アンドリュー・ナバウト選手、メルボルン・ビクトリーへ完全移籍内定
・先日アンドリュー・ナバウト選手のメルボルン・ビクトリーへの完全移籍内定が公式発表されました。メルボルン・ビクトリーはナバウトが2015年まで在籍していたクラブです。
・ナバウトは2018年3月にニューカッスル・ジェッツ(豪州)から浦和へ完全移籍。いつでも闘志剥き出し。ガッツに溢れ、とにかく浦和のために本人なりに全力でやっていることがよく判り、結果が出れば赤者から絶大な支持を受けたであろうプレーヤーだったと思います。ただ残念ながらその結果が出ず、FWなのに1年半の在籍期間でわずか1ゴールに留まりました。
・豪州代表にたびたび招集され、ロシアW杯にも出場したくらいの選手なので何がしか使いようがあったはずですが、浦和でのキャリアは不幸の連続だったように思います。
・まず浦和がナバウトを獲得した意図が不明で、ナバウトに何を期待していたのかよく判らないままのスタートになってしまったのが不幸の始まり。2018年シーズンはラファエル・シルバの早すぎる離脱によるダメージがでかすぎて開幕からドツボに嵌まったことを受けて山道強化部長が慌ててFWを探した結果ナバウトに白羽の矢が立ったのでしょうが、気の毒なことにナバウト加入直後に堀監督どころか山道強化部長まで更迭される憂き目に。
・おそらく開幕時に武藤が無理やりやらされていた4-1-4-1の左SHとして獲得したのでしょうが、堀監督更迭によってナバウトの立場はいきなりあやふやなものに。
・大槻暫定監督のもとで途中出場を繰り返して適性を見極め、オリヴェイラ監督の下でようやく2トップの一角としてリーグ戦で使える目途が立った思った矢先にGKチョン・ソンリョン(川崎)の無謀な飛び出しによって交錯した挙句に右肩を脱臼する不運に見舞われてしまいました。しかもこの故障がロシアW杯で再発してしまい、ナバウトは10月まで浦和でのキャリアを棒に振ることに。
・ナバウトの難儀なところは連携に難があるというか、中々他の選手と噛み合わず、一生懸命やっているんだが常に空回りがちだったこと。言うなれば「ほとんどシュートが入らないポポ」。ただでさえそんな感じなのに故障がちなことに加え、元気になればちょこちょこ豪州代表に招集されるので連携を深めるまとまった時間が取れなかったのが浦和で結果を出せなかった一因でしょう。
・それでも攻撃はほぼ個人能力頼みで、ナバウトに2トップの一角としての適性を見出していたオリヴェイラ監督のもとならまだ活躍の余地があったでしょう。しかし、ようやく待望の初ゴールを挙げた2019年第12節湘南戦でまたしてもGKと交錯して故障。しかもその直後にオリヴェイラが更迭されてしまい、オリヴェイラよりはずっと組織的な崩しを求める大槻監督の下では連携難を抱えるナバウトは1トップとしてもシャドーとしても使い道がなくなってしまいました。
・大槻体制下では使い道がない点ではマルティノスもどっこいどっこいですが、マルティノスはスピードだけはあり、クロスもまずまずという一芸を持っている一方、ナバウトはWGが最適とされているにも関わらずスピードがそれほどないので途中投入としての使い道も少ないと判断され、今回の完全移籍の運びとなったものと目されます。
・冒頭記したように、とにかく一生懸命やっていることだけはよく判り、応援したくなる選手だったのは確か。メルボルン・ビクトリーはACLにも度々出てくるので、その場で再会できることを楽しみにしています。
| 固定リンク