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2019.04.10

【観戦記】ACL2019・GS第3節:浦和 0-1 全北 ~ 結局ファブリシオ頼みなのか、この閉塞感の解消は・・・

・浦和の決定機もいくつかありましたが、その決定機でもバーやポストを叩くのが精一杯でGKソン・ボングンを脅かすような枠内シュートはたいして撃てませんでした。全北は前半30分まで浦和を圧倒。決定機を量産しながらこちらも肝心なところでシュート精度・強度を欠く嫌いがありましたが、77分についに先制してそのまま逃げ切り勝ち。

・全北の選手交代、しかも対日本、対Jリーグ勢で圧倒的な実績を持つベテランFWイ・ドングクを下げて全く違うタイプのFWアドリアーノを投入する策が見事に当たったのに対し、オリヴェイラ監督の選手交代はまたしても後手に回ってしまい、柴戸を用意している最中に失点を喫してしまう始末。まるで勝負運に見放されたみたいで。

・優勝候補の一角と目される手強い全北に手も足も出なかった完敗というわけではなく、厳しいアウェーゲームで勝ち点をもぎ取れる可能性は十分あり、下を向くような試合ではなかったとは思いますが、浦和の攻撃力の貧弱さはあんまりにも程があり、ウノゼロの勝ちが精々。1点取られたら今の浦和ではもはや勝ち目はほとんどありません。

・試合後の記者会見でオリヴェイラ監督は全北との再戦でファブリシオが戻ってくる可能性に言及していますが、結局ファブリシオの個人能力頼みでしか貧打問題を解決できないというのであればあまりにも寂しい。一向に試合内容は改善されないのに似たような面子がずっとスタメンに居並び続けていることもあってか、浦和の閉塞感はいや増すばかり。桜も終わろうとする時期なのに厳寒期に戻ってしまったような天気も相まって、帰路の足取りは重いのなんの・・・

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・横浜M戦の惨敗でオリヴェイラ監督は成熟度の低い4バックを短期決戦のACLグループステージで使うのはリスクがでかすぎると判断したのか、慣れた3-5-2(3-3-2-2)に回帰。スタメンに岩波が復帰し、代わって長澤がベンチ外。さらに山中→宇賀神の入れ替えは予定通りでしょう。

・ところが、序盤の出来は横浜M戦の延長に等しい悲惨なもので、ここで複数失点を喫してあっさり敗戦しても何の不思議もありませんでした。

・全北のフォーメーションは4番(シン・ヒョンミン)をアンカーに据えた4-1-4-1。ロングボールを多用して手短に前線にボールを進め、セカンドボールを拾ってからのサイドからのクロス攻撃が基本。実に判りやすい攻撃でしたが、浦和はこの試合も球際が弱く、競合いに勝てないため、全北がやりたい放題に。特にガチムチ系の左SHロペス(10番)には苦労させられっぱなし。

・自陣深い位置でファウルを犯してFKを与え、CKも山のように与え、セットプレーではほとんどハイボールに競り負けてシュートまで持っていかれるという厳しい展開。

・また3バック回帰で久々に出場機会を得た岩波の出来が芳しくなく、深い位置でのパスミスとか絡まれてボールロストとか恐ろしいほど自爆ボタンを連打。あんまりな1対1での負けっぷりをみるとACLには向かない選手のような気がしてなりません。

・ところが全北も決定機を何度も掴みながら肝心なところでシュート精度・強度を欠き、なんだかんだと立ち上がり5分FKからロペスのシュートが西川を脅かしただけかも。19分スローインからロペスクロス→ボックス内どフリーでイ・ドングクヘッドなんて枠内にシュートが飛ばないのが不思議なくらいの超決定機でしたが。

・浦和もリトリート主体の守備に切り替えて耐えに耐えて30分くらいからようやく反撃。32分岩波サイドチェンジ→宇賀神クロス→ファーで武藤ヘッドで最初の決定機。相変わらずの各駅停車的攻撃で、全北の守備ブロックがすっかり整っている中を攻めなければならないのが残念でなりませんが、それでもなんとかサイド攻撃に活路を見出したようです。30分くらいから浦和のビルドアップがスムーズになりだした主因は試合後の監督コメントを読んでもよく判りませんが・・・

・この試合、浦和の攻撃のキーマンはどう見ても森脇。極論すれば森脇&武藤のコンビネーションで右サイドから何とか攻撃を成り立たせているようなもので、53分にはエヴェルトン→武藤→森脇がバイタルエリアから放ったシュートがポストを直撃!! 60分森脇→エヴェルトン、62分森脇縦パス→武藤が右サイドスペースを疾走してそのままシュート、72分宇賀神逆サイドへ展開→森脇クロス→武藤ヘッド(惜しくも枠外)と森脇絡みで決定機を量産しました。

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・ところか浦和が比較的良かった時間帯ですら攻めきれずにカウンターを浴びる場面も多々あって、戦況は必ずしも浦和優位とは言えず、五分五分より少しマシといった程度。41分に食らったロングカウンター(ロペスクロス→7番(ハン・ギョウォン)ヘッドは即死ものでしたし。

・戦況が若干浦和優勢に傾いたところでジョゼ・モライス監督が放った妙手がイ・ドングクに代えて32番(アドリアーノ)の投入。全く違うタイプのFWを入れて空中戦主体から地上戦主体に切り替えるという判りやすい交代でしたが、浦和は全北の地上戦というオプションにどこまで準備が出来ていたかなぁ?試合後オリヴェイラ監督が「我々が最も練習している形のひとつで失点してしまいました」と力説していますが、それにしては粘り強さもへったくれもない、あっさりしたやられっぷりでした。

・77分の失点はマウリシオのヘッドでのクリアがIHの5番(イム・ヨンソン)に渡ってしまったところから、アドリアーノ→ロペス→アドリアーノとボックス内で繋がれたもの。岩波が中途半端にアドリアーノに飛び込んで交わされたのも残念でしたが、それ以上にバイタルエリアでずっとロペスがフリーって何なん????遅れて森脇が付くも時すでに遅し。

・しかもオリヴェイラ監督が柴戸を準備している最中に失点してしまうという辺りがなんとも物悲しい。失点直後に投入された柴戸は広範囲を動き回って中盤にカツを入れ、83分には宇賀神のミドルシュートがバーを直撃。続いて投入された汰木が86分岩波の縦パスを受けて裏抜け&ループシュートの見せ場。最後は岩波に代えて杉本を入れ、4-4-2に転換して反撃を試みましたが、1点が遠くてそのまま試合終了。

・浦和は得失点差で辛うじて2位に留まったものの、ホームでの敗戦はグループリーグ勝ち抜けへ向けて大ダメージ。次戦アウェーでの全北との再戦はより厳しいものになるでしょうが、この試合で得た手応えをもとにオリヴェイラ監督が、そして選手達がどの程度修正してくるかが見ものです。

・なお全北といえばラフプレー連発をも辞さない荒っぽいチームというイメージが拭えませんが、久しぶりに対戦してみるとめっちゃクリーンなチームに生まれ変わっていてびっくりしました。勝ったので韓国の田舎クラブにありがちな「試合後の御乱行」も当然ながらなし。仙台とか松本とかのほうが今やはるかに汚く、うーんこんなところでも日韓逆転現象ががが・・・

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---興梠--武藤---
---柏木--エヴェル---
宇賀神--青木---森脇
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
77分 アドリアーノ(全北)

(交代)
78分 エヴェルトン→柴戸
84分 柏木→汰木
88分 岩波→杉本(武藤・汰木がSHに入る4-4-2へ移行)

・岩波の不出来が目に余りましたが、ずっとスタメンで出ている興梠や柏木の出来も褒められたものではありません。チームとして結果が出ているのでヘロヘロなのを承知で使っているというのならまだしも、結果も出なくなり、しかもずっと試合内容も良くないのにスタメンで使い続けるというのは甚だ疑問。

・守備に難がある汰木はスタメンでは使いづらいでしょうが、短時間ながら途中投入の柴戸や杉本は良かっただけに、今のスタメン固定は閉塞感を加速させるだけに終わっているような気がしてなりません。

・故障明けの武藤&青木は2試合叩いてようやくコンディションが上がって来た様子。これは好材料。

・なお橋岡がこのところベンチ外なのを不思議に思っていましたが、森脇に代えて攻撃面に難がある橋岡を入れると浦和の攻め手が完全になくなってしまうので致し方ないのでしょう。宇賀神が右WBも一応できるので、森脇故障に備えて橋岡をベンチに入れる必要も乏しく、CBの控えとしては橋岡より鈴木のほうが信頼できる。競争の結果なので仕方ありませんが、橋岡は一気に厳しい立場に。こういう競争が他のポジションでももっとあってしかるべきでしょうに、現状左右のWBだけだからなぁ・・・

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