ~ 浦和式塩田、GW中もフル稼働や!!
・奇しくも平成最後のJリーグマッチとなったこの一戦。10連休で暇を持て余した挙句にDAZNでこの一戦を見ていた方も少なくなかったろうと思いますが、前半は当事者である赤者ですら寝落ちしかねないとんでもないシオシオな試合内容で、第三者的な方々の大半はハーフタイムで脱落したかもしれません。まぁ最近の浦和の試合内容を知っているJリーグファンなら、そもそもこんな試合をわざわざ見るわけがないだろうという気もしますが。
・ところがオリヴェイラ監督的には「そこがねらいよアクダマン」。試合を極力塩漬けにしてロースコアのまま時間を進め、終盤にセットプレー一発でなんとか勝ち点を稼ぐ。この試合もそんな「浦和式塩田」の典型、オリヴェイラ監督のグランドデザイン通りの試合でした。相手からすれば「やられた気はしないのだが、終わってみれば負けている」試合でしょうし、ヨンソン監督が主審に怒りのホコ策を向けるのも判らなくはありません。
・浦和は走行距離・スプリント回数ともJ1下位レベル(しかも闇雲に走らない代わりに上手くボールを動かすチームでもない!)。それゆえFC東京みたいな「走ってナンボ」のチームよりは過密日程の影響を受けづらく、相手が疲れてくる終盤になると相対的に浦和の動きが良くなるように見えるような気もしますが、それまではとにかく塩また塩。その塩山の彼方に勝機を見出すのが今のオリヴェイラ流。
・この試合も総じて浦和お馴染みの塩試合だったとはいえ、その塩味が絶品に思えたのは試合終了間際に綺麗なカウンターで追加点が取れたがゆえでしょう。今季流れの中からの得点はリーグ戦ではわずか1点。そんな浦和がこれ以上ないかもしれない美しい形のカウンターを決める。しかも得点者がエース興梠。いやぁ、こりゃたまらん!! 遠征組は静岡駅周辺で、そして新幹線車内での酒がさぞかし美味かったことでしょう。皆さま、お疲れさまでした。
・浦和はアウェー全北戦から中3日にも関わらず、スタメン入替なし。体調不良のため全北戦前半だけで退いた槙野は大過なかったものの、柏木&橋岡が依然故障中。柏木がいないのでプレースキッカーとして山中は外せず、また森脇がいないと攻撃が全く成り立たない(右WB宇賀神には大きな期待はできない)等々、制約条件を数え上げればこういう結果になってしまうのかもしれません。しかし、完敗と言って差し支えない内容で敗れたのにスタメンの入れ替えなしというのは傍目からはちょっとモヤっとします。
・清水は前節C大阪戦で負傷交代を余儀なくされたCH竹内に代わって河井ではなく六平が入ったのが少々予想外。なお清水はSH石毛が故障長期離脱中。SH中村とFWドウグラスが故障明けといった感じ。
・浦和は3-5-2(守備時5-3-2)、清水は4-4-2とフォーメーションは違うものの、どちらも最終ラインを押し上げて前からプレッシャーをかけるスタイルという意味では似た者同士。しかもどちらもビルドアップに苦しみ、どちらも相手のビルドアップのミスに乗じてチャンスメークするしかありませんが、どちらもリスク覚悟の縦パスを頻りには入れてはこないので必然的にチャンスは少ないというとんでもない塩試合に。
・なにせ浦和が最終ラインでだらだらボールを回し(しかもミシャ期のように、相手に食いつかせる撒き餌みたいな意図は感じられない)、清水はそれを傍観するだけという時間がやたら長く、あたかも「水戸泉vs朝乃若」のように豪快に塩をまき続ける両チームでしたが、それでも前半ゴールに迫る回数はやや清水のほうが多め。清水には42分六平の浮き球で縦パス→ボックス内で中村シュートという決定機がありました。(西川が難なくセーブ)
・また24分鈴木からボールを奪ってショートカウンターという絶好機を作りながらテセ→北川の展開でオフサイド、35分には山中が攻め込んでのボールロストから北川クロス→テセヘッド(鈴木が付いているので大過なし)とカウンターの好機は明らかに清水のほうが多く、ただその過程でミスが生じて浦和は助かっている印象。
・それ以外に22分にはバイタルエリアでこぼれ玉を拾った六平がそのままボックス内に突入し、山中と接触してPKかと思われる一幕もありましたが、六平がバランスを崩して勝手にコケたと思われたのかPKなし。後で西村主審が六平に説明している風でしたし。
・浦和は相変わらず右サイド中心に細かくボールを進めても、清水の守備ブロックが出来上がっている中を攻めるので決定機どころかシュートすら撃てず、むしろ清水のカウンターを誘発する自爆装置をセットするだけに。前半も半ばを過ぎると縦ポンで興梠や武藤を相手最終ライン裏に走らせるくらいしかないという、今日も今日とて攻撃は絶望的な状況で前半終了。なにせ前半の浦和のシュートは33分槙野右奥へ大きく展開→武藤→森脇がカットイン&シュートという1本切り!!
・ところが後半になると双方急激に中盤がスカスカになって若干オープンな展開に。最初に決定機を掴んだのは清水。51分CB立田からの縦ポンがボックス内でテセに通ったが、シュートは角度がないこともあって西川が難なく左足でセーブ。
・一方浦和も後半は珍しく攻めに人数をかけて相手を自陣深く押し込むだけでなく、エヴェルトン(55分)や武藤(63分)がバイタルエリアから可能性を感じさせるシュートで終わる場面が出始めました。少なくとも何の可能性も感じられないクロスで終わるよりは格段にマシ。
・ヨンソン監督は61分テセに代えてドウグラスを投入する勝負手を放ってきましたが、病み上がりのドウグラスはまだコンディションが不十分なのか、肝心なところで槙野に封殺されて最後まで見せ場なし(先制点に繋がったCKもカウンターに出たドウグラスが槙野にカットされたのが基点)。清水の攻め手も浦和右サイドから松原がクロスを放り込むのが目立つくらいで、それも簡単に浦和CB陣に弾き返されて全く決定機を作れず。
・一方、浦和は武藤に代えて汰木を投入した直後、73分山中CKからの流れで山中クロス→興梠胸トラップ&反転シュート→GK六反が弾いたところをマウリシオが詰めて先制。
・先制された清水は矢継ぎ早に選手を代えてくるがほとんど効果はなく、77分松原→ドウグラスのシュートが槙野を直撃して潰えたのを機に早々にパワープレーに切り替え。一方オリヴェイラ監督は85分長澤→柴戸で運動量を補充し、さらにATには清水のパワープレーに抗して山中→岩波で高さをテコ入れ。
・なんと6分もあったAT。試合終了間際に立田縦ポン→ドウグラスが岩波に競り勝ち→途中投入の滝のシュートがバーを叩く一幕がありましたが、その跳ね返りで浦和のカウンターが炸裂。汰木→ボールを失いかかったエヴェルトン粘る→青木→汰木→興梠と繋がって、軽くボールを浮かせてGKを交わした興梠がめでたく「Jリーグ平成最後のスコアーラー」を記録して試合終了。
・珍しく浦和が複数得点を取ったため、札幌&横浜M戦でこしらえた大きな得失点差のマイナスもついに完済。リーグ戦総得点わずか8なのに勝ち点は17も取って、とうとう順位は5位にまで浮上。なんとはるか上にいたはずの広島と勝ち点が同じですよ、奥さん!!
---興梠--武藤---
---長澤--エヴェル---
山中---青木---森脇
-槙野--マウリシオ--鈴木-
-----西川-----
(得点)
73分 マウリシオ
90+7分 興梠
(交代)
72分 武藤→汰木
85分 長澤→柴戸
90+1分 山中→岩波
・とうとう汰木はマルティノスを抜いて、点を取りたい状況下での交代選手の一番手に浮上。どんなに短時間であっても毎試合1回は見せ場を作る汰木。この試合もAT+2分に自陣深い位置から単騎左サイドを疾走。敵陣深くで緩急を付けて2人をぶち抜いてシュートを放ち、CKを獲得する見せ場(=時間稼ぎの観点からも満点の出来!!)があっただけでお腹一杯、その辺のオバハンが年甲斐もなくヌレヌレになったような気がしますが、最後の最後でアシストまで記録するとは!。
・一方、ボールを要求してもなかなかボールが来ない山中に対して、解説戸田が「ボール来なかったら、それなりのポジションに戻れよ!!」と強烈にダメ出ししてたのには笑いました。カウンターを食らった際に往々にして山中が行方不明なのはポジション取りの悪さから来るんだろうなぁ・・・
・極め付きは90分柴戸&山中で左サイドから敵陣深くまでボールをドリブルで運び、山中がそのままコーナーで時間稼ぎorCKでも取りに行くかと思ったら、なんとクロスを上げて簡単に相手にボールを渡してしまう「アホの子」っぷりにも参りました。和製クアドラードじゃないのか、山中は(苦笑)
---北川--チョンテセ---
中村--------金子
---六平--ヘナト----
松原-立田-ファン--エウシーニョ
-----六反-----
(交代)
61分 チョン・テセ→ドウグラス
77分 中村→楠神
80分 北川→滝
※写真は試合と一切関係がありません。
| 固定リンク