【DAZN観戦記】20年第29節:浦和 0-1 FC東京 ~ 迷走また迷走。そして大槻体制の崩壊を加速するだけに
・序盤は悪くはなかったのだがミスから失点した後は手も足も出ず。お馴染みの負けパターンでしたが、最後の「アタッカー祭り」でチーム崩壊が一層明るみになったような・・・
《スタメン》
・ACL絡みで前倒し開催された第29節。浦和は前節から中3日でレオナルド→興梠、杉本→武藤、関根→汰木、エヴェルトン→長澤、山中→宇賀神、岩波→橋岡とスタメン6名入れ替え。なお関根は今節出場停止。とにかく前節フル出場の柏木の連闘がビッグサプライズ!! しかも前節後半に続いて柏木をCHに配したことで二度ビックリ!! ミシャ時代から在籍する選手がゾロゾロとスタメンに並び、世代交代どころか一段と高齢化したような(苦笑)。
・ベンチメンバーはサブGKが再び福島に戻っただけで、スタメン&ベンチメンバーとも総じて新味無し。
・一方FC東京(以下「瓦斯」)は前節から中2日で中村帆→中村拓、オマリ→森重、バングーナカンデ→小川、品田→三田、内田→安部、オリヴェイラ→レアンドロ、アダイウトン→永井とスタメン7名入れ替え。なおディエゴ・オリヴェイラが出場停止。
・また瓦斯は東が故障で長期離脱中。さらに橋本と室屋が海外へ移籍したので、前回対戦時から1/3くらい選手が入れ替わった感じがします。
《試合展開》
・どちらもカウンターに持ち味があり、ボールを持たされると手詰まり感漂う似たもの同士らしい序盤で、どちらかといえばボールをより多く持たされたのは浦和のほう。浦和は積極的に前に出て高い位置でボールを回収し、汰木がドリブルでボックス内に突入したり、武藤がミドルシュートを試みたりと活発に動いてはいました。
・瓦斯の布陣はいつもの4-1-2-3ではなく、4-4-2ないしレアンドロがやや下がった4-4-1-1のように見えました。浦和のボール保持に対しては永井を前に残して4-5-1で守備ブロックを形成。
・ミシャ時代から在籍する選手をゾロゾロと並べただけあって、エリア付近でのフリックやスルーなど選手間の阿吽の呼吸に頼りまくった「ミシャの残り香」っぽい攻撃がまま見られましたが、ボールを保持した状態からは結局決定機は生まれず、決定機は19分自陣深い位置でボールを奪ってからのカウンター(柏木→武藤→興梠のシュートは枠外)=もともと浦和が得意とする形だったという皮肉な結果に。
・柏木はCHでしたが前節ほど「柏木全権委任システム」っぽい感じはせず、これまでのやり方の中でCHとしてふるまっている感じ。予想以上に柏木が守備で頑張っていて19分の決定機にも自陣でちゃんと守備に参加してボール奪取に寄与していましたが、総じて柏木CH起用というリスキーな選択をした割にはボールを持たされた時に何かが起きるという感じもせず、リスクの割にはリターンが少ないような気も。
・それでも瓦斯は浦和以上にボールを持たされると何もできない印象で悪くはないと思いましたが、34分槙野が縦パスを目の前のレアンドロにカットされ、そのままレアンドロにボックス内突入&シュートを許してヒヤリ(西川セーブ)。
・そして運命の37分、イーブンなこぼれ玉に対して柴戸がA・シルバに競り負けたのを契機に右SB中村が低いクロス。これはデンが楽々クリアと思いきやデンのクリアが不十分すぎて目の前のレアンドロに渡した格好になり、レアンドロ→永井と繋がれて永井のシュートはいったん西川が防いだものの、跳ね返りを再度永井に詰められて失点。
・とにかくデンのクリアミスが痛恨事でしたが、柴戸がボールを失った際に柏木がバイタルエリアをカバーする素振りすらないとか、はるか後方から駆け上がってくる中村を汰木が漫然と見送っているとか、デンのクリアミス以外にも失点の遠因がままあったような。
・これで先制されると滅法弱い浦和が、先制すると滅法強い瓦斯に先制されるという最悪の展開に。46分には中村の縦パス一本で永井が槙野の裏を取り、永井の折り返しからレアンドロに決定機(西川正面でセーブ)。
・浦和は瓦斯守備陣を崩せる気配すらなく、やむなく宇賀神がミドルシュートを放つも枠外。48分宇賀神クロス→ファーで橋岡ヘッドで折り返して興梠ボレーの決定機も中を固める瓦斯守備陣が楽々ブロック。その直後には瓦斯のロングフィードを西川が前に出てクリアしようとするもレアンドロにぶつけてしまう最近の「西川あるある」を披露。
・後半に入ると瓦斯の厳しいプレッシャーに晒されてビルドアップは全く形を成さず、ショートカウンターから決定機を許さないのが精一杯という惨状。なんとか「柏木全権委任システム」で低調な戦局を打開しようとしているっぽいのですが、柏木が見事に消されてただ浮遊している状態に。
・66分長澤→マルティノスでサイドアタックに活路を見出そうとするも、マルティノスはボールをこねこねしながら中へサイドへと誰とも連動することなく動き回ってチームは一段と混迷。敵味方とも予測不能なマルティノスのふるまい。まさにこれが「マルプンデ」の真骨頂。しかし、それでも75分にマルティノスが右サイドからアーリークロス→興梠ヘッドで決定機を演出。これが後半唯一の決定機。
・76分汰木→レオナルド(武藤左SH)の交代はなんら効果なし。そして84分には宇賀神に代えて山中を投入したのみならず、とうとう柏木を諦めて杉本を投入し、4-3-3ないし4-1-5ともとれる「アタッカー祭り」を試みる(=要するに中盤にいるのは柴戸のみ)も、前線までボールが渡らないので前にアタッカーを並べても全く意味がなく、杉本目掛けてのパワープレーもこぼれ玉を拾う選手がいないので完全に徒労に終わってそのまま試合終了。
・後半の瓦斯の決定機も77分にショートカウンターからレアンドロの枠内シュートがあったくらいでしたが、なにせ全く怖さがない浦和の攻撃をしっかり守備ブロックを作って中央で弾き返せばいいだけなので事故さえなければ1点で十分という感じの試合運び。傷んだ選手、イエローをもらった選手、お疲れの選手を順次代え、代打の切り札=アダイウトンを使うまでもなく交代枠を一枚余らせて悠々逃げ切り勝ち。浦和から見れば1点が滅茶苦茶遠い、絶対に追いつけそうにないウノゼロ。
・瓦斯は埼スタで2003年以来17年ぶりに勝ったのみならず、対浦和シーズンダブル達成。MXの「瓦斯魂」が健在ならさぞかしお祭り騒ぎだったことでしょうが、もはや悔しくもなんともない当然すぎる敗戦でした。
《総評》
・選手のミスでしょーもない失点を喫した後は、徹底的にボールを持たされてなすすべなく敗戦。前節横浜FCは本来ボールを持ちたがるチームなのにあえて相手にボールを持たせる策を採ったのに対し、今節の瓦斯はただでさえ相手にボールを持たせてのカウンターが持ち味のチームなので、浦和がボールを持たされる羽目になって時点で劣勢は必至。
・よって味スタでの対戦時の前半のように、ボールを押し付け合ってその過程で「一瞬でも隙を見せたら負け」と言わんばかりの睨み合いを延々と繰り広げ、共に攻撃に変にリスクをかけず、ボールを持ったところで共に全く何も起こらないまま時間だけが流れてスコアレスドローで試合終了というのが今の浦和の実力で出来得る最善策だったと思います。
・ところが試合終了後に大槻監督が「前半、ボールを握ってボックスの中にも入った形はありましたけども、そこのところを表現し切れなかった」とか武藤が「逆にボールは持てるだろうというのは試合前からありました。」と語っているのを見ると、瓦斯に対して浦和は積極的にボールを握りにいったようなニュアンスが汲み取れます。そして柏木CH起用もその狙いに整合しています。
・しかし瓦斯に対して縦横斜め、どこから見ても劣勢な立場にある浦和がわざわざ瓦斯の得意な試合展開に持ち込もうとするのがなんとも不可解。
・今年の浦和はハイプレスで相手のビルドアップを制約し、中盤でボールを奪い取ってから一気にガーーーっと攻める形を志向していたはずで、それすら下位チーム相手に辛うじて勝つ程度にしか成熟していませんでした。にも関わらず、これではボールを持たされたら詰むからといって、ボール保持時の訓練に入るって前節も述べたように、「守破離」の「守」すら満足に出来ていないのにいきなり「破」に取り組もうとする馬鹿げた試みとしか思えません。
・大槻監督は試合前後のコメントで「試合で表現したかった」というタームをよく使いますが、その表現の内容が試合毎、あるいは試合中ですら一貫性があるようには見えず。
・ボールを握ったというか持たされた時の打開策として繰り出したはずの「柏木全権委任システム」は瓦斯相手もほとんど機能せず。柏木全権委任システムが輝いたのは所詮昇格組&このシステムを予期していなかったであろう相手だからであって、J1上位相手では肝心の柏木がほぼ消されて、柴戸等柏木をフォローしている選手が空回りに終わる負の側面のほうがでかかったという気も。
・それ以上にミシャ以来の古参兵をずらずらと並べて、その選手間でのコンビネーションでなんとかしようとしているのが見え隠れしているのがなんとも辛い。コメントを読む限りでは武藤なんてそれで満足し、可能性を感じているようなのですが、それは昨年完全に行き詰まった道でしょうに。
・そして柏木全権委任システムが夢幻に終わったと思ったら、今後はゼリコばりのアタッカー祭りを再現するとは!!
・監督就任以来1年半もかかって未だに絶賛迷走中で、確固たるチームスタイルは一向に浮かんでこない。土田SDはこの惨状についてどう思っているのやたら?
《選手評等》
・失点に直結するミスを犯したデンですが、その前からちょろちょろ怪しいプレーが目についたのを見ると、前節右SBで酷使した後にCBで連闘させた無理が祟ったのかも。槙野にいたっては11連闘ですが、名古屋戦で鈴木をローテーション的な意味合いでスタメン起用したら大惨事に陥ったのが大槻監督の脳裏にこびりついて離れないのかも。
・柴戸も失点の契機となった「球際での競り負け」などらしからぬプレーが目立ちましたが、青木の故障で柴戸を無理やり使い続けた挙句に疲労困憊なのでしょう。
・40分柏木が三田の悪質なタックルで削られて傷んだ際に、なぜかベンチからマルティノスが一人飛び出してきて怒りを露わにし、主審に注意される一幕が。そして84分には左サイドで槙野と宇賀神がお見合いしたために高萩に楽々ボールを運ばれてしまった大失態があり、プレーが切れた後にマルティノスが左サイドを見ながら大激怒!! たぶんお見合いの後に全然戻ってこない槙野に対して怒っているのだろうと思いますが、マルティノスっていつからこんなに熱いキャラになったのか非常に不思議。
・今日も今日とてクソまみれの試合でしたが、途中投入で後半唯一の決定機を演出したことも合わせてマルティノスに敢闘賞。
---興梠--武藤---
汰木--------長澤
---柴戸--柏木---
宇賀神-槙野-デン-橋岡
-----西川-----
(交代)
66分 長澤→マルティノス
75分 汰木→レオナルド(レオナルドがFW、武藤が左SHへ)
85分 宇賀神→山中
85分 柏木→杉本(4-3-3? 4-1-5?)
--レアンドロ--永井---
田川--------三田
---安部--シルバ---
小川-森重-渡辺-中村拓
-----林------
(得点)
37分 永井
(交代)
HT 田川→内田
68分 三田→原
75分 永井→髙萩
88分 中村拓→中村帆
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