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2019.12.16

謎過ぎる大槻監督続投(3) ~ 悲惨な試合内容(上)

・今年素晴らしい成績&観客を魅了する内容でJ1優勝を果たしたポステコグルー監督も昨年は残留争いに巻き込まれました。またミシャに至っては広島2年目(2007年)に降格する憂き目に合っています。このように後に成功した監督であっても、最初から上手く行った訳ではなく、様々な理由で就任当初は成績は振るわなかった例はいくらでもあります。従って、監督就任初年度の成績だけを見て続投の可否を決めるのはあまりにも稚拙という意見もあろうかと思います。

・数多の選手達が「監督に付いてゆこう」という思わせる何かを監督が持っているとか、ここを補強すれば劇的に成績が改善し得るとか、そんな先々期待できる材料があるならば、初年度の成績が振るわなかったとしても監督を続投するのは問題ないと思います(翌年度そんな「材料」は幻だったと判明する例も少なくありませんが)。

・ところが、今シーズンの大槻監督にそんな「材料」があったのでしょうか? 大槻監督のリーグ戦21試合にそんなものはあったとは私には全く思えません。以下4点にわたって大槻監督の救いの無さを検証してゆきます。「ふんわり」とした話の連続になりますがご容赦願います。また「野球ではないので攻守を分けて話すのは本来意味がない」というもっともなツッコミもこの場では大人げないかと。

a)全く守れない ー 引くとまるでだめ、前ハメにこだわるもカラ回り

・リーグ戦総失点50。うち大槻監督就任後の失点は33(1試合平均約1.57)。毎試合当然のように失点を重ね、無失点はなんと第18節仙台戦のみ!守備陣の陣容を考えれば信じ難いザルっぷり。しかも常に前がかりな攻撃的スタイルではないのにザルだという、これだけでも大槻監督の更迭には十分すぎる材料だと思います。

・大槻監督は就任早々基本フォーメーションを3-4-2-1に変更しました(これは前年の暫定監督時も同じ)。「選手がミシャの下で長年慣れ親しんでいる」のがその理由のようですが、ミシャ自身が試行錯誤を重ねたために浦和の守備は年によって出来不出来が激しく、フォーメーションを形ばかりミシャ式に戻したところで直ちに守備が安定するわけでもなんでもないのは当然でしょう。

・ましてや長かったミシャ時代ももはや2年前の話。このフォーメーションのもとでいかに守るかは大槻監督の仕込み如何だったと思います。ところがピッチ上の様子を見る限り、大槻監督が仕込んだ形跡は特に見受けられませんでした。

・もっとも残念だったのは「5-4-1の守備ブロックを敷いて相手にボールを持たせる」ような守備が全く出来なかったこと。第23節神戸戦の惨敗がその象徴事例で、主導的にボールを持ち、ボールを動かしてくるような相手には概して目も当てられない惨状に陥りました。横浜M・札幌・川崎・名古屋・大分と、悪く言えば「ケツが軽い」チームにはカウンターが有効なはずですが、自陣で良い形でボールが奪えないのでカウンターも繰り出せない。この手のチームに一勝も出来なかったのは道理です。

・引くとまるでダメなので、大槻監督も興梠を筆頭に一部の選手達も「前からハメに行く」ことに重きを置き出しましたが、これがハマったり、ハマらなかったり。端的に言えば相手のフォーメーションなり、ボールの動かし方なりを見て、こちらの追い込み方を予め仕込んでいる風には見えず、ただただ前線の選手達の頑張りに依拠しているようにしか見えませんでした。

・しかもその「頑張り」の最たるものだった武藤が第29節大分戦で故障&長期離脱してしまうと、もはや浦和に守る術は無いも同然に。ファブリシオは頑張ってくれないし、マルティノスの頑張りは明後日の方向を向いている。大分戦以降一つも勝ってないのは偶然ではありません。

・従って「前ハメ」はリトリートよりはマシとは言え、練度が低いというか無いも同然なことに変わりないので、パス回しの上手いチームには浦和の網目の破れているところを探し当てられた挙句、前ハメの過程でスカスカになった浦和の中盤を蹂躙される羽目に。

・うーん、これでは毎試合のように失点を重ねているのは当然ですなぁ・・・
  
b)興梠&両WB頼みの少ない攻め手

・リーグ戦総得点34。うち大槻監督就任後の得点は24。セットプレーとかなんだかよく判らないPKとかで1点ぽこっと取って勝ち点を拾うという「糞サッカー」を全面展開したオリヴェイラよりはマシとはいえ、大槻監督就任後も浦和の得点力の低さに変わりはありませんでした。

・なにせ総得点34のうち12点が興梠。その次に点を取った長澤はなんと3点でしかないという、あんまりな得点源の偏在ぶりには頭が痛くなります。これだけフィニッシャーが偏っていれば相手CBも対応は容易でしょうに、その監視の目を掻い潜ってなおもゴールを決め続けた興梠には頭が上がります。

・当然ながら興梠ががっちりマークされたり、興梠自身が不調だったり、そもそも興梠までボールを運ぶ手立てが失われたりすると浦和に点が入る気は全くしなくなりました。そして大槻監督下でもっとも顕著だったのは「興梠までボールを運ぶ手立てが失われたりする」というビルドアップの問題だったように思います。フィニッシャーの能力不足で点が取れないのではなく、そもそもシュート数が少ない。CKすら取れていない。そういう問題です。

・第33節FC東京の前半が極端な例でしたが、相手が前から強いプレッシャーをかけてくる相手に対して浦和は細かくボールを繋げなくなってしまいました。ここがミシャ時代と比べて著しく劣化した点で、これでは形ばかりミシャ式に戻したところでその内実はもはや全然別物と断じざるを得ないでしょう。

・ビルドアップ能力がガタ落ちの浦和は岩波やマウリシオから高い位置にいるWBへ大きく展開し、サイドから興梠へクロスというシンプルな攻撃に頼る場面が目立つようになりました。Jリーグレベルなら橋岡の高さが活きて、ボールをはたいたところからの展開が望めましたし、復帰当初は関根のドリブルにもキレがあったので、両WBを酷使する浦和の攻撃にもそれなりに可能性はありました。しかし興梠も両WBもACLと併行して酷使に酷使を重ねた結果、終盤浦和の攻撃は完全に行き詰まってしまいました。

・またミシャ時代なら「外がダメなら中央突破、中央突破がダメなら外」と相手を惑わせる攻撃オプションがあったからこそWBも活き、両シャドーもボコボコ点が取れたのに、今や外しかないなら相手も対策を立てるのは楽でしょう。

・非常に不思議だったのは大槻監督がボールを持てている状況をもって「良し」と判断していたこと。前述のように相手にボールを回されてしまうと大惨事に陥るのが常なので、積極的にボールを奪いに行き、ボールをこちらが支配できたことをもって「良し」と判断したのかもしれません。しかし、残念ながら浦和がボールを持ったところで相手の守備陣を崩す手立てを持っているわけではなく、往々にして攻めきれずにカウンターを浴びる羽目に。これは最終節G大阪戦で頻出した地獄絵でした。

・オリヴェイラが頻りに強調していたセットプレーも不発。直接FKが決まったのは最終節の柏木の一発のみ。もっともこれは柏木がほぼ丸1年使い物にならず、山中もスタメン定着には程遠い出来だったので、プレースキッカーの人材難が主因かもしれませんが。

※ c)乏しい引き出し & d)分析結果を選手たちに落とし込めない は次稿へ

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