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2019.12.17

謎過ぎる大槻監督続投(4) ~ 悲惨な試合内容(下)

※謎過ぎる大槻監督続投(3) ~ 悲惨な試合内容(上)からの続き

c)乏しい引き出し ー 謎すぎる「ちょいミシャ」への固執

・先述のように大槻監督は就任早々基本フォーメーションを3-4-2-1に戻しました。長年「ミシャ式」に慣れ親しんだ選手が西川・槙野・青木・武藤・興梠とセンターラインに依然としてごっそり残っている以上、とりあえず「ミシャ式」に戻してチームを立て直そうという意図は判らなくもありません。前年の暫定監督就任時のように手っ取り早く勝ち点を稼いで後任に引き継ぐような立場であれば、なおさらそれしか出来なかったでしょう。

・ところが、正式に監督として就任した今季の場合は、そもそも「ミシャ式回帰」が最適解だったのかどうか。残念ながら大槻監督はミシャのもとで研鑽を積んだわけでもなんでもなく、「ミシャ式」向けのトレーニングメソッドを豊富に有していたのかどうか怪しいものです。少なくともピッチ上で起こった現象、特にビルドアップ能力がガタ落ちになったところを見ると、ミシャ式でチームを立て直せる能力があったとはとても思えません。そしてピッチ上で再現されたのは「仏作って魂入れず」みたいな「ミシャ式の抜け殻のようなもの」に過ぎませんでした。

・そもそも期待を大きく上回る戦果を挙げた昨年暫定監督時ですら、選手のモチベーションを上げに上げたのが効いただけで、戦術的には「ミシャの残り香」「ミシャの思い出」にひたすらすがってだけのように見受けられました。あれからさらに1年が経過し、選手達はオリヴェイラ式に魔改造されて残り香も消え失せかかっているであろうのに、「夢をもう一度」にはかなり無理があったと思います。

・そして「ちょいミシャ」を決定的に瓦解させたのが攻守両面で「ミシャの残り香」を必死に振りまいていた武藤の長期離脱でした。

・またなんだかんだとミシャ更迭後に加入した選手が増えているにも関わらず、大槻監督が3-4-2-1の基本フォーメーションに固執し続けたのも謎でした。その極めつけが最終節興梠のやむを得ない事情による欠場を受けてのマルティノス1トップ起用。何もそこまで3-4-2-1に拘る必然性なんて全くないでしょうに。

・さすがにあんまりな機能不全ぶりを受けて最終節後半は2トップ気味に修正しましたが、このような選手交代に伴うフォーメーション変更という例も少なく、大槻監督の引き出しの無さを感じさせました。

・その結果マルティノス然り、ファブリシオ然り、杉本然り。個人能力はそれなりに高いものの、3-4-2-1の1トップでもシャドーでも使いづらい選手が常時ベンチを温める始末。山中に至ってはほぼ使い道がなくなってしまいました。「ちょいミシャ」に固執した割には結果は全く出ず、有力選手がやたらベンチにゴロゴロするとなるとチーム内に不満が鬱積するのも当然でしょう。

・なお大槻監督は昨年「ミシャチルドレン」が出ないルヴァン杯では4-4-2を採用しています。ゆえに大槻監督は本来選手の向き不向きに応じたフォーメーション変更が出来るはず。なのに、今年監督が得手としている訳でもなんでもない3-4-2-1に拘ったのは何故なのか、非常に不可思議です。さらに言えば、大槻監督が本当にやりたかったのは何なのか?という疑問に辿り着いてしまいます。

d)分析結果を選手たちに落とし込めない 

・大槻監督は「相手の分析が得意」という話を良く聞きます。ACL準決勝第2戦で練習の様子から広州恒大のメンバー・システム変更を予測していた話を聞くと、確かにそんな一面もあるのかなと思います。

・しかし、「相手の分析が得意」という割には序盤なすすべなく相手にタコ殴りされる試合があまりにも多かったような気がしてなりません。中途半端に前に出てボコられた第1節大分戦、逆に引きすぎてボコボコされた第23節神戸戦、相手のハイプレッシャーに抗しきれなかった第33節FC東京戦がその象徴例。いずれも傍目には浦和がわざわざ最悪手を放っているようにしか見えませんでした。

・また守備は「前ハメ」に重きを置いていたにも関わらず、相手のフォーメーションなりボールの動かし方なりに応じて、こちらがハメ方を調整しているようには見えず、結果として嵌まったり嵌まらなかったりするのもどうかと思います。

・試合途中での修正能力を評価する向きもあるようですが、「修正が上手くいった」といっても壊滅的だったのを五分五分に戻すのがせいぜいで、選手交代とかフォーメーションの変更とかで相手を上回り、勝ち点を掴み取ったような試合は第15節鳥栖戦のマルティノス投入くらいしか記憶にありません。逆に相手の出方の変化に付いてゆけずに逆転負けを喫した第24節松本戦のほうが強く記憶に刻まれています。

・結局のところ、「分析担当コーチとしては優秀かもしれないが、分析結果をもとに対策を立て、その対策を練習を通じて選手達に落とし込む監督としての能力は高くない」というのが大槻監督に対する個人的な評価です。

 

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