【DAZN観戦記】20年第4節:浦和 1-0 鹿島 ~ 超塩試合でも「勝てばよかろう」なのだ!
《スタメン》
・中3日での3連戦の最終戦。浦和は前節から杉本→興梠、ファブリシオ→長澤、柴戸→青木、柏木→エヴェルトンとスタメンを4名入れ替え。エヴェルトンはこれが今季初出場。一方サブは宇賀神→岩武の入替が目立つくらいで、スタメン&サブトータルで見るとこの3連戦であまり大きな変化はなく、槙野・鈴木・阿部といった主力級はこの3連戦で一度もベンチ入り出来ず、武藤の出場機会も僅かでした。この件については「総評」で振り返ります。
・鹿島は前節からエヴェラウド→伊藤、レオシルバ→永木とスタメンを2名入れ替え。サブに今季出番の少ない白崎、杉岡、上田が入ったのが目を惹いた一方、エヴェラウドは哀れにもとうとうベンチ外。
---レオ--興梠---
汰木--------長澤
---エヴェ--青木---
山中-岩波--デン-橋岡
-----西川-----
(得点)
52分 エヴェルトン
(交代)
57分 汰木→関根
57分 興梠→杉本
73分 エヴェルトン→柴戸
88分 レオナルド→マルティノス
---伊藤--アラーノ---
和泉--------染野
---三竿--永木---
永戸-町田--犬飼-広瀬
-----クォンスンテ----
(交代)
57分 染野→白崎
67分 永木→遠藤
67分 伊藤→上田
80分 和泉→荒木
80分 永戸→杉岡
《試合展開》
・なにせ双方ともシュートたった4本という見せ場の少ない超塩試合だったので、試合展開を振り返るのも正直あまり気が進まないのですが、一応ボケ防止を兼ねて備忘録を残しておきます。
・4-4-2同士の闘いでマッチアップしやすいこともあってか、前半は双方ともSHまではボールが入るがFWまでなかなか渡らず、決定機どころかシュートらしいシュートもほとんどない塩試合でした。ボール支配率もほぼイーブン。出来が悪いもの同士の試合という感じと言い換えてもいいでしょう。
・浦和らしい攻撃が見られたのは、12分長澤スローインから興梠経由でスーペスのある左サイドで待つ汰木へ展開して、汰木クロスのこぼれ玉をエヴェルトンシュートで終えた場面と、17分右サイドの橋岡→青木から斜めの楔のパスが最前線の興梠へ→興梠が溜めて後方から山中ミドルくらいでしょうか。あと、38分長澤との壁パスで永戸の裏に抜け出した橋岡のクロスは高精度でしたが、その先のレオナルドがわずかにオフサイド。
・このように浦和は敵味方が密集する右サイドから空いている左サイドへ振って攻める形が何度か見られたものの、共に3連闘でお疲れなのか汰木も山中もキレがなくて決定機に至りませんでした。またCKや好位置でのFKを何度か得ましたが、山中の速いボールはなぜか悉く相手のニアの選手にぶち当たってしまい、決定機どころか相手のカウンターを浴びかかる始末。
・守っては序盤橋岡が対面の左SH和泉に苦戦。10分CB町田から染野へ楔のパス→簡単に叩いて和泉が橋岡の裏を取ってボックス内に突入する場面があり、15分には橋岡が前に出て和泉を潰しに行ったところであっさり交わされ、その尻ぬぐいでエヴェルトンがイエローを貰う場面も。ただ左SB永戸へのケアも兼ねて長澤が必死に右サイドを防戦しているので大過はありませんでした。
・鹿島は途中から染野がFWへ、アラーノが右SHへとポジションを入れ替えたようですが、戦況は良くも悪くも変化なし。
・試合が動いたのは52分、山中FKをファーで岩波が折り返し、中でエヴェルトンが詰めて浦和先制。この試合山中が蹴ったFKで初めて可能性を感じたボールがいきなり先制点の契機に!! もっともこの場面はワンバウンドしたファーで巧く折り返した岩波をより褒めるべきかもしれません。浦和のセットプレーでの得点はこれが今季初。
・またそのFKのもとになった場面、岩波からのロングフィードを受けて汰木が対面の右SB広瀬をぶち抜いてファウルを得た場面も浦和の得意な形が出たもので、今日の数少ない「良かった探し」に入れてもいいでしょう。
・その直後に浦和は汰木→関根、興梠→杉本と当初予定通り交代を繰り出し、鹿島も染野に代えて白崎を投入。さらに67分に鹿島が永木→遠藤、伊藤→上田と代え、上田1トップ、遠藤右SH、三竿アンカーの4-1-4-1へシフトした辺りから鹿島が一方的に浦和を押し込む展開に。
・両SBなり遠藤なりからバンバンクロスを放り込む形は作りましたが、悲しいことにこれがほとんど決定機に結びつかない。最も可能性があったのは76分広瀬クロス→上田ヘッドですが、一応デン&橋岡で挟んでフリーで撃たせてはいないせいかわずかに枠外。まぁ上田は「点を取ること以外はパーフェクト」と評された柳沢の下位互換機なんで(苦笑)。
・というか、鹿島はボールを支配し、クロスを入れまくっても攻撃が実に単調で、守っている側は読みやすかったかも。昨年までのようなボールを回しながらのねちっこい攻め、緩急を付けながら、両サイドに振り回しながら、相手に隙が出来たところでズバッと刺しに来る。そんな場面は全くありませんでした。
・一方、浦和の現状は「相手にボールを持たれたほうが持ち味が出やすい」のは確かなので、横浜M戦で再三見せたように手数をかけないロングカウンターで追加点が取れれば文句なかったのですが、途中投入の杉本は3連闘でヘロヘロなのか下がってボールをキープすることもままらず、関根に至ってはキレがないのに妙に持ちすぎて相手に囲まれるの繰り返しで、全くロングカウンターは形にならず。押し込んだ状態から77分山中→関根→ボックス深く侵入した山中の折り返しがレオナルドに渡る好機があるも、レオナルドはシュートを撃ち切れず。
・鹿島は80分永戸に代えて杉岡投入という勝負手を放ってきましたが、既に永戸対策で長澤が消耗しきっていたことを案じてか、大槻監督は88分なんとレオナルドに代えてマルティノスを投入し、マルティノスをそのままFWではなく、なんと4-5-1に布陣を変えた上で右SHに配する奇策を敢行。杉岡を見ているマルティノスがそのまま杉岡に付いて最終ラインに入ることもありましたが大過はなく、どちらかと言えば敵陣でのボールキープ役として働きながらそのまま試合終了。
・ザーゴ監督は最後CB町田を上げてパワープレーを試みましたが、そこまでボールが渡らないという滑稽さ。ザーゴは負けた時の言い訳が下手なようで、シュートたった4本なのに「後半はほぼわれわれがプレーしていました。ワンサイドゲームの形になっていたと思います。」って(笑)
《総評》
・悪い意味で「勝ち点差ほどチームの出来に差があるようには見えない」低調な試合でした。まぁシュートたった4本、しかも枠内ゼロに終わった鹿島のリーグ戦4連敗は妥当と思った一方、同じくシュート4本(枠内1)の浦和がなんで勝ち点を10も稼いでいるのかさっぱり判らない(しかも鹿島以上にやりたいことを表現できていなかった)という、低レベルで拮抗していた試合だったと思います。
・もっとも「蒸し暑い中での中3日での3連戦なので、内容を求めるのは無理がある」という意見もあろうかと思います。しかし、鹿島戦の低調な内容は「途中投入を含めると3試合とも出ている選手がやたら多かった」ことが多分に影響したでしょうし、半ばベンチワークが招いた低調な試合だったと言い換えても良いでしょう。
・大槻監督も試合後いみじくも「一番に思っているのが、この3試合に出場した選手だけではうまく乗り切れない、ということです。」と語っており、この3試合で途中交代を含めて3連闘を強いた選手が多すぎたことを認めているようです。GKと両CBはコロコロ代えづらいと思いますが、両SBや柴戸、汰木、興梠、杉本の3連闘はかなり無理があり、交代要員にSBは宇賀神、SHは荻原や武田、CHは阿部、FWは武藤を巧く使えなかったのが残念です。
・難儀なのがCB。3バックから4バックに転換したのでもともとCBは余り気味だったのに、なぜか春に補強したデンがCBとして当たりだったので、昨年のレギュラー格だった槙野や鈴木はベンチにすら入れなくなってしまいました。怪我持ちでもなければCBのローテーションなんて、相手FWによほど特徴がある場合でもなければなかなかやらないでしょうから両者の去就が気になります。
・不思議なのは昨年終盤スタメンを外れることが多かったマウリシオがベンチ槙野や鈴木を差し置いてベンチには入っていること。この辺は岩波やデン同様、マウリシオのフィード能力を大槻監督が評価しているのかもしれません。
・また非常に穿った見方をすれば、槙野・阿部・武藤・宇賀神といったベテラン選手は昨年の森脇同様、別にコンディションが悪いわけでもなんでもないのに出番が激減するコースに入ってしまったのかもしれません。中長期的には致し方ない話ですが、ベテランを外したままで超過密日程をこなすのは甚だ難しいのではないかと。
《選手評等》
・勝ったとはいえ内容ははなはだ低調な試合で、傑出した選手も見出し難かっただけに個人的なMOMを選ぶのは難しいのですが、強いて言えば両チーム唯一の点を取ったエヴェルトンではなく、その元になった山中かな。69分にも高速FKがわずかにレオナルドに合わないという見せ場を作りましたし。
・エヴェルトンは特に出来が良かったわけではありませんが、柏木と交互に出てくる可能性は示せたと思います。もっとも今の浦和の攻撃は汰木&山中のセットに多くを求めすぎていて、CHの展開なり(=柏木)推進なり(=エヴェルトン)にあまり重きを置かない嫌いがありますが・・・
※写真は試合とは全く関係がありません。
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