【DAZN観戦記】20年第7節:横浜FC 0-2 浦和 ~ 何はともあれ13年ぶりの雪辱
《スタメン》
・浦和は岩波→槙野、マウリシオ→鈴木、柴戸→青木、ファブリシオ→柏木、武藤→興梠と計5名入れ替え。CBデンの故障が案外重かったのか、あるいは無理使いを避けたのかは判りませんが、CBを2枚とも替えただけでなく、このところベンチ入りすらなかった槙野&鈴木のコンビに代えたのは驚きました。
・ベンチには荻原が久しぶりに入ったのが目を惹いたくらい。長澤・汰木・岩波は完全休養。途中投入で重宝されていたマルティノスはFC東京戦で良いところがなかったためか、途中投入要員としては伊藤と入れ替えられたのかも。
・横浜Cは田代→袴田、松浦→中村と2枚入れ替えのみ。中村俊輔のスタメン起用は超サプライズでした。
《試合展開》
・浦和は中盤のサイドアタッカータイプが関根しかおらず、横浜Cは袴田が本職左SBなので、共にフォーメーションを弄ってくるとの観測が試合前には流れまくりましたが、蓋を開けてみればなんのことはない、浦和は柏木が右SHへ入っての4-4-2、横浜Cは3-3-2-2ないし3-1-4-2のいつものフォーメーションでした。
・横浜Cはともかく、浦和は基本形の運用ですら覚束ない有り様ですから、準備期間がほとんど取れない過密日程で奇策を採ることはまずない、採りたくても採れないと思います。
・最後尾から細かくボールを繋ぎ、ボールを持ちたがる横浜Cに対し、浦和は4-4-2、ないし4-4-1-1の守備ブロックでリトリート主体に闘い、カウンターを狙うかも?と思ったのですが、前半の浦和は意外にも柏戦に続いて積極的にボールを前から奪いにいきました。
・ただ何度か高い位置でのボール奪取に成功したにも関わらず、柏戦と違ってそこから決定機どころかフィニッシュに持ち込めなかったのが痛恨事。9分関根がマギーニョから高い位置でボールを奪取しての好機に、レオナルド→興梠→青木とボックス内に入りながらシュートが撃てず、あろうことか青木の横パスは誰に合わずにカウンターの基点になってしまったのには参りました。
・高い位置でのボール奪取からの決定機は結局29分レオナルドが小林の縦パスをセンターライン付近でカットしてのロングシュートだけかも(苦笑)。しかし、浦和の前プレをあっさり交わされて守備で後手後手に回る羽目になる場面にそんなに多くはなく、前プレ自体がまるでダメだった印象は受けませんでした。
・20分西川ゴールキックからレオナルド→興梠→柏木シュートで終わった縦に速いシンプルな攻撃で枠内シュートまでいった場面は「良かった探し」に入れてもいいかも。
・また前半ほぼイーブンというスタッツ以上に浦和が横浜Cの5-3-2の守備ブロックを前にボールを持たされている印象を強く受けました。
・下平監督が試合後「比較的、前からプレスを掛けたときに簡単に蹴ってくる、それをいとわないチームなので、あまり前から行っても損するだけなので、逆に蹴ったボールを回収できればというプランだった」と語っている通り、横浜Cのプレッシャーはきつくない反面、スペースもないので、ボールを持たされると往々にして攻め手がなくなる浦和には難儀でした。
・それでも37分柏木の横パスを受けた山中が枠内ミドル、さらにそのこぼれ玉を拾っての2次攻撃でレオナルドがシュート(小林を直撃)と好機を作り、44分には青木の縦パスから興梠とのパス交換を経てレオナルドに決定機(シュートはブロックされる)とこれまたまるでダメだったわけでもありません。
・横浜Cは主にストロングポイントである左サイドを使ってカウンター主体に反撃。9分のカウンターの場面では、こぼれ玉を拾った松尾がエヴェルトンを振り切ってドリブル突進→中村→斉藤シュート(槙野がプロック)。13分には斉藤が左サイドから単騎カットインからシュート(枠外)。24分には最終ラインから縦パス一本で浦和の前プレを全部無効化して斉藤→手塚に決定機(シュートはサイドネット)。
・35分にはしっかりボールを動かして左サイドからファーへクロスを入れる「浦和殺し」の形がついに実現。山中がクリアし損ねたこぼれ玉からマギーニョに2度決定機。さらに41分にも左サイドからファーのマギーニョヘッドの決定機(西川正面)。
・共にそれなりに好機がありましたが監督が「戦前仕込んでいたであろう形をより実現できていた」という意味では横浜Cにやや分がある感じで前半終了。
・横浜Cは後半頭から中村に代えて松浦を投入するも、51分自陣深い位置でのエヴェルトンボールロストでヒヤリとしたくらいで、良くも悪くも戦局に変化なし。そしてついにゲームが動いたのがその直後の52分。
・西川のロングフィード→興梠ポスト→レオナルドとのパス交換でセンターサークル付近へ進出した柏木→関根スルーパス→ボックス内からレオナルドが決めて浦和先制! この場面、不可思議なくらいぽっかり空いた横浜Cのバイタルエリアに巧く走りこんだ関根もさることながら、2人に挟まれそうになりながら関根にきっちりパスを出した柏木もお見事。柏木を右SHに起用するとどうしても右サイドの守備強度が下がってしまいますが、これだけで柏木スタメン起用の価値があったというもの。
・その後の浦和は61分腰を強打した(?)興梠に代えて杉本を投入。76分には柏木に代えて武藤を投入して早くも守備固めの様相。先制後も4-4-2でのリトリート主体に切り替えたわけではなく、プレッシャーをかけに行く位置こそ徐々に下がってきたもののプレッシングを継続し、リトリートと上手く使い分け。
・また攻めても66分橋岡縦ポン→レオナルド→杉本→レオナルド(枠外)、77分には山中縦ポン→杉本シュートはバーを直撃と、深い位置から超シンプルな形で決定機を作っており、この辺は狙い通り
・横浜Cは早めの三枚替えを敢行し、途中から左WBに入った武田を中心に左サイドからのクロス攻撃の形も何度も作りましたが、クロス精度が低くてほとんど誰にも合わず。70分のカウンターの好機では途中投入の草野のシュートは宇宙開発など、好機にシュート精度が低くて西川を脅かすには至らず。
・AT直前に大槻監督は柴戸&伊藤を投入し、しかも特に破綻する気配もない4-4-2をわざわざ5-3-2に変えて安全策を採ったつもりなのでしょうが、これが選手間にかえって混乱をもたらしたのか、後ろにやたら人はいるのにマークがずれまくっているという情けない状態に陥ってしまい、92分浦和左サイドから簡単にボールを繋がれて武田に際どいシュートを撃たれる大失態。シュートはわずかに枠を逸れて事なきを得ましたが、これが決まっていれば「伝説のクソ采配」に挙げられていたことは間違いないかと。
・しかし、守りに入ったはずなのに、AT+3分に杉本が相手の緩いバックパスをカットしたところからやたら人数をかけた攻めに転じ、最後は柴戸クロス→エヴェルトンヘッドとなぜかボランチ2枚がボックス内に突入するというとんでもない形で追加点。いやはや意図と結果がこれほど乖離するとは(苦笑)
《総評》
・蒸し暑い中環境での中3日の3連戦の最後ということもあってか、双方ミスが目立つ試合でしたが、横浜Cがメンバー固定気味なのに対し、浦和は5人ずつ入れ替えながら連戦をこなしたのが奏功してか、球際の争いは概して浦和優勢。シュート精度の差も手伝って、その辺が結果に表れたような気がします。
・ただ「試合展開」でも記したように、「戦前仕込んでいたであろう形をより実現できていた」という観点からはやはり横浜Cに分があった印象は拭えませんでした。横浜Cは予定した通りの攻撃パターンは何度も出来たが、精度だけが足りなかった。それがJ2とJ1の差といってしまえばそれまでですが。
・一方浦和は前プレがそんなに機能していたとは思えなかった反面、シンプルな縦に速い攻めは何度も繰り出せていたので、楽観はできないが悲観するほどでもないといったところでしょうか。
・浦和はFC東京戦、柏戦と複数失点を喫したばかりなので、この試合での完封勝ちは悪くはないのですが、前半と言い、最後の大失態といい、相手のシュート精度の低さに助けられただけのような気がしないでもなく、手放しで喜ぶほどでもないかと。ただ槙野&鈴木のコンビは守るだけなら特段大きな問題はなく、今後はCBも適宜ローテーションすることになりそう。
《選手評等》
・個人的なMOMは先制点を挙げたのみならず、決定機に絡みまくったレオナルド。一方、途中で負傷退場を余儀なくされた興梠は負傷もさることながら終始アシスト役に回っていて自らシュートを撃てないのが気になりました。9分の好機なんて好調時なら巧くシュートコースを作って自分で撃ったような気がします。
・2試合続けて失態を犯した西川でしたが、この試合は横浜Cの枠内シュートが少ないこともあって大過はなく、逆にロングフィードがそのまま決定機に繋がるという西川の良い面も出て若干汚名返上。
・大槻監督の教え子対決という意味で注目された橋岡vs松尾の同サイドでの対決(浦和ユースで松尾が2つ上)は、好機を演出できた回数で数えれば松尾が優勢。というか、使い詰めの橋岡は明らかにヘロヘロで決定的に破綻しなかっただけで良しとするしかなさげ。なおアンカー佐藤も浦和JY→浦和ユース出身ですが、こちらはそのキャリアが古すぎて(宇賀神の一つ下)ほとんど触れられませんでした。
・3連戦×2の6試合で全く、あるいはほとんど出番がなかった阿部・宇賀神・萩原・岩武・武田・武富といった面々はルヴァン杯で出番があるかどうかという立場なのかなぁ?
---レオナルド-興梠---
関根--------柏木
---青木--エヴェルトン--
山中-槙野--鈴木-橋岡
-----西川-----
(得点)
52分 レオナルド
90+3分 エヴェルトン
(交代)
61分 興梠→杉本
76分 柏木→武藤
87分 関根→柴戸
87分 レオナルド→伊藤
--斉藤光---一美--
--手塚----中村--
松尾---佐藤--マギーニョ
-袴田--小林---星-
-----南------
(交代)
HT 中村→松浦
68分 星→田代
68分 マギーニョ→武田(武田が左WB、松尾が右WBへ)
68分 一美→草野
83分 手塚→皆川
※写真は試合とは全く関係がありません。
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