【観戦記】ACL2019・決勝第2戦:浦和 0-2 アルヒラル ~ 実力差がありすぎて「ホームの力」ではどうにもならずに惨敗
・手も足も出ませんでした。アウェーで0-1という結果を受け、最悪でも90分のうちに1点を取って延長戦に持ち込まないといけないはずの浦和でしたが、非常に残念なことに試合内容はほぼ第1戦をなぞったものに。くじ運にも恵まれて決勝まで進んだはいいが、結局大阪桐蔭にボコられて終わる田舎の公立高校みたいな惨敗でした。
・浦和のシュートはたった4本。しかも相手GKを脅かしたようなシュートは1本もなく、全く点が入る気配はありませんでした。関根はカリージョに歯が立たずに守備で精一杯。橋岡の高さもほとんど通用せず。点を取らないといけないのに第1戦同様両WBが何もできず、おまけに左サイドの惨状を見かねた興梠がファブリシオに代わってシャドーに入り、ほぼそのまま消えてしまった時点で浦和に得点の可能性は潰えました。
・一方アルヒラルは前に出て来ざるを得ない浦和に対して、第1戦同様に関根の裏を突きに突き、さらに何度もカウンターをお見舞いしてチャンスメーク。西川の好守&アルヒラルの決定力の無さでなんとか2失点で済んだと言わざるを得ない、第1戦同様スコア以上に差があった試合内容でした。
・いくら「ACLの浦和はホームで強い。ホームで一変する!!」と言っても、ここまで実力差があると「ホームの力」とやらではどうにもなりませんでした。第二次世界大戦で例えれば独ソ戦くらいの実力差だと思っていたら実は日米戦くらいの実力差があって、「ホームの力」ごときではその差を埋めようがなく、文字通り本土丸焼けに。もう戦前勝ち目があると思ったのが愚かしく思えるくらいの差でした。
・第1戦でも感じたことですが、今の浦和が辛うじて通用するのは中国勢みたいな「最後はスーパー外国人選手に全部お任せ!!」みたいな、狙いどころが絞りやすいチームがせいぜい。アルヒラルのような、外国人選手のクォリティーが高い上に、攻守両面でシステマティックで、サウジアラビアの選手も外国人選手と見事に連携しながら攻め&守るようなチーム相手には全く通用しませんでした。
・今年のアウェー神戸戦で受けた衝撃がACL決勝で再現されたと言い換えてもいいでしょう。10回やったら10回とも負ける。しかも同じような崩され方で。
・この先浦和がACLの舞台に戻ってくるまで何年かかるか判りませんが、3度目のACL戴冠を狙うならチーム作り、さらにはそれを支えるクラブの体制から抜本的に見直さないといけない。それをやる意思も金もないなら、もうACL戴冠なんて夢は捨てたほうが良いと思います。それくらい衝撃的な惨敗でした。
・それにしても、第1戦が終わってからの2週間、大槻監督は何をやっていたのか???と疑問符がつきまくるくらい、試合内容に改善が見られませんでした。第1戦に至るまでの連戦また連戦でレギュラー組は疲労困憊の極みに達し、回復系メニューをこなすだけで精一杯。攻守とも戦術的な改善・仕込みはほとんどなされないまま第2戦に臨んだのではないかと訝しくなるくらい、浦和は攻守とも第1戦同様全くいいところがありませんでした。
・5-4-1の守備ブロックを敷いてとにかく耐えるしかなかった(だがほとんど守備として成り立っていなかった)第1戦と違って、とにかく点を取らないといけないので序盤から積極的に前からハメにいっただけはよく判りましたが、この「前ハメ」がほとんど効かなかった時点で半ば以上勝負あり。
・最も驚いたのは、第1戦でボコボコにやられた左サイドの守備を全くテコ入れしなかったこと。大槻監督は人を代えずに、リトリートから前ハメへとやり方を変えることで対処できると思ったのでしょうが、「前に出た関根の裏を突かれる」という第1戦でお馴染みのやられ方がより悪化しただけで早々にこの対応策は破綻。
・開始5分には早くもカリージョが浦和左サイドを破ってクロス→アルドサリがヘッド。11分には縦パスを受けたカリージョが槙野を交わしてボックス内に侵入する場面があり、この時点で浦和の左サイドは第1戦同様脆弱なままなのが明々白々に。カリージョに全く歯が立たない関根は43分とうとうカリージョの首根っこを掴んで引き倒してしまう御乱行に及んでイエロー。
・あんまりな左サイドの守備を見るに見かねたのか、途中から興梠が左シャドーへ回りましたが、当然ながら興梠は守備で走り回る羽目になって消耗を重ね、23分に関根の縦パスを受けて左サイドを抉った決定機を作った以外はほぼ消えてしまいました。代わって1トップに上がったファブリシオはボールを収められるタイプではないので、浦和はロングボールでボールを前進させることも出来ず。
・どう見ても遠来のビジターのほうが動きが良いのにも参りました。これは国内リーグの支援を受けて余裕のある日程でACL決勝に臨んでいるアルヒラルと、JリーグもJFAも支援どころか邪魔をしているとしか思えない過密日程でヘロヘロになった浦和との差でしょう。
・アルヒラルは浦和を遥かに上回る鋭い出足で浦和最終ラインにプレッシャーをかけてくるので、浦和はビルドアップに四苦八苦。38分に青木、39分に橋岡と共にサイドで詰まった挙句にボールを失ってカウンターを食らってしまいましたが、あれは個人的なミスで片付けられる性格のものではなく、そうなるようにアルヒラルに追い込まれた結果かと。
・後半になっても浦和の劣勢はなんら変わることなし。50分には浦和右サイドからのクロスをニアでゴミスが合わせるものの、西川が辛うじてセーブ。54分には浦和CKからカウンターを食らって青木がやむなくイエローで止める「浦和伝統のコント」が発生。さらに57分には関根のパスを受けた興梠がカリージョのプレッシャーを受けてボールを失う大惨事が発生し、これも岩波がやむなくイエローで阻止。前半からこれだけカウンターを浴びに浴びて足を使う羽目になっては終盤反撃に出る燃料が残っていないのもやむを得ないかと。
・大槻監督は63分長澤→柏木、71分ファブリシオ→杉本と早めに選手を代えましたが、頼みの両翼&興梠が死んだままで、彼らを軸とする攻め手以外の手筈を持っていない以上、選手交代でどうにかなるはずもありません。
・69分には青木のボールロストを契機にボックス内でジョビンコがふんわりクロス→ファーでゴミスがシュート!という絶体絶命の大ピンチがあり、これも西川がセーブ。だが浦和の奮戦もここまで。
・75分浦和が相手を押し込みながらも攻めきれず、興梠のパスを受けようとしたエヴェルトンがボールを失ったところから始まったカウンターでとうとう失点。左サイドを疾走するカリージョを関根が必死に追走するも簡単に弾き飛ばされた場面は哀れを誘いました。あとはなんとか守備ブロックを整えようとする浦和に対してフリーの選手同士で中→外→中ときっちりボールを繋いだ完璧すぎる崩しでついにアルヒラルが先制。
・アルヒラルが無駄に決定機を外しまくったのがアルヒラルにとって「災い転じて福」となり、痛恨のアウェーゴールを許した浦和はAT合わせてもせいぜい20分で3点を取らないといけない羽目に陥ってしまいました。これまで決定機どころかロクにシュートすら撃っていない惨状を振り返れば、そのタスクが非常に絶望的なのは誰の目にも明らか。
・失点までに守備で散々燃料を使った上に、痛恨のアウェーゴールを極めて悪い時間帯に喫したためか、浦和には反撃の能力どころか意欲すら残っていないように見受けられました。西川がボールを持っても、誰も前に走りださなかったのが何よりの査証でしょう。ATの告知と共に席を立つ人がゾロゾロ。最後はゴミス→カリージョ→ゴミスとスカスカの浦和守備陣を鮮やかに切り裂いてダメ押し。
・浦和はこの惨敗を受けて2007年から綿々と繋いできた「ACLへの拘り」を一旦断ち切るしかないと思います。向こう2、3年かけてミシャチルドレンの入替をせざるを得ず、その間はよほど優秀なGM&監督を連れてこない限りたいした成績も望めないでしょうし。また先述のように浦和が3度目のACL戴冠を狙うならチーム作り、さらにはそれを支えるクラブの体制から抜本的に見直さないと思ったのですが、明くる朝には予想の斜め上過ぎるニュースが飛び込んでくるとは!!!
・もうこのクラブは深い眠りにつく道を選んだようです、残念ながら。
-----興梠-----
--ファブリシオ---長澤--
関根-青木--エヴェ-橋岡
-槙野--鈴木--岩波-
-----西川-----
(得点)
74分 アルドサリ
90+3分 ゴミス
(交代)
63分 長澤→柏木
71分 ファブリシオ→杉本(杉本1トップ、興梠左シャドー)
88分 青木→阿部
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