【観戦記】19年第6節:浦和 0-3 横浜M ~ 埼スタの満開の桜しか見るべきものはなかった
・いやぁ、ここまで完膚なきまでにボコボコにやられるとさすがに堪えます。西川の奮戦で3失点で済んだといっても過言ではない酷い試合でした。シュート数9対11って何かのギャグですか?? 11本撃たれたシュートは全部決定機だったような気がします。
・横浜M相手の大敗と言えば、試合を重ねるごとに弱くなっていったゲルト体制の末路を象徴したかのような2008年の大敗(1-6)が思い出されますが、試合内容はそれに匹敵しました。あの試合は「チームがぶっ壊れている」ことが誰の目にも明らかでしたが、この試合も「ぶっ壊れている」とまでは言わないものの、その兆候ではないかと訝しくなるくらい。
・オリヴェイラ監督は典型的な「モチベーター」型の監督で残念ながら戦術的にはあまり面白くありません。また「モチベーター」というのはモルヒネみたいなものでここ一発には効きますが、永遠に効き続けるわけではありません。その辺は効き目が長い「戦術家」型の監督との決定的な違い。ひょっとするとオリヴェイラの効き目は天皇杯優勝で終わってしまったのかもしれない。それくらいのインパクトがある衝撃的な敗戦でもありました。奇しくも典型的な戦術家タイプのミシャとポステコグルーにコテンパンにやられて・・・
・守備はまるで嵌まらず、やることなすこと後手に回り続け、横浜M対策をまるで何も立ててこなかったかのように何度も同じようなパターンでやられつづける。攻撃は実に単調で決定機は25分マウリシオヘッドがバーを直撃したのと、29分右サイドから武藤クロス→興梠のシュートが惜しくも外れた場面くらい。しかも攻守とも上手く行っていないのに、オリヴェイラ監督が試合中に全く修正できないまま試合を終えてしまったのがショックでした。
・傍目には単なる塩試合としか思えなかった前節FC東京戦をオリヴェイラ監督が「今季のベストゲーム」と評したのが不思議でなりませんでしたが、浦和の守備はほぼ完ぺきだったのはFC東京の攻め手が極めて限定的だったからでしょう。FC東京よりははるかに攻め手が多彩で選手の動きが流動的な横浜M相手には浦和が前節から採用した4-4-2は全く機能せず、いかに付け焼刃に過ぎなかったかが白日の下に晒されてしまいました。そしてなんとか攻めに転じても「ボールを持たされているだけで決定機はほとんど作れない」という状況はなんら改善されず。
・代表ウィークの中断明け後FC東京→横浜M→全北現代→G大阪と基本4バック相手の連戦となることを契機にオリヴェイラ監督は4-4-2を試行したものと目されますが、この惨状を受けて手強い全北現代相手にどう立ち向かうのか? 慣れた3-3-2-2に戻すのか? フォーメーションは変えずに人を入れ替えるのか?
・強敵とはいえ全北相手に惨劇を繰り返すようであればオリヴェイラ体制がいきなり大きく揺らぎかねない、それくらい超重要な一戦になりそうです。
・浦和のスタメンは前節から宇賀神→山中と一人入れ替えただけ。森脇に代えて前節ベンチ外だった橋岡をスタメン起用するとの報もありましたが、意外にも橋岡はまたもベンチ外。オリヴェイラ監督は中3日で続く全北現代戦を睨んでの選手入れ替えを示唆していましたが、結局入れ替えは最小限に留まりました。一方横浜Mのスタメンは前節と全く同じ。
・立ち上がりの様相からすればこの試合は中盤での潰しあいが延々と続くと思われましたが、浦和は7分に早々と失点。仲川の縦パスが山中に当たって(?)運悪くクロスボールのような恰好でボックス中央へ。ここでなぜかマウリシオと西川がお見合いを演じてしまい、おまけに背後から侵入してきたジュニオールを森脇は監視できずに、ジュニオールが難なくゴール。脱力モノの失点でしたが、山中はこれがケチのツケ初め。そしてこの失点が浦和の「後手後手ショー」の幕開けを告げる形になってしまいました。
・15分には喜田縦パス→ジュニオール、フリーで受けてスルーパス→ボックス内から仲川シュート、30分にはGKロングキック→槙野に競り勝ったジュニオがクロス→ジュニオールどフリーでシュートという絶望的なロングカウンターを食らいながら、いずれも西川がビッグセーブで追加点を許さず。またシュートこそ撃たれなかったものの、20分に立て続けに仲川に山中の裏を取られた場面もこの日の浦和のドタバタぶりの象徴として強く印象に残りました。
・浦和は2トップが懸命に前からプレッシャーをかけにゆくものの、横浜Mに簡単に交わされてボールを高い位置で奪うどころかパスコースを制限することもできず。浦和の陣形は間延びして中盤はスカスカになり、横浜Mのパスの出し手もフリーなら、浦和最終ライン前にいる受け手(IHだったり、降りてきたCFだったり、中へ絞ったWGだったり)もフリーという惨状。そして山中の裏はしょっちゅう狙われる。この試合を通じてずっとそんな感じ。オリヴェイラ監督は横浜M対策をしていないも同然と思える散々なやられっぷりでした。
・浦和は攻めもいいところなし。横浜Mも結構危険な位置でのボールロストが多くて隙が多かったように見受けられましたが、その隙を突けないのが浦和の現状。横浜Mの守→攻の切り替えの早さ、ボールを奪ってからの選手たちの流れるような動き出しと比べて、浦和の各駅停車的&逐一指差し確認的攻撃のドン臭いことったら・・・ 29分森脇縦パス→長澤最前線でポスト&右に展開→武藤クロス→興梠シュートの決定機だけでしょう、この日の「良かった探し」は。
・攻めに手数をかけるとどうにもならないと悟ったからなのか、今度は横浜Mの高い最終ラインの裏を縦パス一本で打開しようとするもパスの精度も悪けりゃFWとのタイミングも合わず、最後まで全くフィニッシュに繋がりませんでした。
・西川の好守でなんとか1失点で耐えていた浦和でしたが、61分ついに決壊。松原→バイタルエリアで三好がどフリーでパスを受けたところから始まる横浜Mの波状攻撃を西川の好守連発でなんとか凌いだと思いきや、遠藤に絡まれた青木がボックス付近でまさかのボールロスト!! しかもDF陣は全員棒立ちでこぼれ玉を拾ったジュニオールに自由を与えて簡単に前を向かれるってそりゃ西川もブチ切れるわ・・・
・70分の失点は噴飯もの。自陣深い位置から山中スローインが簡単に相手に奪われたのもトホホですが、その後ジュニオールのカットインに対して浦和DF陣はズルズル下がるだけでなすすべなし。しかも浦和の選手は左サイドにやたら寄っているのに相手にはノープレッシャーという酷い有り様なので、ジュニオールから逆サイドでどフリーの広瀬に簡単に展開され、広瀬は育ての親に見事な恩返し。
・3点目を取られてオリヴェイラ監督もこの試合を諦めたのか柏木と興梠を早々と下げてはみたものの出場機会を得た選手にさしたる見せ場はなく、浦和の惨状はなんか改善しないどころか仲川や最後に試験運転ぽく投入された山谷に決定機を許し、最後の最後まで西川の好守に救われ続けて試合終了。
・この日の観客は驚いたことに3万人超(32,555)と週末開催の不人気カードと同じくらいの客入りに。浦和はスタジアムの立地が良くないためか「金J」には消極的で昨年は一度もなく、今年ACLの日程調整との絡みでようやく「金J」が実現しましたが、DAZN肝いりの「金J限定オリジナルシャツ」配布の効果もあったのか、結果は上々と評価していいでしょう。もっとも今年はホームゲームで既に惨敗2回というのは今後の客足に響くでしょうなぁ・・・
---興梠--武藤---
-----柏木-----
-エヴェル--青木--長澤-
山中-槙野--マウリシオ-森脇
-----西川-----
(交代)
62分 長澤→マルティノス
73分 柏木→柴戸
73分 興梠→杉本
・西川以外は誰ひとりとして合格点を上げられない酷い出来なので個々人を責めても仕方ないのですが、あえて言えば山中。山中は興梠同様、古巣相手に力んでしまって本来の力を出せないタイプなのかも。もともと懸念材料だった守備がボロボロだった上に、ストロングポイントのFKもクロスも全く良いところなし。
・あと「武藤&青木待望論」とは何だったのか・・・
ジュニオ--ジュニオール--仲川
--天野----三好--
-----喜田-----
広瀬-畠中--マルチンス-松原
-----朴------
(得点)
7分 ジュニオール
61分 ジュニオール
70分 広瀬
(交代)
32分 ジュニオ→遠藤(故障による交代。遠藤が左WG、ジュニオールがCFへ)
78分 天野→扇原
86分 ジュニオール→山谷
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