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2019.10.24

【観戦記】ACL2019・準決勝第2戦:広州恒大 0-1 浦和 ~ まさかまさかのアウェーで完封勝ちで決勝進出

・AFC公式サイトによればシュート数5対19。しかもボールを6割弱相手に支配され、自陣に押し込まれて5-4-1の守備ブロックを敷いて耐えるしかないという浦和が超不得手な試合展開に持ち込まれてしまいました。WBが押し込まれて5バック化し、その前からクロスを上げられるというパターンを何度作られたことか!!

・普段のリーグ戦なら5点ぐらい取られて大敗してもなんら不思議はない試合展開で、堅守感なんて全くありませんでしたが、守っては西川の再三の好守と不可解なくらいに枠に飛ばない相手のシュート精度の低さ(枠内シュートは5対8とそんなに差がない)に助けられ、攻めては広州恒大の弱点をきっちり突いて、終わってみればなんと完封勝ち。しかもホームでは絶対的な強さを誇り、特に決勝トーナメントではJリーグのチームには無敗を誇っていた広州恒大相手の完封勝ちですから歴史的価値があるといって差し支えないでしょう。

・また押し込まれる時間は長かったものの、腰は引けていませんでした。デュエルや空中戦で浦和が6割強勝っているのがそのなによりの証拠でしょう。10分に西川とエウケソンが交錯して西川が頭を強打したのを皮切りに、随所で浦和に傷む選手が続出しましたが、幸い怪我で交代を余儀なくされた選手はおらず。また敗色濃厚になってラフプレーが目立ちした広州恒大に変にお付き合いすることなく、淡々と時間を使って楽々逃げ切り勝ち。なぜこの「大人の試合運び」がリーグ戦で出来ないのでしょうか(苦笑)。

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・浦和のスタメンは大分戦で負傷した武藤どころか、なんと大分戦を欠場した青木もこの大一番に間に合わず、結局大分戦から武藤→ファブリシオ、宇賀神→橋岡、マウリシオ→鈴木と3名のみ入れ替え。阿部を中4日での連闘を余儀なくされたのが一番辛い格好に。

・前回対戦時なぜかわざわざ3-4-3の布陣を採用して轟沈した広州恒大は10番(ジェン・ジー)アンカーの4-3-3に戻してきましたが、パウリーニョが深い位置に下がってくる場面が多いので4-2-3-1に見えなくもないという感じ。

・広州恒大はこの試合で3点以上取らないといけないので頭からガンガン飛ばしているかと思いましたが特段そんな風には見えず。一方浦和も積極的に前からハメに行くわけではなく、大分戦前半にも似た「意図せざるリトリート主体」の守備で割とまったりした試合の入りとなりました。

・しかし、そんな試合の流れで最初に決定機を掴んだのは広州恒大。16分関根が縦パスをカットしようとして失敗し、17番(ヤン・リーユー)が関根の裏へ抜けてクロス→タリスカがボックス内でフリーでシュート!!即死級の大ピンチでしたが、ここは西川が好セーブ。さらに19分CKからの流れで浦和右サイドからクロス→タリスカのヘッドはわずかに枠外。

・浦和は立ち上がりからビルドアップに苦しみ、特にファブリシオは完全に相手のボールの奪いどころと化してしまう惨状でしたが、21分そのファブリシオの「突然枠内ミドル」で反撃開始。さらに22分関根が左サイドを抉ってクロス→ファーの橋岡の落としは興梠に繋がらなかったものの、そのこぼれ玉を阿部がミドルシュート。残念ながら共にGKの好守に阻まれてしまいましたが、広州恒大のクロス攻撃に対する対応の拙さはこの時点で早くも顕わに。38分には橋岡のクロスがなぜか簡単に興梠に通る場面もあり、これらが後半の興梠ゴールの伏線に。

・しかし戦況は依然浦和劣勢。WBが押し込まれて最終ラインに下がってしまい、その前からクロスを上げられる。特に左サイドは武藤不在で押し込まれた関根の前を守るのが守備に多くを期待できないファブリシオのせいかより決壊リスクが高く、35分17番→ファーで橋岡の背後からエウケソンヘッド、そしてこの試合最大のピンチとなった38分に5番(ジャン・リンポン)がどフリーでクロス→ボックス内で反転して鈴木を交わしたタリスカのシュートがバーを直撃!!

・後半に入ってもなお広州恒大の優勢は変わらず、48分にはドン引きを余儀なくされた状態でパウリーニョがボックス内で長澤を交わしてクロス→ファーにタリスカが飛び込んでヒヤリ。

・しかし先制したのは浦和。50分阿部のパスカットからのカウンターで橋岡クロス→興梠ヘッドが炸裂。橋岡は対面の相手とのヨーイドンには絶対の自信を持っているようですし、クロス精度も劇的に向上。さらにその先では興梠がCBの背後から突然前に入ってくる匠の技を披露!! もっとも橋岡のクロスの軌道上には興梠しかいない(ファブリシオは囮になっているようには見えず)のに、その興梠のマークを外してしまう広州恒大のDF陣が酷すぎて、ここがJリーグとの最大の差のような気がします。

・アウェーゴールを許して残り40分強で4点以上取らないといけない羽目になった広州恒大はすぐには諦めず、55分浦和左サイドからどフリーでクロス→エウケソンが槙野と競り合いながらヘッド、57分浦和右サイドから33番(ジョン・ジーチャオ)がクロス→ファーでパウリーニョヘッドと決定機連発。

・しかし、カンナバーロ監督の55分の2枚替え、さらに68分に早くも3枚目のカードを切ったのがいずれも奏功しないどころか、「代えれば代えるほど悪くなる」というミシャ的状況に陥ってしまい、攻め手がなくなるどころか中盤がスカスカになって浦和にカウンターの余裕を与える始末。ミドルシュートを撃てども撃てども入らないタリスカが苛立ちを露わにし出し、76分にとうとうイエローをもらった時点で広州恒大も試合を諦めてしまったように見受けられ、好機に雑なクロス、雑なシュートで自爆ボタンを連打。

・浦和もカウンターでの決定機を作れずじまいに終わりましたが、4点も取られない限り大丈夫なので、ひたすらボールを蹴りだし、ボールキープに専念して楽々逃げ切り勝ち。

・2017年以来2年ぶりのACL決勝進出はもちろん慶事ですが、悲しいことにリーグ戦では依然残留争いの渦中にあり、しかもACL決勝進出に伴い10月下旬から超過密日程、しかも相手が広島→鹿島→川崎と強敵だらけの茨の道を歩むことが決定。「踏める地雷は全部踏む」というか、わざわざ困難な道を歩むのがいかにも浦和らしいというかなんというか、もうここまでくれば選手や監督・スタッフを信じて腹をくくるしかありません。

-----興梠-----
--ファブリシオ---長澤--
関根-阿部--エヴェ-橋岡
-槙野--鈴木--岩波-
-----西川-----

(得点)
50分 興梠

(交代)
75分 興梠→杉本
84分 橋岡→宇賀神
87分 阿部→柴戸

・青島ビール賞は興梠。広州恒大が負けることを全く想定していなかったのか、プレゼンテーターのおっさんは明らかに不機嫌だし、青島ねーちゃんはなんか知らんけど信じ難いくらい残念なレベルなのがゾロゾロ出てくるし、当の興梠も全然嬉しそうじゃないし・・・

・西川は不可解過ぎる遅延行為でのイエローを食らって、ACL決勝第1戦は出場停止。今日の主審、西川の遅延行為でのイエローはいくらなんでも厳しすぎるだろうと思いましたが、広州恒大が終盤ラフプレー連発になったにも関わらず試合を荒れさせずに終わらせただけでGJだと思いました。やっぱりACLの審判団はJリーグよりマシなんでしょうなぁ。

・福島は今季超久しぶりの出番がなんとACL決勝になってしまいましたが、第2GKとはそもそもどこで出番が来るか全く判らないという存在ですし、こればかりは致し方ありません。また福島本人もここでビビる玉ではないでしょう。

・試合前の記者会見で中国の記者から「レッズの7番の選手がよくルール違反をして相手にいろいろな細かいことをやるが、これは7番の選手の個人としての特長なのか、チームとしての戦術なのか?」と名指しで批判された長澤。試合後「今日はそこまでルール違反しないで勝つことができてよかったです。」とツイートして内心ムカついてたことを吐露(笑) 批判されても仕方ないあからさまなファウルはありませんでしたが、コケ方が大げさとか、揉め事を誘うとか、いかにもACL仕様の長澤っぽいプレーは散見されたような(苦笑) でもお疲れさまでした。

 

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