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2019.11.02

【観戦記】19年第30節:鹿島 1-0 浦和 ~ 攻めの形があった者となかった者の差

・シュート数は10対10と全く互角。ボール支配率もほぼイーブン。少なくとも試合内容は前節広島戦ほどやられっぱなしだったわけではなく、広島戦よりははるかに引き分けで終わる可能性が高かったと思いますが、結果は残念ながらウノゼロの惜敗。J1残留へ向けて是非とも確保したかった勝ち点1を持ち帰えられませんでした。

・鹿島の出来は芳しくありませんでしたが、それでも勝ち点3をもぎ取れる勝負強さが血塗られたタイトルの数々をもたらしたのでしょう。言い換えれば間違いなく勝てる試合を引き分けで終わってしまった広島との実力差は歴然。

・浦和はアウェー広島戦からわずか中2日でのアウェーゲーム。それゆえスタメンを大幅に入れ替えて闘わざるを得なかったのに対し、鹿島はルヴァン杯決勝に伴うお休みを挟んでの久しぶりの試合。しかも鹿島は怪我人が続々復帰とコンディション面で大きな差があり、その割には浦和は善戦したと前向きに評価してもいいと思いますが、残留争いにどっぷり浸かったシーズン終盤に「善戦」はあまり意味がありません。

・またシュート数こそ互角ですが、その内容には大差があり、鹿島が繰り返しサイドを攻略してGKを福島を脅かしたシュートを何本か放っているのに対し、浦和は頼みの両WBが沈黙してこれといった決定機が全く作れず。セットプレー以外は「とりあえず撃ってみました!」みたいなシュートだらけでGKクォン・スンテをビビらせたであろうシュートなんて一本もありませんでした。

・如何せん「勝ち点1」が至上命題なのでどうしても守備に意識が行きがちなせいか、あるいはレギュラー組が半分しかおらず連携に難があるせいか、この試合は広島戦以上に再現性のある攻撃の形を見せられずじまい。従って「引き分けで終えられた可能性は高かったが、勝てる可能性は全くなかった」と言わざるを得ず、残念ながらウノゼロの惜敗は十分起こりうる結果だったと思います。

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・前述のように浦和はアウェー広島戦からわずか中2日でのアウェーゲーム。さらに中3日でホーム川崎戦、さらに中3日でACL決勝・アウェーアルヒラル戦が続くという超過密日程ゆえ、残留争いの渦中にあってもそれなりにスタメンを入れ替えて闘わざるを得ない状況。

・そこで大槻監督は鹿島戦で鈴木→マウリシオ、阿部→柴戸、長澤→柏木、興梠→杉本と入れ替えた上に、ACL決勝第1戦でGK西川が出場停止となったことを踏まえてか、福島をついにJ1リーグ戦の舞台に投入しました。また久しぶりにスタメンに抜擢された柏木を頭数不足のボランチではなく右シャドーに起用したのも目を惹きました。

・面子的には「ちょいミシャ」の3-4-2-1なんてやる意味は全くなく、柏木トップ下の3-4-1-2のほうがまだ機能しそうな気がしてなりませんが、面子に応じて最適なフォーメーションを選択する引き出しもなければ練習する時間もないせいか、フォーメーションはいつもの3-4-2-1。全く向いていないCFで起用され続ける杉本が哀れ。

・一方怪我人だらけだったはずの鹿島は、ルヴァン杯決勝に伴うお休みを挟んだのが幸いし、前節松本戦にはいなかったレオシルバ、伊藤、セルジーニョ、三竿が続々と戦列に復帰して全く駒落ち感を感じさせない陣容に。ただ怪我明けで試合勘がないのか、レオシルバなど本調子には程遠い出来だった選手がちらほら。

・浦和の試合の入りは悪くはなく、また広島戦のようにボールを一方的に支配されているわけでもありませんが、時間の経過と共にサイドに人数をかけ、素早いボール回しからフリーのSHやSBを作るのが上手い鹿島が次第に優勢に。

・12分三竿の縦パスに対して福島が中途半端に飛び出したのが災いしてループシュートを撃たれたのを皮切りに、15分浦和右サイドから町田クロス→遠藤ヘッド(枠外)、20分CKからの流れで三竿→遠藤がボックス内からシュート(福島セーブ)、27分三竿スルーパス→白崎が岩波を交わして角度のないところからシュート(福島セーブ)、と立て続けに決定機。

・浦和は立ち上がりと30分以降にボールを支配する時間帯がありましたが、ワイドに大きく展開して両WBの突破に賭ける意図は伝わってくるものの、肝心の両WBが沈黙して全く決定機を作れず。特に橋岡の対面が本職CBの町田で空中戦では容易に競り勝てず、ヨーイドンでも苦戦。関根もお疲れなのかキレがありませんでした。

・またファブリシオの出来が芳しくなく、攻めに出てもボールの取られ方が悪く、守りに回っても彼なりに懸命にプレスバックするものの途中で相手を離してしまうので往々にして関根が死ぬ羽目に。最初に交代を命ぜられるかと思いましたが、如何せん手駒が・・・興梠や長澤は出来れば使いたくないでしょうし、かといってビハインドでもないのにいきなりマルティノスはリスク高過ぎですし・・・

・杉本はガツガツ当たってくるCBブエノが苦手(というかなんで荒木主審がブエノのファウルを取らないのか不思議でしたが)なのか、サイドに流れがち。しかも杉本が空けたスペースに誰かが侵入するわけではないので、流れる意味がないという惨状。

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・後半に入ると立ち上がりにマウリシオの対応が拙くて土居に浦和左サイドを突破されてしまった場面でヒヤリとしたくらいで戦況は完全に一進一退に。鹿島はミスが多い上に、なぜか勝手に主審と喧嘩してリズムを崩しているように見受けられる一方、浦和は良い形でボールを奪ってフリーで前を向いた柏木と杉本の意図が絶望的に噛み合わず、チャンスになりそうな場面でシュートすら撃てず。杉本はなんで裏抜けを狙わずにサイドに逃げたり、逆に鹿島最終ラインの前で立ち止まったりするのだろう?

・鹿島は62分杉本に後方から削られて遠藤が傷んだせいもあってか、65分に遠藤に代えてセルジーニョを投入。一方浦和はお疲れの関根を早々と諦めて68分に宇賀神を投入。終わってみればこの替え駒の質の差が勝敗の分かれ目に。

・72分浦和を自陣深くに押し込んだ状態から鹿島が人数をかけて両サイドから分厚い波状攻撃。永木、レオシルバ、永木とクロスで浦和守備陣を左右に振り回し、土居のシュートこそいったん福島が弾いたものの、こぼれ玉をセルジーニョが詰めて鹿島が先制。この場面鹿島は両SBが共に攻撃参加しているのに、浦和は両シャドーが全く守備に加わっていないように見受けられますが、この甘さが勝ち点1すらもらえない所以なのかも。

・先制された浦和は興梠、長澤と相次いで投入するものの、攻撃の形を作れないのは相変わらず。特に長澤はボランチ途中投入で機能した試しがなく、せめて柏木とポジションを入れ替えてシャドーで使ったほうがまだマシだと思いましたが、残念ながら引き出しがない大槻監督の選手交代に多くを期待できないのは何度も実証済み。

・しかも、あろうことか大槻監督が永木を突き飛ばして一発レッド。目の前で永木がエヴェルトンを投げ飛ばしたことに激昂して思わず永木を突き飛ばしたのでしょうが、これは全くいただけません。

・リードした時の鹿島がありとあらゆる汚い手段を弄して試合をぐだぐだにするのは伝統芸能であり常套手段であるなのに、その汚い手にまんまと引っかかって退場処分を食らうとは(今時森脇でも引っかからんでしょう!!)監督としての資質を疑問視されても仕方がない愚行だと思います。まるで浅野内匠頭状態。怒り心頭に発する気持ちは判りますが、とにかくやってはいかん。「監督の退場がチームに火をつけた!!」なんて大映ドラマみたいな展開が起こりうる求心力なんてとっくの昔に失われているでしょうし。

・監督がこんなザマでは反撃らしい反撃もできるはずもなく、久しぶりにまともなプレースキッカー=柏木がいるのでセットプレーに一縷の望みを託すものの、橋岡のシュートに見せ場があったくらいでそのまま試合終了。

・少なくとも次節川崎戦大槻監督がベンチ外なのは間違いないでしょうが、幸か不幸か大槻監督はベンチにいてもいなくても今の浦和に実害はないんだよなぁ・・・

-----杉本-----
--ファブリシオ---柏木--
関根-エヴェ--柴戸-橋岡
-槙野--マウリシオー-岩波-
-----福島-----

(交代)
68分 関根→宇賀神
74分 ファブリシオ→興梠
77分 柴戸→長澤

・とにかく久々出場の柏木の出来が上々だったのが鹿島戦最大の「良かった探し」。柏木は「チームのために全力で走っている(但し遅い)、全力で闘っている」のがはっきりと判るプレーぶりで、個人的にはそれだけでも十分。当たり負けしてしょっちゅうコケていたのでACLには使いづらいかもしれませんが、最後の瓦斯戦&G大阪戦での活躍は十分期待できます。リーグ戦なら武藤の代わりはファブリシオではなく柏木になるでしょう。ただ如何せん長らく試合に出ていないので、柏木の意図を周囲が活かしきれないのが残念でした。

・失態を繰り返して期待値がものすごく下がっているのがアレですが、柴戸も良かったと思います。相変わらずワンワン系ボランチですが、食いつきすぎる癖を逆用されてぽっかり空いたスペースを使われるなんてことはあまりありませんでしたから、ワンワン系の良さが目立ちました。

・そしてACL決勝を睨んで大抜擢のGK福島。12分の中途半端な飛び出し(但し、土居のシュートを辛うじて防ぐ)と試合終了間際のキックミス連発(相手に直接渡ってしまう!)はさすがにどうかと思いましたが、リーグ戦デビューとしては良くやったと思いました。

---伊藤--土居---
白崎--------遠藤
---レオシルバ-三竿---
町田-スンヒョン--ブエノ-永木
-----クォンスンテ----

(得点)
72分 セルジーニョ

(交代)
65分 遠藤→セルジーニョ
73分 伊藤→上田
90+4分 白崎→小泉

 

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