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2019.06.20

【観戦記】ACL2019・ラウンド16第1戦:浦和 1-2 蔚山 ~ 善戦はしたがやられ方が酷すぎる!!

・浦和は戦績不振のため監督を代えてチーム再建に取り掛かったばかり。一方蔚山は全北とGSを首位通過したチーム同士でKリーグでも首位争い。リーグ戦とACLとは全く別の闘い、得手不得手があるとはいえ、置かれているチーム状態を考えればどこからどう見でも浦和は蔚山の胸を借りる立場。

・ノックアウトステージはH&A・合計180分で争われる方式のため、第1戦、特にその序盤は双方様子見になりがちですが、浦和は立ち上がりから大攻勢を仕掛けるものの結局1点しか奪えず。逆にカウンターを2発浴びて逆転負け。しかもそのやられ方が酷すぎてお話になりませんでした。川崎戦&鳥栖戦で見せた土俵際での粘りなんてどこへやら。あまりにもなすすべなく土俵を割る姿はミシャ最末期にそっくり。なんもそんなところまで「ミシャの残り香」を漂わせなくてもいいのに。

・ボールが浦和が6割以上支配し、シュート数も16対6と圧倒していますが、ここぞという局面で決めきる力が段違い。そしてそれ以上に「ここぞという局面」を作り出す力が違うのでしょう。それ以前に「ここぞという局面」で自爆ボタンを連打するかのようにメロメロになってしまう浦和の守備にはクラクラしました。

・第1戦はアウェーゴールを2つも与えての敗戦という極めて厳しい結果になってしまいましたが、それでも攻撃面ではある程度手応えを得たことでしょう。とにかく3点以上取らないといけなくなった第2戦では吹っ切れた姿を見せてくれるものと思います。窮地に立ってからがACLです。

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・大槻監督はマウリシオ→鈴木、柴戸→エヴェルトン、宇賀神→山中、岩武→森脇、ナバウト→杉本と鳥栖戦からなんとスタメンを5人も入れ替え。鳥栖戦から中3日。マウリシオは別メニューだったという話を漏れ聞いていたので鈴木の起用はノーサプライズでしたが、それ以外の選手はことごとく守備に難がある選手揃い。アウェーゴールを取られることを気にせず、とにかく勝ちに行くという意識が見え隠れする面子でした。

・基本スタメン固定だったオリヴェイラ監督と違って、練習の様子&コンディションを見極めた上で調子が良さげな選手を起用すると公言した大槻監督らしい大胆な入れ替えでしたが、フォーメーションはいつもの3-4-2-1で1トップは興梠ではなく杉本。

・蔚山はエースのジュニオール・ネグランがベンチスタートで、イ・グノがスタメンなどこちらもやや予想外の面子。基本フォーメーションは19番(パク・ヨンウ)アンカーの4-1-4-1に見えましたが、如何せん前半は浦和に押し込まれて5-4-1(7番左SHが最終ラインに降りる)になっている時間帯が長くて、本来のフォーメーションはよく判らず。

・しかも蔚山は5-4-1の布陣で守るのは良いとしても、前から全然圧力をかけて来ないのが不思議でした。ビルドアップ能力がガタ落ちになっている浦和にとっては実にありがたい話で、序盤から積極的に点を取りに行く姿勢で試合に入った浦和には願ったり叶ったりの展開に。

・ただ浦和の攻撃は左サイドに偏重。序盤は17分山中、23分森脇とミドルシュートで敵陣を脅かすだけに留まりましたが、24分山中横パス→武藤ボックス内でシュート辺りからほぼ「山中千本ノックシステム」に。サイドからのハイクロスを多用する辺りは「ミシャの残り香システム」っぽくなく、むしろ「札幌ミシャ」のテイスト。山中の超高精度のクロス、そのターゲットに高さがある杉本、あるいはその背後に走りこんでくる森脇と「山中千本ノックシステム」には可能性が十分感じられました。森脇にも28分惜しいクロスが一つ。

・ところが37分の先制点は意外な形から。青木がノープレッシャーでボックス近くまで持ち上がって浮き球の縦パス。ボックス内で反応した杉本が相手との競り合いを制してヘッド!! 杉本は浦和移籍後C大阪戦でPKのゴールを決めていましたが、流れの中からのゴールはこれが初めて。オリヴェイラ監督のもとでは出場機会どころかベンチ入りの機会さえ少なかっただけに、見事スタメン起用に応えた形となり、杉本も思わず渾身のガッツポーズ!!!

・このゴールを契機に浦和が勝っていれば杉本の一大転機となり、チームも勢いがつくはずだったんですがねぇ・・・ 好事魔多しというかなんというか、押せ押せになりかかった時間帯にわざわざ自爆ボタンを押すのが浦和。蔚山はもっぱらカウンター狙い。21分に攻めきれずにカウンターを食らった際に俊足の7番(キム・インソン)に浦和右サイドをぶっちぎられてヒヤリとしましたが、失点もやはり右サイドから。

・青木からの横パスのコントロールに失敗して自陣でボールを失うエヴェルトンもいただけないが、それ以上に左SHにポジションを移していた11番(イ・グノ)に森脇&岩波と2人も付いていながら間合いを開けすぎて簡単にクロスを上げさせてしまうのにはがっかり。しかもその先にいた18番(チュ・ミンギュ)はずっと槙野が見ていたはずなのに肝心なところでマークを外され、哀れにも山中が競り負けた格好になっているって、3つもがっかりが重なるとそりゃ失点するわなぁ・・・

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・最初の決定機で貴重なアウェーゴールを獲得した上、前半45分で浦和の手口も見定めてしまったのか、後半の蔚山は一転して積極的に最終ラインを押し上げ、フツーにボールを繋いで両サイドから反撃。布陣も14番(キム・ボギョン)をFWに上げて4-4-2に近い形にしたかな?
61分にはゴールキックを鈴木が競り負けたのを契機にセカンドボールを拾われ、最後はバイタルエリアからイ・グノにシュートを撃たれてヒヤリ。そして、終わってみればここで垣間見られた「バイタルエリアがらがら」が敗戦の予兆でした。

・浦和は前半だけで山中が消耗してしまったのかクロス精度がガタ落ちになり、攻撃の糸口は森脇のクロスに頼る形に。しかし山中ほどの威力・精度はなくせいぜい「森脇百本ノックシステム」といったところで、戦局は一進一退に。

・ここで大槻監督は69分早々と動いて杉本に代えて汰木を投入。しかし、残念ながら汰木は四方八方から相手のプレッシャーを受けるシャドーに向いているとは言い難く、おまけに相手を背負った状態では全く何も出来ないので、蔚山の守備網の中、あるいはその手前でウロウロするだけで全く何の役にも立たず。

・またどういうわけか大槻監督は立て続けに森脇に代えて宇賀神を投入。それなりに様になっていた「森脇百本ノックシステム」を諦めたのは実に不思議で、当然ながら宇賀神の右WBに攻撃面で多くは期待できないため、浦和の攻撃は時間の経過とともに完全に手詰まりに。そして不本意ながら1-1のドローもやむなしという雰囲気が漂い出した終盤、またしてもカウンターで被弾。

・攻めきれずに左サイド敵陣深い位置でボールを奪回された浦和。宇賀神が詰め寄って再奪回を試みるも及ばなかったのはともかく、青木&エヴェルトンが共にやたら高い位置を取っていて最終ラインとの間ががら空きになっており、しかも左サイドから繰り出される相手のパスコースも消せていないという謎っぷり。パスを受けた14番を鈴木が慌てて前に出て潰そうとするもこれまた及ばす、後は途中投入の8番(ファン・イルス)が無人の野を疾走して自らズドン!!相手のシュート精度もさることながら浦和の「バイタルエリアがらがら」が招いた必然的な失点でした。

・浦和も終盤「ミシャの残り香システム」っぽい中央突破で88分武藤がアーク付近から反転シュート、89分山中の縦パスを受けて汰木ボックス内突入と見せ場は作りましたが1点は遠くてそのまま試合終了。

・勝ち点は拾ったものの内容は芳しくなかった川崎戦・鳥栖戦の出来からすれば、手痛い敗戦とはいえ手強い相手に善戦したと評価していい試合だったと思いますが、失点の仕方があまりにも酷すぎ、しかも再現性のある失点だったというのはショックでした。

・また大槻監督は絶対に公言しないでしょうが、今日のスタメン&選手交代を見る限り大槻監督はACLを選手の適性の見極めの場として割り切ったのかもしれません。それくらいスタメン構成の攻守バランスに難があり、しかも謎過ぎる選手交代でした。浦和の置かれている状況を考えれば、それも至極妥当だと思います。

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-----杉本-----
--武藤----興梠--
山中-エヴェル--青木-森脇
-槙野--鈴木--岩波-
-----西川-----

(得点)
37分 杉本
42分 チュ・ミンギュ(蔚山)
81分 ファン・イルス(蔚山)

(交代)
69分 杉本→汰木(汰木が左シャドー、興梠が1トップへ)
72分 森脇→宇賀神
85分 青木→柴戸

・今日の良かった探しをすれば、杉本1トップが思ったより機能した点でしょう。収まりすぎる興梠と比較するのはさすがに酷でしょうが、ミシャ式歴代1トップと比較すると「興梠>>>>杉本>ズタラン>ラファエル>原口>ランコ」という感じかな。それなりに収まるし、興梠にはない高さがある。ただ杉本1トップのために興梠をシャドーに回すと興梠が「宝の持ち腐れ」になってしまうのが困りもの。

・逆にエヴェルトンのボランチはもうないでしょう。前半相手を押しこんでエヴェルトンが高い位置にいる分には悪くないのですが、相手に攻勢をかけられて青木と並んでノーマルなポジションを取るとなるともういけません。ボール奪取に多くを期待できないのはまだしも、がっかりさせられるのはパスレンジの狭さ。あんなにパスレンジの狭いボランチはなかなかおらん。近所の味方にボールを預けておしまいってなんやねん、それ!! それが許されるのは極端なボールハンター型のボランチだけじゃ!!

・長澤が出場停止&マルティノスが登録外なので、荻原と汰木がベンチ入り。柏木・ファブリシオ・阿部が怪我で、故障明けの橋岡は無理させず。この3試合で出場orベンチ入り出来た選手が大槻体制下での戦力で、怪我でもなくユース卒の新人でもないのにベンチ入り出来なかった選手は天皇杯2回戦が最後の出番になってしまうのかも。

・ひと昔前までは韓国のクラブといえばとにかく荒っぽい、ACLの審判といえば何かと怪しげというのが通り相場でしたが、時は流れて今や韓国のクラブも試合中は特段ラフプレーはなく、ACLの主審も実にマトモ。もはやJリーグの一部クラブのほうが遥かに汚いし、一部審判団のほうがはるかに怪しい始末で、残念至極。

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