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2020.08.16

【DAZN観戦記】20年第10節:浦和 1-0 広島 ~ JFKが絶対に受け入れられない闘いがここにある(苦笑)

・肉を切らせて骨も断たれたが、最後までリングに立っていたものが強いのだ!!!(錯乱)

《スタメン》

・久しぶりに週央に試合がなかった浦和はズタボロだった前節名古屋戦から杉本→武藤、武富→関根、青木→エヴェルトン、山中→宇賀神、鈴木→槙野と5人入れ替え。なんと言っても山中がついにスタメンから外れたのが画期的。また控えGKに彩艶が入った他、ベンチに柏木が戻ったのも目を惹きました。一方、前節不振を極めた武富が続けてベンチ入りした反面、長澤がベンチ外になったのは意外でした。

・試合前の記者会見で「ゲーム形式の練習に参加していた」と伝えられた興梠はこの日もベンチ外。マルティノス&ファブリシオも故障中なので前目はやや寂しいまま。

・広島は前節湘南戦と全く同じスタメン。もともとほぼメンバー固定気味なチームなのでこのスタメンは完全に想定内。サブもほぼ不変ながら、故障明けのドウグラス・ヴィエイラが永井に代わってベンチ入り。

・なお広島は本来週央にルヴァン杯鳥栖戦をこなして中2日で浦和戦を迎えるはずでしたが、鳥栖のコロナ禍により試合が中止されるラッキーな一面も。

Hiroshima002

《試合展開》

・埼スタはクラブが用意していたビジュアル=赤・白・黒のビニールシートが全て撤去された上に、前節衝撃の6失点を喫したことへの抗議を意を込めてか、ダンマク類すら一切無し。

・ゲームは試合開始早々に動き、4分のロングカウンター、デン→レオナルドの縦パスを受けてハイネルの裏を取った汰木がそのままボックス内突入。その汰木の足をハイネルが後方から引っかけてしまって飯田主審は迷わずPKを宣告。デン縦パス時にエヴェルトンが受けたファウルにちゃんとアドバンテージを取っている件と合わせて、「いいだのいい笛」でした。5分レオナルドはGK大迫が取りようがない左隅へきっちり決めて浦和先制。

・公式記録によれば、この日は気温33.1度、湿度58%とサッカーをやるには酷すぎる環境。さらに早々と先制したこともあってか、この日の浦和はほとんど前からプレッシャーをかけずに自陣に4-4-2の守備ブロックを敷いて守るリトリート主体の守備を選択。

・また広島最大のストロングポイント=左WB柏には右SH関根が下がって対応し、さらにSB橋岡とCBデンの間も柴戸がなんとか埋めて浦和右サイドの守備はこの試合を通じて戦前予想よりも案外堅固でした。ところが逆にこの試合を通じて崩壊寸前に陥ったのが浦和左サイドの守備。山中を諦めて宇賀神を配したため、SBの裏を豪快に破られる場面は少なかったものの、その前の汰木がどうも終始挙動不審。

・17分川辺→右WBハイネルへ大きく振られた時点で守備ブロックのスライドが遅れ、汰木がハイネルへ詰め切れずにハイネルどフリーでクロス→ペレイラがデンに競り勝ってヘディングシュート!!しかしここは西川が左手一本で辛うじてセーブ。

・21分ハイボールで宇賀神に競り勝った浅野がそのまま宇賀神の裏を取ってドリブル進出→後方から走りこんだ川辺が浦和左サイドを深々と破ってクロス→これはいったん柴戸がカットしたものの、こぼれ玉を拾ったペレイラがバイシクルシュート!! しかしこれも西川が右手一本でセーブ!!

・前半を通じてボールは広島が一方的に支配。先制した浦和は相手にボールを持たせてカウンター狙いでも本来は構わないはずですが、どう見ても「相手にボールを持たせている」のではなく「ボールを回され、走らされている」風にしか見えず。しかもボール奪取の位置が深い上に広島の再奪回の動きが早くて肝心のカウンターを全く繰り出せませんでした。カウンターが形になったのは40分に柏の裏に抜け出した関根のクロスがレオナルドに通った場面だけでしょうか? この日の浦和はとにかく後方からのビルドアップが壊滅的でした。

・ボールを回され、走らされた浦和は4-4-2の守備ブロックスライドでは守りきれないと判断したのか、後半は関根と武藤の位置を一つ下げてはっきりした5-4-1の布陣にシフト。これで浦和のカウンター攻撃は一層困難になり、しかも守備が堅固になったわけでもなく、広島のタコ殴りモードに。

・47分汰木の戻りが遅れたのを契機にぽっかり空いたスペースにカットインしたハイネルからスルーパス→ペレイラのシュートはやや角度が厳しく西川難なくセーブ。51分森島CK→ゾーン守備の隙間に走りこんだハイネルがどフリーでヘッドも西川がセーブ!!

・さらに不可解なことに大槻監督は62分になんとレオナルド&武藤を下げて杉本&武富を投入し、わずかに残っていた反撃の糸口を自ら消す格好に。中3日で迎える次節G大阪戦にも興梠が間に合わないのでレオナルド&武藤を早めに休ませたとしか思えないのですが、試合後の記者会見で誰もこの件を突っ込まないので趣旨は判然とせず。

・ただ武富はともかく、「点を取らなくてもいい。前でボールをキープして守備陣が休み、陣形を整える時間を作ってくれればそれで良い。」という割り切った使い方をされた杉本は悪くなかったと思います。杉本本人がそれをどう思っているのかはともかくとして。

・また早めの杉本投入は理解しうるとしても、浦和右サイドの守備の怪しさの主因となっているヘロヘロの汰木を大槻監督が放置したままなのがなんとも不可思議でした。66分右サイドからの途中投入の右WB茶島のクロスをファーでこれまた途中投入の東のヘッドを食らう大ピンチ(=典型的な浦和殺しパターン)がありましたが、これはわずかに枠の外。うーん、野上&茶島の連携の前に動けない汰木は成す術なし・・・

・74分にようやく汰木を諦めて岩波を投入し、岩波が5-4-1の右CB、宇賀神が左WB、橋岡を右WBに配して5バックに高さを加えて一段と守備を強化。さらに89分には足を攣ってしまった宇賀神に代えて青木を入れ、柴戸を左WBへ。

・広島は57分、64分、74分といずれも浦和の先手を取る形で選手を相次いで代えましたが、なんだかんだと言っても選手交代が効いて決定機を作ったのは先の66分の一回だけ。浦和の警戒網の前に沈黙を余儀なくされた柏はまだしも、ほぼ浦和左サイドを一人で壊滅寸前に追い込んでいたハイネルを早々と下げたのが謎でした。

・時間の経過とともに広島の攻撃は単調さを増し、クロスは悉く浦和DF陣に弾き返され、盛んにミドルシュートを放つものの枠は捉えられず、好位置でのFKも西川を脅かすには至らずと、押しまくっているのに一点が遠いチームが陥りがちな落とし穴に嵌まってそのまま試合終了。

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《総評》

・シュート数3対20。CKゼロ対13。ボール支配率、パス数共々凄まじいスタッツが並んでいますが、結果は1-0。いかにもフットボールらしい結果で、こんなもの城福監督が試合後開口一番「受け入れ難い!!」と言い放つのも至極当然でしょう。だが、これはフットボールの世界ではよくあることなのです。

・冒頭述べたように、この日はサッカーをやるには過酷すぎる気候でした。大槻監督が試合後「難しかった」と何度も口にするのは十分理解できます。両チームの総走行距離は共にたった105km強で、いかに選手達が動けなかったかを如実に物語っています。

・しかも浦和は前節6失点という歴史的大敗を喫したばかり。おまけにルヴァン杯早期敗退まで決まってしまい、この試合を迎える前の一週間でフィジカル面以上にメンタル面の立て直しが難しかったのも理解できます。また大槻監督は大敗した名古屋戦以上に、良い内容なのに負けてしまったC大阪戦の結果に凹んでいるようです。

・闘う前から極めて難しい試合になるのが判り切っている中で、大槻監督がチーム再建の契機とすべくこの試合は内容度外視で「何が何でも勝ちに行く」「目先の勝ちに拘る」のも判らなくはありません。そしてそのタスクを見事完遂した以上、このゲームをポジティブに捉える方も案外多いようです。

・でも、大槻監督に課せられたタスクってそもそも「目先の勝ち点の積み上げ」なのでしょうか? 幸いにも今年は降格がなく、新しい戦術の仕込みや世代交代にはチャレンジしやすい年のはず。その流れを受けてか、清水や鹿島は全く結果が出ていないにも関わらず戦術転換に愚直に取り組んでいるようです。

・また浦和はコロナ禍とは無関係に「3年計画」を掲げてチーム戦術の大転換&世代交代という難しいタスクの両立を図ろうとしていたはず。

・それにも関わらず、この日の浦和はまるで残留争いをしているチームが目先の勝ち点欲しさに汲々とするサッカー、あるいは一発勝負のトーナメントで弱者がやりがちなサッカーを繰り広げているようにしか見えませんでした。

・効果的なカウンターはPK奪取に繋がった1回こっきりで、あとは見るも無残。また後半浦和が見せた5-4-1の布陣なんて関根が試合後「練習してない」と暴露してますし、当然ながら試合中も4-4-2のままだと思っていた選手もいる始末で、勝つには勝ったが監督の意図通りに選手達が動いて得た勝利ではなさそうです。絵に描いたような「勝ちに不思議の勝ちあり」です。

・後ろが重い5-4-1の布陣でカウンター一発、セットプレー一発で目先の勝利を積み上げるって、天皇杯優勝=ACL出場権獲得が至上命題だったオリヴェイラ監督の得意技でしたが、残念ながら根本的治療無しのカンフル剤打ちまくり、モルヒネ打ちまくりの荒業は長続きせずに翌年早々に砕け散りました。

・もちろん大槻監督もこの試合について「暑さもあるのですが少し動けなくなったので、先に1点を取って後ろに重心がかかってしまったので、内容に関しては見ての通りだと思います」「サッカー的な要素で言うと、やっぱりもう少しボールを握ったりとか、そういう要素が全然なかったので、難しかったとは思っています。」「ただあれが1本だけでは寂しいです」と内容がズタボロだったことは自認しており、まさかオリヴェイラ流へ逆戻りするわけはないとは思いますが、大槻監督が何をやろうとしているのか皆目わからず、ついに漂流を始めたのではないかと不安にさせられる試合だったのもまた確か。

・あれほど大槻監督が拘った「攻撃は山中と心中システム」も止めてしまいました。まだまだ厳しい残暑が続きますが、この試合の勝利の評価・意味合いは中3日で続くG大阪戦&神戸戦の内容如何にかかっているように思えて仕方ありません。

《選手評等》

・MOMは文句なしにGK西川。西川のおかげで勝ったどころかなんとか試合になったと言ってもいいくらい。

・また槙野の奮戦も目立ちました。世代交代の観点からは槙野の起用は大槻監督としては出来れば避けたいのかもしれませんが、大人しい選手だらけ、ビハインド時はもちろん苦戦に陥っている時ですらうつむきがち、下を向きがちな選手だらけな中で槙野のような周囲にカツを入れられる、悪く言えばウザい選手がまだまだ貴重なのかも。

Hiroshima003


---レオナルド-武藤---
汰木--------関根
---エヴェルトン--柴戸--
宇賀神-槙野-デン-橋岡
-----西川-----

(得点)
5分 レオナルド

(交代)
63分 レオナルド→杉本
63分 武藤→武富
75分 汰木→岩波(岩波が5-4-1の右CBに入り、宇賀神が左WB、橋岡が右WB)
89分 宇賀神→青木(柴戸が左WB、青木がCHへ)

-----ペレイラ-----
--森島----浅野--
柏--青山--川辺-ハイネル
-佐々木-荒木--野上-
-----大迫-----

(交代)
57分 浅野→東
57分 ハイネル→茶島
64分 柏→藤井
74分 ペレイラ→ヴィエイラ
74分 青山→野津田

※写真は試合とは全く関係がありません。

 

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