【DAZN観戦記】20年第9節:名古屋 6-2 浦和 ~ 海は死にますか、山は死にますか、浦和はどうですか
・今年の残り試合はもう全て消化試合。そう思えて仕方がない、衝撃的な惨敗でした。
《スタメン》
・共にルヴァン杯から中2日。浦和は武藤→杉本、関根→汰木、長澤→武富、エヴェルトン→青木、宇賀神→山中、岩波→鈴木、マウリシオ→デン、岩武→橋岡、福島→西川とスタメン9人入れ替え。連闘はレオナルドと柴戸のみ。武富は今季初スタメン。
・リーグ戦前節清水戦との比較だと関根→武富、エヴェルトン→青木、槙野→鈴木と3名入れ替えで、大槻監督はこの3連戦をセットにして順次入れ替えたことが伺えます。
・名古屋は山崎→金崎、相馬→前田、青木→シャビエル、秋山→稲垣、太田→成瀬、藤井→中谷とスタメン6人入れ替え。マテウス、シミッチ、吉田、丸山、ランゲラックが連闘。リーグ戦前節との比較だと相馬→シャビエルの入れ替えのみ。
・金崎・前田・シャビエルはコンディション不良で出られるかどうか直前まで判らないとフィッカデンティ監督は語っていましたが、蓋を開けてみれば3人共スタメン出場。というか、終わってみれば3人ともどこがコンディション不良なのかさっぱりわからないスーペルな出来でした・・・アジジかよ・・・・
・なお名古屋は米本と阿部が故障離脱中。
《試合展開》
・ゲームの入りは悪くなく、基本4-2-3-1(守備時4-4-2)の名古屋に対してルヴァン杯C大阪戦同様前からのプレッシャーが効いて高い位置でボール奪取に成功。また西川のロングフィードで名古屋の中盤をすっ飛ばしてのシンプルな攻めも見受けられましたが、そこからフィニッシュに持ってゆけないところもC大阪戦と変わりありませんでした。
・そして9分名古屋の最初の決定機。ペナ角に侵入した金崎のラストパスを鈴木と山中の間で受けた前田がシュート。いったん西川が弾いたものの、再度前田が詰めてゴール! ずっとボールを見ているのか、目の前にいる前田を全く掴まえられない山中も酷いものですが、それ以前に後方から上がってくる左SB吉田をなぜか傍観している武富には参りました。これでは橋岡もどうにもならず。そしてこの吉田&シャビエルによる浦和右サイドの崩しはその後何度も出てきます。
・失点のショックから立ち直る暇もなく、続く10分吉田への武富のプレッシャーが無いも同然で、吉田が楽々縦パス。マテウス&金崎のコンビでいとも簡単に橋岡の裏を取り、マテウスの低いクロスを前田が詰めて2点目。ここでも絞り遅れる山中・・・
・17分には武富の軽すぎる対応もあって吉田とのコンビネーションで簡単にボックス内に侵入したマテウスがシャビエルとの壁パス&フィニッシュ。そこで得たCKから18分名古屋3点目。
・ショートコーナーからシャビエルのクロスをを中でシミッチに合わされて3失点目。シミッチの周りにはデンや鈴木を始め3、4人いるように見受けられますが、誰も競った形にはなっておらず、シミッチは楽々ヘッド。典型的な浦和のCKでのやられ方を久しぶりに見た思い。
・これで浦和はしっかりセットされた名古屋の4-4-2の守備ブロックを崩すというただでさえ苦手な作業に取り組まざるを得なくなり、32分青木縦パス→レオナルドの決定機を作ったくらいで概して攻めきれず。
・38分武富の緩い横パスをカットされたところからロングカウンターを食らい、縦パスを受けたシャビエルがくるりと鈴木を交わした時点で勝負あり。ラストパスをどフリーの前田が決めて4点目。前田はハットトリック。
・そして44分山中のミドルがポストを叩いた跳ね返りからカウンターを食らうというコント(2015年CS準決勝第2戦の藤春ゴールを思い起こさせる)みたいな展開でシャビエルが5点目。この場面名古屋のカウンターが鋭かった訳でもなんでもなく、苦し紛れの丸山のクリアに反応した金崎、そし金崎からのヘディングでボールを受けたシャビエルへの鈴木の対応があんまりすぎました。
・余りにも不甲斐ない前半の内容を受けて、大槻監督は後半頭から汰木→関根。武富→武藤、鈴木→槙野の3枚替え。しかし、チームの動揺は収まっていないのか、青木→武藤の自陣での横パスをロストしたところからショートカウンターによる波状攻撃を食らってしまいました(金崎のシュートがわずかに枠外)。
・48分武藤の低いクロスをボックス内でSB成瀬を抑え込みながら巧く反転したレオナルドがなんとか1点返すものの、その直後の50分中央突破を試みて攻めきれずに杉本がボールロスト。ボールを奪った吉田に橋岡が再奪回を試みるも及ばず、吉田縦パス→シャビエルサイドを持ち上がる→金崎→前田がフィニッシュ。もう山中が前田を全く見てないのはお約束。前田はこの日4点目。
・浦和はなんとか反撃を試みるも敵陣でパスが繋がらずにカウンターを浴び続ける大惨事。特にマテウスがどうにも止められない印象を強く受けました。一方浦和息の根を完全に止めた名古屋はシミッチ→秋山、前田→相馬、シャビエル→太田とお疲れの選手を順次代えて余裕の逃げ切り態勢。太田投入後は太田左WB、成瀬右WBの3-4-2-1に布陣を変えたかな?
・浦和は76分山中ロングフィード→関根クロス→レオナルドと、超遅まきながら理想的な形で2点目を取ったものの、文字通り焼け石に水でした。家本主審もそんな浦和に哀れを覚えたのか、関根がボールを外へ蹴りだしてもお咎めなし。
《総評》
・あまりにも酷い試合でした。一昨年、昨年と豊田スタジアムでの試合はジョーに、そしてマテウスにボコボコにやられる酷い試合が続いていましたが、それらを遥かに上回る酷い試合を繰り広げるとは!! 浦和の負の歴史をまたしても一つ積み重ねてしまいました。対名古屋の酷い試合といえば1999年瑞穂で記録した1-8(坊主頭になった呂比須が5得点)を思い出しますが、この年の浦和はあえなく降格しています。
・ビジターがいたらたぶんハーフタイムにダンマクを撤収しただろうと思われるくらいの酷さ。この試合は「観客5000人制限」でビジター席はなく、現地でこの惨状を目撃した赤者が(建前上)いなかったのが不幸中の幸い。不自然な私服で観戦していた方はハーフタイムで家路についたであろうという意味で「おもわず尻が浮く」試合でした。
・今年の浦和は「先制点を取られるとどうにもならない」のはFC東京戦、柏戦で実証済み。しかもいったん崩れると歯止めが効かないところまで柏戦の繰り返し。
・しかも柏戦は先制点を取られるまではむしろ浦和優勢で、浦和が何度かあった決定機をものにして先制点を取っていればスコアは逆になっていたかもしれない可能性があったので「スコアほど悪い試合ではない」と評することも出来ました。ところが、この試合はほとんど決定機を作れずに前半だけで大差をつけられて事実上試合終了という、もうスコア通りのどうにも庇いようがない酷い試合でした。
・敗因は試合後柴戸が語っているように、「チームとして、どこからプレッシャーを掛けて相手をハメていくのかというところがある。」「どこでプレッシャーを掛けてどこでボールを奪うかというところがチームとして統一できていなかったかなと思う。」という点に尽きようかと思います。C大阪戦では出来ていたことが、この試合ではまるで出来なかった。いや立ち上がりは悪くなかったのですが、最初の失点以降ズタボロになってしまった。そういうところでしょうか?
・具体的に言えば、柴戸が語るように「縦にボールが入ったときに相手の金崎選手に収まってしまうことが多かった。」のが致命的。鈴木はもとよりデンも金崎に競り負けることが多かったように見受けられました。
・また後ろから沸いてくる吉田への対応が終始曖昧で、橋岡や青木がまごついているうちにマテウスやシャビエルに浦和右サイドをいいように破られ、最後は山中がずっーーーーと前田を放置しているのが仇に。
・大槻監督は「3点目のところでゲームのコントロールを完全に失ってしまった。」と選手達の気持ちが切れてしまったことに大敗の責任を求めているようです。確かにそんな場面も見えなくもないのですが、当初のゲームプラン通りに試合を運べなかった時の修正力の無さ、セカンドプランの無さ、無為無策ぶりは目に余り、正直これが経験のない監督の限界なのだろうという気がしてなりませんでした。ベテラン選手が多い割には選手達にも修正能力がないのに参りますが。
・また武富・鈴木と普段出番がない選手を思い切ってスタメン起用したのが結果的に完全に裏目に出てしまいました。過密日程なので選手を積極的にローテーションするのは発想としては頷けるのですが、残念ながらスタメン起用できる選手には限りがあったようで。この試合のローテーション大失敗を受けて今後大槻監督の選手起用は随分変わるかもしれません。それが良いほうに転ぶかどうかはさておき。
《選手評等》
・ビハインドの場面で、故障したわけでもないのに前半だけで交代を命ぜられたCB鈴木。どこからどう見ても懲罰的な交代で、それもやむを得ないと思える酷い出来でした。浦和はただでさえCBがダダ余りなので、鈴木は貴重な出場機会で良いところを見せないといけなかったのですが、この惨状では残念ながら怪我人が多発しない限りもう出番はないかも。
・懸命に動いてはいるいのだが全く結果が出ず、好機に天を仰ぐ場面が多くなった杉本。レオナルドへのお膳立ての仕事って出来ることは出来るけれどもメンタル的には向いていないのかも。興梠が復帰するまではレオナルド&武藤を軸にしたほうが良いように思うのですが、どういうわけか大槻監督は今年武藤の評価が低いんだよなぁ・・・
・今季の浦和の攻撃の組立は山中が軸だったはずですが、現状「山中がいたら1点取れるかもしれないが、それ以上に点を取られる可能性が高い」形になっています。でも山中頼みを止めたら今年の大槻監督の取り組みは根底から覆るんだろうなぁ。とはいえ、攻撃時にやたら中へ入ってボランチっぽくふるまうのはともかく、守備意識の低さはなんとかならないのか・・・
・その結果浦和の攻撃は完全にレオナルドの個人技頼み。でもコロナ禍で入場料収入が激減し、巨額の赤字で内部留保が全て吹き飛ぶ恐れがあると伝えらえる浦和はおいおいレオナルドを売らざるを得ないかも・・・
---レオナルド-杉本---
汰木--------武富
---柴戸--青木---
山中-鈴木--デン-橋岡
-----西川-----
(得点)
48分 レオナルド
76分 レオナルド
(交代)
HT 鈴木→槙野
HT 汰木→関根
HT 武富→武藤
60分 青木→長澤
84分 橋岡→岩武
-----金崎-----
マテウス---シャビエル--前田
---シミッチ--稲垣---
吉田-丸山--中谷-成瀬
-----ランゲラック----
(得点)
9分 前田
10分 前田
18分 シミッチ
38分 前田
45分 シャビエル
50分 前田
(交代)
53分 シミッチ→秋山
53分 前田→相馬
69分 シャビエル→太田
82分 金崎→山﨑
82分 マテウス→石田
※写真は試合とは全く関係がありません。
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