【DAZN観戦記】20年第18節:清水 1-2 浦和 ~ 弱い者が夕暮れ、さらに弱い者を叩く・・・
・いかにも下位チーム同士の一戦らしい、低レベルな試合と言われても仕方がない内容でした。えっ、浦和って暫定8位なの???
《スタメン》
・前節から中2日の浦和はデン→橋岡、エヴェルトン→長澤、柏木→武藤、関根→汰木、杉本→興梠とスタメン5人入れ替え。ベンチにGK彩艶が戻った他、宇賀神と武富が久しぶりにベンチ入り。前節ベンチ外だった青木は今節復帰すると予想していましたが、なんと今節もベンチ外で小破したのかもしれません。
・青木不在のため長澤が久しぶりにボランチの一角を占めましたが、相手にボールを握られると予想される試合なので柴戸&長澤のセットは却って良かったのかもしれません。試合後大槻監督も長澤ボランチ起用はスクランブルではなく、ある程度予定されたものだったことを示唆しています。
・清水は前節から中3日。前節出場停止だった六平に代えて立田がスタメンに復帰した他、金子→エウシーニョ、後藤→河井、中村→鈴木とスタメン4人入れ替え。エウシーニョはなんと第9節以来1ヶ月半ぶりのスタメン出場。
《試合内容》
・清水はどういう風の吹き回しか、前々節から従来の4バック(4-2-1-3ないし4-2-3-1)から3バック(3-3-2-2)へ基本フォーメーションを転換。かつこの試合では前節出場停止だった立田を左CB、ヘナト・アウグストを中央に配するという予想外の手を打ってきました。
・ビルドアップでミスを連発して大量失点の傾向がある清水に対して、浦和は果敢に前からシステム上のミスマッチにも関わらず果敢にハメに行きましたが、これが笑ってしまうくらい全くハマらずに、清水にあっさり交わされて試合早々カウンターを食らいかかりました。良い形でボールが奪えないので攻撃も出来ないという最悪に近い立ち上がり。
・橋岡といい、山中といい、強い相手なら致命傷になりかねないミスも散見されましたが、柴戸&長澤の奮戦もあって清水にさしたる決定機を与えないままやり過ごしているうちに、21分武藤CKのこぼれ玉を山中がアーク手前から叩き込んで浦和先制。山中はこれが浦和での初ゴール。豪快なゴールですが偶然でもなんでもなく、神戸戦のデンのゴール同様狙ってやっている感じ。岩波がちゃんと山中のシュートコースを開けている辺りにちょっとした仕込み感。
・浦和は先制したためか前ハメ控え気味になり、リトリート主体の守備に切り替わってゆきましたが、それでも30分清水スローインからなぜかバイタルエリアでフリーになっているドゥドラに枠内シュートを浴びてヒヤリ。また浦和右サイドから竹内に3回フリーでクロスを入れられたのが気になりました。
・また先制したとはいえ浦和の攻撃は依然さっぱり。清水の攻→守の切り替えが早くて浦和は素早い攻めを繰り出せず、清水が5-3-2の守備ブロックを敷き終わってからの遅攻を強いられてどうにもならず。久しぶりスタメンの汰木が全く機能しないのが辛い(何度も監督から「幅を取れ!!」と指示されていましたが、なぜかほぼガン無視)。前半浦和のシュートは結局山中の1本だけ。
・清水は攻→守の切り替えが早いのは良いのですが、ドゥドラもカルリーニョスもラフプレーが多くて難儀。特にカルリーニョスは悪質で、なんで木村主審が繰り返しの反則としてさっさとイエローを出さないのか不可解でした。
・後半に入ると51分西川ロングフィード→橋岡→レオナルド→汰木という浦和らしい超シンプルな攻めで決定機を掴みましたが、橋岡がハイボールを競り合った際に立田と頭同士がぶつかって傷む一幕が。
・さらに55分にはエウシーニョのハイクロスに対して橋岡の後方から明らかに間に合わないタイミングで河井が突っ込んできてまた橋岡が傷み、橋岡はその後頭を包帯でぐるぐる巻きにして出場。河井には当然イエローが出ましたが、清水も激しいプレーと危険なプレーの区別がつかない残念なチームになってしまったようで。
・58分武藤が無理な縦パスを入れたのを契機にカウンターを食らい浦和左サイドから河井クロス→ファーで西澤が決定機を掴むも橋岡が寄せていたこともあってか、ダイレクトボレーを辛うじて西川セーブ。
・皮肉なことにここで得た清水CKから逆に浦和のロングカウンターが炸裂。59分長澤のロングフィードを受けてレオナルドがハーフラインから独走&最前線で粘りに粘って、フォローに入った興梠がゴール。レオナルドのシュートフェイントに引っかかって3回転んでしまうGK大久保には失笑を禁じえませんでしたが、あそこでゴールを欲張らずに冷静に興梠に出したレオナルドには天晴れ! 興梠には絶大な信頼を寄せているからでこそでしょうし、杉本なら出してなかったかも。
・62分に清水はエウシーニョ→成岡(鈴木が右WB、成岡がIHへ)、ドゥトラ→ティーラシン、カルリーニョス→後藤と両FWと右WBを代えて勝負に出た一方、浦和は68分汰木→関根はともかく、武藤に代えてマルティノスを投入するという、およそ勝っているチームとは思えない交代策に打って出ました。
・清水は3選手交代から10分ほど攻勢が続き、特に西澤を軸に左サイドから何度も良い形を作りましたが、どういうわけか清水の攻撃はあまり幅を取らず、西澤からの攻めもなぜか地上戦ないし低いクロスに拘って中央を固める守備陣に跳ね返され、枠内シュートはほとんど撃てませんでした。好機に鈴木のシュートは撃てども撃てども枠外。
・浦和は76分橋岡クロスから興梠の決定機(シュートはヴァウドがゴールマウスをカバーしてクリア)を作った直後に、レオナルド→杉本、興梠→武富と両FWを交代。
・浦和は前節から中2日、清水は中3日とコンディション面では清水有利にも関わらず、浦和のほうが明らかに先に足が止まる訳ではなく、双方運動量が落ちて中盤スカスカ、オープンな展開になってしまうというまるで酷暑下の試合終盤のような展開に。78分マルティノスからのクロスをボックス内で杉本が収めて武富に決定機がありましたが、シュートはGK正面。
・一方清水は一向に幅を取って「浦和殺し」の形を作ろうとせず、むやみに中央突破に拘ってばかりで浦和としては大助かりでしたが、90+1分ついに後藤が左サイドからクロス→ファーでティーラシンという典型的な浦和殺しの形を作ってゴール。
・この場面、最後にティーラシンに前に入られている山中が悪目立ちしてしまいますが、それ以上にSHなのに全然守備に入ろうとせず、プラプラしているマルティノスのほうがはるかに重罪でしょう。誰かがさぼると守備網は連鎖的に破綻しがちなのに、よりによって最もサボリ癖が強い選手を勝っている試合に途中から入れたのが結局仇に。
・お決りの失点パターンで完封勝ちを逃すどころか、6分もあったATで2失点を喫して同点にでも追いつかれようものなら、さぞかし試合後浦和界隈は大荒れになったでしょうが、清水最後のパワープレーも実らずヘナトのシュートは西川の正面を突いてジ・エンド。
《総評》
・シュート数は清水11vs浦和5、CKも清水6vs浦和3と清水が優勢の試合に見えますが、清水のシュートはシュートコースが非常に狭い無理目なシュート(鈴木が連発していたシュートは全部これ)が多くて西川がビビるシュートは案外少なかった印象を受けました。むしろ得点に近いシュートは浦和のほうが多く、スタッツほど清水が優勢な試合ではなかったと思います。
・クラモフスキー監督は試合後「良いパフォーマンスを出せていたし、支配することもできていました。自分たちのやりたいような形でプレーできていたと思います。」と語っていますが、勘違いでなければ単なる負け惜しみでしょう。ボールを持ちたがるチームにありがちなことですが、いかにもケツが軽い、カウンターを食らいやすそうなサッカーで同じような負け方を繰り返しているのに「ゲームを支配していた」(苦笑)。
・浦和はボールこそ相手に60%近く支配されているものの、得意のカウンターで何度か決定機を作り、かつセットプレーでも得点を上げるという典型的な浦和の勝ちパターンでの勝利。しかも相手より日程面での条件が悪い中2日でのアウェーゲームだったことを考えれば褒めて良い試合なのかもしれません。
・ただ清水が浦和の苦手とするワイドな攻撃をあまり仕掛けてこないチームだったという「合口の良さ」が多分に作用しての勝利で、清水とそんなに実力差があったとは思えず。第三者的には「どちらも隙だらけだったにも関わらず、なぜか2-1というロースコアで終わってしまった残念な試合」と評されても仕方ないような気も。
《選手評等》
・MOMの選出は悩みましたが、前ハメが全然ハマらないにも関わらず広範囲を動き回ってなんとか試合を成り立たせ、かつ2点目を演出した長澤かな。超久しぶりにボランチで出場し、ボールを持ちたがる相手に対して柴戸とのセットでボールを刈り取る役、攻撃を寸断する役は十分こなせるだろうと思いましたが、縦パス一本で決定機を演出するとは意外でした。
・あと杉本には敢闘賞を与えたいくらい。武富の決定機では最前線でのボールの収めどころになり、相変わらずフォアチェックは怠らず、なぜか最前線に残りたがるマルティノスに代わってSHの穴を埋め、最後の清水パワープレーに対してボックス内で対空防御。これだけやってたら杉本の得点が少なかろうが責めてはいかんと思います。勝っている試合に途中から投入されたFWとしては理想的すぎるくらいの働き。
・一方マルティノスは何なんだろう? 投入当初はふんだんにあるスペースを活かして気持ちよく泳いで「今日はやる気ノスか!」と思わせましたが、いったん受けに回るともういけません。なぜか前に残りたがって事実上杉本とポジションが入れ替わっている場面もちらほら。そして失点場面での散歩は致命的。なんでこんな不確実性てんこ盛りの選手を大槻監督が勝っている試合に起用しているのか、不思議でなりません。
・久しぶり出場の武富は杉本に感化されたのかフォアチェックを懸命にこなしていましたが、ファーストプレーで相手を削ってしまうとは。一生懸命にやってはいるが杉本ほど効果的ではない辺りがなかなかベンチに入れない所以でしょうか。
・清水は「リモート応援システム」とやらを採用していて、試合展開に関係なく録音された応援歌が延々とスタジアムに響き渡っていましたが、あれってなんか中東での国際試合っぽいんだよなぁ、なんか知らんけど。
--レオナルド--興梠---
汰木--------武藤
---柴戸--長澤---
山中-槙野--岩波-橋岡
-----西川-----
(得点)
21分 山中
59分 興梠
(交代)
68分 汰木→関根
68分 武藤→マルティノス
77分 レオナルド→杉本
77分 興梠→武富
87分 長澤→エヴェルトン
--ドゥトラ---カルリーニョス--
--河井----鈴木--
西澤---竹内--エウシーニョ
-立田--アウグスト-ヴァウド
-----大久保----
(得点)
90+1分 ティーラシン
(交代)
62分 エウシーニョ→成岡(鈴木が右WB、成岡がIHへ)
62分 ドゥトラ→ティーラシン
62分 カルリーニョス→後藤
80分 竹内→六平
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