【TV観戦記】20年ルヴァン杯GS第2戦:C大阪 1-0 浦和 ~ イソジンよりウガジンが効くぅ!!はずだったのだが・・・
・本来であれば、8月最初のこの試合から観客数が「施設の収容人数の50%まで緩和」され、ビジター席も設けられる予定だったので今季初のアウェー遠征を楽しみにしていたのですが、残念ながら昨今の新型コロナウイルス感染者の拡大状況と政府の見解を受けて、現行の「5000人以下の動員措置」が継続されることになったので、アウェー遠征は立ち消え。この試合どころか、今季のアウェー遠征自体全く目途が立たなくなってしまいました。
・それはともかく、勝てばルヴァン杯グループステージ突破が決まるこの一戦は如何に。
《スタメン》
・リーグ戦前節清水戦から中3日、かつ次節名古屋戦まで中2日と日程が非常に厳しい上、宿泊を伴う遠距離アウェー2連発なので大槻監督もスタメンのみならずベンチ入りメンバーの構成にも悩みに悩んだかと思いますが、結局西川→福島、山中→宇賀神、槙野→岩波、デン→マウリシオ、橋岡→岩武、青木→柴戸、汰木→長澤、杉本→武藤と8名入れ替えて、エヴェルトン、関根、レオナルドの3名が連闘。福島と岩武はこれが今季初出場。
・今季未だ出番がない武田はベンチどまり。今季のルヴァン杯はU-21選手をスタメン出場させる義務がなくなったので、ちょっと割りを食ったかもしれません。
・清水戦でベンチ外だった柏木がこの試合でもベンチ外になったのが個人的には少々意外でした。
・C大阪はヨニッチ→木本、松田→片山、藤田→ミネイロ、清武→柿谷、奥野→メンデスと5名入れ替え。浦和よりはスタメン固定気味のC大阪ですが、コンディション不良でベンチからも外れていたブルーノ・メンデスが戻ってきたのに加え、普段のベンチメンバーが多少スタメン起用されたといったところでしょうか。
《試合展開》
・試合開始早々CB木本が故障して、ヨニッチ投入を余儀なくされるアクシデント発生。
・基本フォーメーションは4-4-2同士。浦和は前からプレッシャーを掛けに行って、C大阪に容易にビルドアップを許さないだけでなく、何度も高い位置からのボール奪取に成功。
・8分には柴戸浮き球縦パスを受けてボックス内に突入したレオナルドに決定機(GKセーブ)。11分には武藤が左に展開→関根のクロスがボックス内のレオナルドに通るものの、C大阪守備陣の粘り強い対応にあってシュートを撃ち切れず。20分相手を押し込んだ状態からアーク付近でレオナルドがミドルシュート。22分ショートカウンターから武藤の折り返しを後方から走りこんで来たエヴェルトンがミドルシュート。
・この試合を通じて浦和は相手に前からプレッシャーをかけ続け、対面の選手をハメにハメて自由を与えませんでした。特に柴戸のボール奪取は圧巻。試合後ロティーナ監督は「大いに苦しんだ試合でした。浦和が良いプレスを掛けてきて、われわれは簡単にボールを失ってしまった。浦和がボールを持ったときは良い動かし方をして、われわれは守備に回りました。」と語っていますが、このボヤキは額面通り受け取っていいと思います。
・C大阪はFC東京のように基本的に「相手にボールを持たせる」ことに持ち味があるわけではありません。「もっとボールを持って、自分たちのプレーができると思っていました。サッカーで一番良いディフェンスはボールを持つことです。」とロティーナ監督が語る通りのスタイルなので、この日のC大阪の出来は相当悪かったと見て良いでしょう。前半のC大阪は文字通り何も出来ずにシュートゼロ。
・しかし、出来が良くないといっても簡単に崩れないのが今のC大阪の強み。C大阪は中盤でボールを失っても帰陣が早く、綺麗な4-4-2の守備ブロックを形成して浦和を迎撃。浦和は両SBの攻撃力に多くを期待できないためか、サイドで良い形を作ってもなかなかフィニッシュに結びつけられず、ミドルシュートを交えながら中央から強引にこじ開けようとする場面が目立ちましたが、そのシュートも相手DFにブロックされてしまう場面が多々。90分を通じて攻めていた割にはシュートが9本止まりなのがその例証。
・ロティーナ監督は後半頭からメンデス→豊川、坂元→西川と2枚替え。後半開始早々にショートカウンターからの波状攻撃の好機は柴戸が派手に宇宙開発事業団。
・ロティーナ監督はビルドアップの立ち位置を変えるなど浦和の前ハメを回避すべく手を打ち、さらに奥埜、清武と早めに選手を投入してみましたが、戦況に大きな変化はなし。ただ浦和は大槻監督が「狙っていたことを表現する回数は多かったと思いますが、それを最終的なところにつなげられなかったのが少し残念でした。」と嘆くように、狙い通りに試合を進めながらも決定機が作れずに手詰まり感が強まって行きました。
・山のようにCKをもらっても山中も柏木も不在で、これといったプレースキッカーがいないせいか、これまた決定機にならず。
・浦和はクソ暑い中で運動量を要求するサッカーを展開している以上、前目の選手を順次代えざるを得ません。57分と早めの時間帯での最初の交代で杉本に代わって下げるのが連闘のレオナルドではなく前節出番がなかった武藤だったのには驚きましたが、「中盤に下がって守備をしながらボールを引き出して前方に繋ぐ」タスクをこなす面で武藤と杉本が互換機扱いなのかも。
・そして勝敗の分け目になったのが76分長澤→武田、レオナルド→伊藤の2枚替え。浦和はこの試合引き分けでもグループステージ勝ち抜けの目がそこそこあるので、見るからにヘロヘロの長澤をそれなり守備ができる選手に代えるのが最善手だったでしょうが、残念ながらそのような手駒はなし。逆に攻撃力を強める意味合いが強い武田を投入しましたが、結果的にこれが仇に。
・高い位置でボールを奪い返し、伊藤&武田を中心に人数をかけて攻めに出たもののシュートを撃てずにボールロスト。デサバトに引っかけられ、エヴェルトンが追いすがるも及ばず、清武→西川→豊川ときっちり繋がれ、豊川がGKのニアをぶち抜いて劣勢だったC大阪が先制。C大阪はこれが最初の決定機かも。
・まさかの失点を喫して大槻監督は青木&荻原を投入するも、ボールを繋いで時間を潰せるC大阪相手に何の効果もなし。ゲームがいたずらにオープンになることはなく、何の紛れもないどころか、終了直前にリール移籍が噂される右SH西川にバー直撃のシュートの見せ場を作られてそのまま試合終了。最後は「娯楽性・興業性には乏しいけれども、攻守ともしっかりデザインされたC大阪の強さ」をまざまざと見せつけられてしまいました。
《総評》
・9割方思い通りの形で進んでいた試合。しかも「最低引き分けでも可」という試合を、「選手を代えれば代えるほど悪くなる」という大槻監督にありがちな形で失ってしまったので、試合後の印象はどうしても悪くなってしまいます。この敗戦をもってしてもなお計算上はグループステージ勝ち抜けの可能性は残っているようですが、そのためには他力本願を重ねに重ねないといけないようで。
・しかしC大阪は1.5軍、浦和は1.7軍くらいの面子で、しかももともとC大阪とは相当地力に差があったことを考えれば、「9割方思い通りの形で進んでいた」ことを最大限高く評価すべき試合なのかもしれません。クソ暑い最中での過密日程で「前プレ」がいつまで続くのかという気もしますが、少なくともメンバーを大きく入れ替えても「前プレ」が機能したのは最大級の「良かった探し」だったかと。
・またこれまでの試合を見ても判るように大槻監督は別に「前プレ」一辺倒ではなく、相手に応じ、かつ局面に応じてリトリート主体と上手く使い分けているように伺えます。よって選手が疲弊しても守備面ではすぐに成す術を失う羽目にはならないような気もします。
・ただ問題は大槻監督も嘆くように、良い形でボールを奪ってもそこからなかなか決定機に結び付けられないこと。フィニッシュへの持って行き方を大槻監督が計画性・組織性をもって巧く仕込めず、何時まで経っても選手個々人のアイデア頼み、即興頼み、阿吽の呼吸頼みになってしまうと選手の身体&頭の疲労と共に手詰まり感が増すばかりじゃないかと。この試合も終わってみれば結局決定機らしい決定機は最初のレオナルドだけだったようなものですし。
・またこの試合については両SBはほぼ守備専業で、なかなか分厚いサイド攻撃を仕掛けられないのにも参りました。特に前半岩武は良いタイミングで右サイド深い位置に進出しながら、そこからのクロスが橋岡初期値並みだった時には膝から崩れ落ちましたが(苦笑)。山中と橋岡の代えがいないことをまざまざと見せつけられたような試合だったといっても良いでしょう。
《戦評》
・惜敗を喫してしまいましたが、ボールハンター柴戸に敢闘賞を上げてもいいでしょう。攻守のバランスを考えればエヴェルトンとのコンビは現状ベストだと思います。
・あと地味に良かったマウリシオ。でも鈴木とベンチ入りを争う立場には変化なしかも。
・武田は残念ながらホロ苦デビュー。ルヴァン杯敗退が決まってしまうと次の出番はなかなか来ないかもしれませんが、右SHで攻撃力のある選手は少ないので再出場の日が来るのを信じてガンバレ!!
---レオナルド-武藤---
関根--------長澤
---エヴェルトン-柴戸---
宇賀神-岩波-マウリシ-岩武
-----福島-----
(交代)
57分 武藤→杉本
76分 レオナルド→伊藤
76分 長澤→武田
85分 エヴェルトン→青木
85分 宇賀神→荻原
---鈴木--メンデス---
柿谷--------坂元
---ミネイロ--デサバト--
丸橋-瀬古--木本-片山
-----ジンヒョン----
(得点)
82分 豊川
(交代)
5分 木本→ヨニッチ(故障による交代)
HT 坂元→西川
HT メンデス→豊川
62分 ミネイロ→奥埜
69分 柿谷→清武
※写真は試合とは全く関係がありません。
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