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2019.07.22

【観戦記】19年第20節:磐田 1-3 浦和 ~ 竜頭蛇尾ながらも完勝で関根復帰を祝うの巻

・前節大誤審2発があったとはいえ、低調と言わざるを得ない試合内容で敗れた浦和。降格圏を彷徨い続け、とうとう名波監督更迭に追い込まれた磐田にも敗れるとなると、浦和自身も残留争いに巻き込まれかねないという状況下で迎えたアウェーゲーム。おまけに当日のエコパは雨こそ降らなかったものの非常に蒸し暑く、選手はもちろんのこと見ている側にもきつい環境でした。

・しかし、浦和はチームに覆いかかりそうになった暗雲を振り払うかのように前半だけで3得点。後半は一転してぐだぐだ模様となり、完封勝ちを逃すどころか何度も決定機を与え、退場者まで出してしまいましたが、前半のリードを活かして完勝と言って差し支えない試合内容で連敗阻止。とりあえず残留争いに巻き込まれる可能性は大きく後退しました。

・浦和は宇賀神がイエロー累積で出場停止。さらに怪我人が案外多くてエヴェルトンが長期離脱中の上に、鈴木がどうも小破している様子。おまけに山中が練習試合で小破し、杉本も別メニューとの報。柏木は全体練習に合流したばかりで、仙台戦で小破した武藤の状況は不明。低調だった前節横浜M戦からメンバーを入れ替えたくてもそんなに選択肢はないという状況下で、大槻監督はなんと浦和に復帰したばかりの関根、故障明けの武藤、さらに大分戦・天皇杯流経大戦と出来が悪くてここ2戦出番を失っていた柴戸をスタメンに抜擢しました。

・そしてこの3名の抜擢が大当たり。柴戸こそイエロー2枚の退場でミソをつけてしまいましたが、今節の完勝にこの3名が大きく寄与したのは間違いありません。

・一方前節松本を下して自動降格圏からほんの少しだけ脱した磐田はこのところ出番がないどころかベンチにすら入っていなかった大久保が突如スタメンに名を連ね、アダイウトンがベンチスタート。それ以上に驚きだったのは前節決勝点を挙げたロドリゲスがベンチ外だったこと。ロドリゲスに何があったのか全く判りませんが、第10節青木のバックパスを掻っ攫ったロドリゲスがいないのは浦和にとっては勿怪の幸い。

・ロドリゲスとアダイウトンが2枚とも健在であれば、そのうち1枚を終盤の切り札として使えたでしょうに。鈴木監督はアダイウトンを切り札としてベンチに置いたつもりなのでしょうが、強力な外国人FWを2枚とも欠いたスタメン構成にはかなり無理があったのか攻守とも全くいいところなく、前半だけで事実上勝負が付いてしまうという大惨事に。後半アダイウトン投入後の戦況を考えれば、頭からアダイウトンを投入して、その電池切れまでになんとかリードを奪う作戦のほうがまだマシだったような気もします。それはまぁ結果論なのでしょうが。

A001

・磐田は前節同様基本3-3-2-2、守備時は5-3-2の構えながら大胆にも最終ラインをハーフライン近辺まで上げ、2トップが前から追ってきました。しかしこの磐田のハイライン&ハイプレスは浦和の想定内だった模様。磐田がいくら2トップで追い掛け回しても浦和の最終ラインは3人、西川も使えば完全に数的優位なのでとにかく慌てなければ無問題。3-2-5のような形を取って磐田の最終ラインの裏を狙い続け、10分にはその狙いが早々と結実。長澤のスルーパスで磐田最終ラインの裏を取った興梠がカミンスキーの股を抜いてゴール!!

・オリヴェイラ末期の浦和のパス回しは各駅停車的というか、「指差し確認、信号よし!出発進行!」的な実にとろくさいものでしたが、大槻体制下でパススピードも判断スピードも心なしか向上した上に、「阿吽の呼吸」的なコンビネーションプレーも復活してきたようで、この日の磐田のような守備が緩い相手なら全く苦にならなくなった模様。

・ボールホルダーにたいしてプレッシャーがかかっていないのにやたら最終ラインを上げようとして、案の定裏を取られまくる。なんかゼリコ時代に浦和でもよく見受けられた地獄絵に嫌気がさしたのか、磐田は途中から極端な前プレをやめて高めの位置に守備ブロックを敷く方針に切り替えたように見えましたが、これはこれで一向にボールを奪う位置が定まらず、守備組織としてほとんど意味がないことには変わりなし。特に興梠のやりたい放題にしているのが致命的。

・そんな相手に浦和は敵陣で好きなようにボールを回し、22分興梠のパスを左サイドで受けた関根の低いクロスをファーで橋岡が詰めて2点目。このゴール、右サイドに出た柴戸のパスを中央で武藤スルー→背後で興梠がまさかのシュート空振り(笑)したのが妙に効いており、磐田守備陣の意識が全員興梠に向いてしまい、浦和両WBが共にどフリーに。でもミシャ全盛期を髣髴させるような、多くの選手が絡んだ素晴らしいゴールでした。

・また磐田は球際がとにかく弱い。32分にはカミンスキーのゴールキックを槙野が跳ね返し、そのボールを拾った関根が中央からドリブルで前方進出。その後武藤・長澤と繋がって、長澤が倒れこみながらなんとかボールをゴールに押し込みましたが、その過程で磐田守備陣が段ボールのように壊れてゆく様には笑いました。長澤は複数人で囲まれていたはずなのに、なんでボールがゴールに入っているのか現地ではよく判りませんでしたが(苦笑)、この辺は何発被弾してもなかなか墜ちない重装甲攻撃機長澤の面目躍如。

・浦和は守備も完璧。まずは前3人が磐田最終ラインにプレッシャーをかけ、次善の策として引いて5-4-1の守備ブロックをつくることを徹底。この前プレは一定の効果があり、8分には長澤が新里からボールを奪ってのショートカウンターの絶好機(武藤のシュートはカミンスキーがセーブ)を作った他、カミンスキーのキックミスも2度誘発。

A002

・前プレを交わされても、浦和は慌てずに守備ブロックを作ってしっかり構えればボールを持たされた磐田に攻め手はなし。大久保は前半終了を待たずに苛立ちを露わにしていましたが、偉そうに他人に指示を出せるほど大久保自身も何もやっていなかったかと(笑)。全く良いところがなく前半を終えたところで、鈴木監督はやむなく後半頭からアダイウトンを投入。下げたのはその大久保ではなく中山のほうでしたが。

・浦和はアダイウトンに裏を取られたくないためか、(どこまで意図的だったのか判りませんが)前半よりはやや引き気味の構えてカウンター狙い。サイドに流れたアダイウトンに縦への突破を許してもそこからのクロスを中央で跳ね返れば問題なしと割り切った風で特段守備に破綻は見受けられず、逆に狙い通りにカウンターが炸裂。

・59分柴戸のスルーパスで裏抜けに成功した武藤がボックス内でカミンスキーを交わし、カミンスキーの手が武藤の足にかかっているにも関わらず、なぜかPKの笛は吹かれず。カミンスキーは完全に出遅れてボールへのチャレンジすらしていないので本来PKどころか決定機阻止の一発レッドものではないかと思うのですが、福島主審も前節の松尾主審同様、「疑わしきは浦和の不利に」との因果でも含められているのでしょうか?

・この誤審に続いて浦和の流れをおかしくしたのが64分の柏木投入。まぁ武藤は故障明けなので試合展開とは関係なくこの辺りで下げるのは当初予定でしょうし、大差が付いているので同じく故障明けの柏木を試運転するのもアイデアとしては十分理解できますが、残念ながらその結果はこのチームにおける武藤の存在のでかさを攻守両面で際立たせる格好に。柏木は大槻体制になって以来故障で試合に出ていないので、本人のコンディションが上がりきっていないのに加え、コンビネーションに難があるせいもありましょうが。

・一方、磐田は63分小川を下げて大南を右CBに投入し、高橋を右WBに上げたのが案外妙手で、これ以降磐田はセットプレーに加えてハイクロス攻撃に可能性を見出すようになりました。

・この試合で浦和の守備が初めて決壊しかかったのは67分アダイウトンの裏抜けを許した場面。この場面こそボックス内で辛うじて槙野が防ぎましたが、そこで与えたCKからの流れで上原に豪快にミドルシュートを叩きこまれてしまいました。

・浦和は下がってボールを受けるアダイウトンに手を焼き、76分にはアダイウトンへの対応が後手に回った柴戸がイエロー。これは妥当なイエローですが、福島主審はどういうわけかやたら浦和のファウルを取る傾向があり、セットプレーに活路を見出した磐田に試合の流れを持って行かれる一因に。85分には柴戸が(田口とやり合ってっちもどっちみたいな感じでしたが)哀れにも2枚目のイエローを食らって退場となり、試合は完全に磐田が押せ押せに。

・89分に後方からの浮き球をアダイウトンがヘッド。90分には荒木のクロス→上原ヘッドが枠内に飛んだものの、西川の好セーブで事なきを得て、浦和はヘロヘロヨレヨレながらもなんとか逃げ切り勝ち。

・福島主審があのPKをしっかり取っていれば、その時点で磐田の心が折れて大量得点をゲットできる絶好のチャンスになったはずですが、あれやこれやですっかり竜頭蛇尾な試合に。しょっぱい相手を完膚なきまでに叩きのめせるほど、今の浦和は強くないことを如実に示した結果なのでしょう、残念ながら。

A011

-----興梠-----
--武藤----長澤--
関根-青木--柴戸-橋岡
-槙野--マウリシオ--岩波-
-----西川-----

(得点)
10分 興梠
22分 橋岡
32分 長澤

(交代)
64分 武藤→柏木
82分 興梠→ファブリシオ
87分 長澤→阿部

・2年ぶりに浦和に復帰した関根。行った先の監督が早々に更迭されたり、怪我があったり、そもそも海外志向なのに全然語学をやっていないという本人の準備不足が祟ってほとんど海外では実績を上げられず。そんな関根を有償で買い戻す(4年契約のうち残り2年で金額不明)浦和もどうかと思いますが、幸い関根のドリブルは全然錆びついていませんでした。

・攻撃時は高い位置を取り、岩波のロングフィードを受けて盛んに磐田最終ラインを裏を狙い、対面の松本相手にガンガン仕掛ける関根。ドリブルで仕掛けられるWBを見るのは本当に久しぶり。攻守のバランスが良い宇賀神はともかく、クロスマシーン山中や守備と高さに持ち味がある橋岡とは全く特徴が異なるので、大槻監督がその辺を上手く使い分けてゆくのでしょう。

A006
--大久保--中山---
---森谷--上原---
小川---田口---松本
-新里--大井--高橋-
-----カミンスキー----

(得点)
69分 上原

(交代)
HT 中山→アダイウトン
63分 小川→大南(大南が右CB、松本が左WB、高橋が右WBへ)
74分 大久保→荒木

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