・勝ち点3でグループ最下位のブリーラムはもちろん、勝ち点4で3位の浦和もこの試合に勝たないとほぼ先がなくなってしまう一戦。まだ5月というのにプリーラムの気温は30度を大きく超え、公式記録では34度。前後半とも給水タイムが設けられる程の酷暑下での闘いとなりました。
・埼スタでの初戦は3-0と大勝したものの、ホームでは往々にして全く違う恐ろしい一面を見せるのがタイのクラブ。それゆえ浦和が暑さにやられて足が止まるであろう終盤に大攻勢をかけられるとひとたまりもないかもしれないとヒヤヒヤしながらTV観戦していましたが、終わってみればスコア以上の完勝。
・シュート数は大差なかったようですが、浦和は前後半とも得点場面以外に「おい、それは決めろよ!!」と叫びたくなるような決定機が山のようにあったのに対し、ブリーラムはあまり可能性を感じられない無理目のシュート&セットプレーの当たり損ねみたいなのが多く、終わってみれば浦和はもうちょっと楽に勝てたような気がしました。もっとも肝心なところで精度を欠いた主因が敵地の暑さで、体力的にも気力的にもヘロヘロの選手からすればこれで精一杯なのかもしれません。
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・磐田戦から中3日にも関わらず、浦和のスタメンはマウリシオ→岩波と一人入れ替えただけ。マウリシオは連戦が効かないのか、ACL前後のリーグ戦でベンチ外になることはありましたが、ACLでベンチ外になるのは初めてなのでよほどコンディションが良くないか、あるいは小破したのかもしれません。マウリシオとACL登録外のマルティノスに代わって阿部と荻原がベンチ入り。
・なおファブリシオがタイ遠征に帯同していることがサプライズでしたが、やはり相手をびびらせるだけの「逆アジジ」に留まりました。
・ブリーラムは基本3-4-1-2、守備時5-3-2といったところ。浦和の選手達は3ボランチという認識だったようですが、トップ下の19番(スパチョック)の戻りが遅いせいか、TVで見ている限りは守備時5-2-3っぽい感じに見えました。
・それはともかく、ブリーラムはとにかく勝たないと話にならないので序盤から飛ばし気味にガンガン前から仕掛けてくるかと思いきや、拍子抜けするくらいさほど前からは来ませんでした。かといって、埼スタでの一戦のように自陣にタイトな守備ブロックを敷くわけでもなく、いかにも中途半端すぎる前プレを仕掛けてくるので陣形は早々と間延び。
・これじゃブリーラムの監督が「今日の立ち上がりはとても悪いものでした。全然集中していなくて、北京戦と同じような感じ、もしくはそれよりも悪いような状況でした。」と嘆くのも当然ですが、穿った見方をすれば監督が選手達のモチベーションアップに失敗したような気も。こんな緩い相手はJ1にはまずおらず、それゆえ浦和はビルドアップに全く苦労しないどころか、縦パス入れ放題。
・3分にはエヴェルトンの縦パスが相手CBの間にいた(というか最終ラインがガタガタでオフサイドを取ろうにも取れない)興梠に通って早々と先制。また6分&10分と好位置での山中FKがゴールマウスを襲い、GKは弾くのが精一杯という見せ場も。
・ただ試合の入りが良すぎて油断したというか、好事魔多しというべきか、13分山中が近くの長澤に繋ごうとしてボールを失い、ペドロ・ジュニオール(以下「PJ」)→15番(ナルバディン)→PJとシンプルなカウンターを浴びて失点。PJを軸としたブリーラムのカウンターは鋭く、40分にもロングカウンターを食らってボックス内で青木のシュートブロックに救われる一幕も。
・早い時間帯に同点に追いつかれたとはいえ、ブリーラムのユルユルの守備は相変わらず。ボールの出し手へのプレッシャーが無いも同然なせいか、17分岩波縦ポンで山中が裏抜けに成功する決定機(シュートはGKセーブ)。そして23分興梠の縦パスを契機にエヴェルトン→武藤と繋がって武藤が今季初ゴール!!CB5番のクリアが味方に当たってこぼれ玉がエヴェルトンの前に転がるという幸運にも恵まれましたが、先制点共々今季の浦和には極めて珍しい中央突破型のゴールでした。
・26分槙野縦パス→武藤裏抜け&シュートが枠内を襲ったのを最後に浦和はややペースダウンしたものの、しっかりボールを回し、相手を走らせて危なげなく前半を終わろうとしていましたが、そこは相手もさるもの。ブリーラムが仕込みに仕込んだであろうセットプレーだけは厄介で、43分6番(ササラック)FKがゴールマウスを襲い、ATにもCKをファーで9番(スパチャイ)に合わせられる危ない場面がありましたが、共にGK西川が好セーブ。
・後半になると一転してブリーラムがボールを支配して攻勢に。守備に回った浦和は暑さもあってか前半からさほど前からいかず、5-4-1のタイトな守備ブロックを形成して迎撃していましたが、消耗が激しいのか前半と違ってセカンドボールが拾えず、球際でも苦戦。また往々にしてボールの受け手に食いつきすぎてワンタッチパスであっさり交わされてしまいがちで、PJだけでなく、小技が効くブリーラムの攻撃陣に押し込まれてしまう時間帯が続きました。
・しかし、ブリーラムも浦和を自陣に押し込むのが精一杯で守備陣を崩しきれず、また空中戦では分が悪いせいか攻撃は地上戦オンリーという戦術的な選択肢の狭さもあってか、強引にミドルを放つなり、CKを取りに行くだけの場面が目立ちました。シュート数が浦和と大差ない割にはブリーラムの攻撃に可能性を感じなかったのはその辺が主因でしょう。ブリーラムの脅威はやはりセットプレーで66分にはFKからフリーで途中投入の54番(スパナット)にヘッドを許す場面も(幸い枠外)。
・浦和は押し込まれながらも、49分山中縦パス→武藤左サイドを深く抉って横パス→逆サイドから森脇突入(シュートは明後日の方向)、57分山中クロス→武藤にわずかに合わず、70分エヴェルトンのボール奪取からのショートカウンターで鈴木→エヴェルトン→武藤→長澤(ボックス内からまさかの宇宙開発!)とカウンター気味に決定機を量産しながらも得点ならず。
・ブリーラムが59分というミシャばりに早い時間帯に2枚替えで勝負に出たのに対し、オリヴェイラ監督は72分長澤→柴戸、79分武藤→ナバウト、87分エヴェルトン→荻原と運動量補充目的で選手を五月雨的に相次いで入れ替え。
・ブリーラムは早めの選手交代も奏功せず、先述のセットプレーくらいしか見せ場を作れなかったのに対し、浦和は76分山中クロス→興梠ループ(バーの上)、83分森脇縦ポン→ナバウト裏抜け&枠内強襲シュート(GKセーブ)、89分森脇相手ボックス内でボール回収→荻原シュートがポスト直撃!と決定機を作って、ボールを支配する相手に試合までは支配させず、終盤は双方ヘロヘロになってそのまま試合終了。
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・敵地で勝ち点3を積み上げた浦和は同日ホームで全北に敗れた北京を抜いてグループ2位に浮上。ホーム埼スタで迎えるグループステージ最終戦は北京に勝てばもちろん、スコアレスドローでも勝ち抜けできるという立場になりました。もっともアウェーゴールを許してのドローだと直接対戦の成績で北京に劣ってGS敗退となるだけに案外試合運び、試合の入り方は難しいかもしれません。
・監督&選手はともかく、平日の埼スタにわらわらやってくるであろう25000人くらいの半狂乱と化した赤者に小難しい計算ができるわけがないので「とにかく勝てばOK」な気持ちで妙に前のめりな感じになるんでしょうなぁ。それでこそ我らが浦和、我らが埼スタ。敵地では北京に危うくボコボコにされかかりましたが、ホームでは「本当の浦和レッズ」を見せてやりましょう!
---興梠--武藤---
---長澤--エヴェル---
山中---青木---森脇
-槙野--岩波--鈴木-
-----西川-----
(得点)
3分 興梠
13分 ペドロ・ジュニオール
23分 武藤
(交代)
72分 長澤→柴戸
79分 武藤→ナバウト
87分 エヴェルトン→荻原
・青島ビール賞は先制点の興梠に。しかし、赤者目線だと青木が青島ビール賞でも不思議なかったような気がしました。ヤバそうな場面には必ず青木が顔を出しており、あれで最終ラインは相当助かったでしょうに(もちろん山中もw)。磐田戦の失態を青木なりに取返しに行ったつもりでの大激走だったのでしょうが、カピバラさんの全速力は案外速く、しかも強靭でした(苦笑)。
・エヴェルトンは当初あまりにもしょーもないボールロストが多いのが気になって仕方がありませんでしたが、JリーグといいACLといい、段々アジアレベルのDFの寄せなり間合いなりに慣れてきたのか、クネクネした身のこなしでボールを失いそうで失わず、逆に上手く寄せ手を交わして決定的なパスを出せるようになってきました。パスを出すだけでなく、自らシュートを放てるようになるとさらに良いのですが、エヴェルトンがボールの出し手として機能しだせば、ますますわざわざ柏木と併用する意味がないような。
・鈴木右CBというのはここ数試合で最大の発見でしょう。しかも森脇右WBとの相性が滅茶苦茶良く、攻撃力のある森脇を高い位置に押し出して鈴木が右SBっぽい位置にいる、さらには必要に応じてCHっぽい位置にも顔を出すと面白い動きをしています。さらに鈴木の立ち振る舞いがピッチ上の監督然としているのが頼もしい。こういうタイプのCBは浦和にはあんまりいなかった(あえて言えば遠藤が近いかな? 最後尾でただ怒っているだけの輩はいましたが(苦笑)。
・運悪く故障してU-20W杯のメンバにも選ばれなかった橋岡は気の毒ですが、橋岡の故障中にスタメン出場機会を得たを得た鈴木がこれだけ出来るとなると、橋岡の出番はすぐには回ってこないかもしれません。これがプロの厳しさ。
・最後に投入された選手は汰木ではなく荻原。IHとして投入するにはオリヴェイラ監督の判断としては荻原>汰木という感じなのかな?僅差で勝っている場面なので荻原には正直もっと激走して欲しかったけど、いきなり決定機に絡んだのには恐れ入りました。ファブリシオ復帰が秒読み段階で、柏木も近々戻ってくるでしょうから今後荻原にはなかなか出番は回ってこないかもしれませんが、監督は普段ベンチ外の選手の出来もちゃんと見ていることが判る選手交代でした。
・どフリーなのにとんでもないクリアミスでCKを与えてしまうなど前半終了時にはヘロヘロに見えた森脇でしたが、意外にもなんとか最後まで決定的には破綻せず、むしろ終盤決定機にしょっちゅう関与していたのにはびっくり!! でもバスの中で寝たいであろう選手には森脇のテンションの高さは迷惑でしょうなあ(苦笑)
・そして前半終了時に早くもユニフォームを交換する岩波とPJ(爆笑)。どんだけ神戸で仲良かったんやwww
・日テレが時計を常時表示しないのが謎すぎ。長年サッカー中継をしているのに何故なんだろう? そして毎度毎度のことながら城のネガティブトーク連発にはウンザリ・・・