【DAZN観戦記】20年第26節:広島 1-1 浦和 ~ JFKもさすがにこの引き分けは受け入れるべきだろう・・・
・試合開始早々に先制点を奪った後は自陣で耐え忍ぶ時間帯がやたら長かったという意味では前回対戦時と似た試合でしたが、浦和も決してやられっ放しではなかったどころか追加点を奪える好機もあり、ドローは妥当な結果かと。ほぼスタメン固定はさすがに無理がありましたが。
《スタメン》
・浦和は前節大分戦から中2日(しかもその間大分からいったん浦和へ戻って広島へ移動!)、かつ前節の試合内容は芳しくなかったにも関わらず、スタメンの入れ替えはなんと山中→宇賀神のみ! しかもサブにレオナルドがいないという超サプライズ!! レオナルド小破orコンディション不良としか考えられないのですが、その代わりに武富がベンチ入り。
・広島も前節から中2日ですが、こちらは第24節から中3日、中2日、中2日での4連戦を強いられているため、スタメン固定傾向が強い広島もやむなく前節仙台戦でスタメン9人を入れ替える大胆なターンオーバーを敢行。そして今節のスタメンは森島&荒木&茶島以外の8人を再び入れ替えて主力を揃えた格好に。
《試合展開》
・試合開始早々の3分、マルティノスのアーリークロスをボックス内で受けた興梠が巧みにCB野上を交わしていきなり先制。後方から野上の前にさっと入り、完璧なトラップから腰をぐいっとひねってGKの股間を抜くなんて興梠じゃないと難しい匠の技!!
・城福監督は「自分がこのチームで経験した中でも一番良くない試合の入りをしてしまったなと思います」と悔やんでいますが、浦和の先制点はファーストチャンスを決めたもの。何度も決定機を作った挙句の得点ではないので、傍目には広島の試合の入りが滅茶苦茶悪かったとは思えないのですが、広島は先制点を取られて相手に引かれる展開がとにかく苦手なので、城福監督のボヤキも判らなくはありません。
・早々に先制点を取られた広島は序盤から猛攻を仕掛け、浦和は前回対戦時同様自陣で耐える展開に。6分には茶島が野上とのワンツーで右サイドを攻略、7分には佐々木が森島とのワンツーで左サイドを攻略したものの、浅野のシュートは共に枠を捉えきれず。
・序盤の浦和が非常に危なかったのはサイドを攻略された場面ではなく、広島の前プレを受けてからの自爆ボタン連打。14分には西川のパスを森島にカットされ、22分には長澤が緩いバックパスをペレイラに奪われる大失態。後者は波状攻撃を浴びた挙句に佐々木のミドルシュートがディフレクトしてヒヤッとさせられました。危険なパスミスが多かったのはやはり中2日でお疲れだったせいかも。
・しかし、浦和は飲水タイムを挟んで反撃開始。久しぶりに2トップ&マルティノスの3人で広島の3バックに前からハメに行く形が見られるようになり、30分にはマルティノスのパスカットから武藤→長澤と繋ぐもシュートはGK正面。31分にはエヴェルトンのボール奪取から長澤の縦パスがアーク付近にいた汰木に通り、興梠のフィニッシュに繋がる場面がありましたが、シュートはDFに当たって枠外。
・浦和は茶島に対して汰木、柏に対しては橋岡が主に対峙して序盤以外は両WBに決定機を作られる場面はほとんどありませんでしたが、浦和守備陣が後ろに人数をかけ過ぎるせいか、後方から上がってくるCB野上にどフリーで何度もクロスを入れられているのが気になりました。しかし、クロスを受けたペレイラのシュートは全く枠を捉えられず。
・後半も開始早々に浦和にビッグチャンス。49分深い位置からの橋岡スローインからボールを繋いでセンターライン付近からマルティノスが単騎激走!!遅れ気味ながらも佐々木が併走しているのが気になったのか、残念ながらシュートはわずかに枠外。
・広島は60分浅野に代えてヴィエイラを投入したのに対し、浦和は62分にマルティノス→関根、武藤→杉本、さらに72分エヴェルトン→青木と代えましたが、中2日で連闘を考えればこの早めの交代はやむを得ないと思います。ただ投入された選手達の出来は芳しくなく、正直期待外れただったのも否めず、浦和は完全に攻め手を失ってしまいました。
・それでも広島の攻勢を何度も中央で弾き返してさしたる決定機は与えていませんでしたが、76分槙野のクリアは真上に上がり、さらに青木のクリアは不十分でヴィエイラに拾われたのが致命傷となり、ペレイラの一発を浴びてしまいました。シュートは汰木と槙野の間の狭いところから飛んできたので西川には見えにくかったのかも。
・おまけに68分関根がペレイラのシュートをブロックした際に小破してしまい、80分にやむなく武富と交代。武富は本来レオナルドの代わりのFWとしての交代要員だったはずで、SHでの起用はやや気の毒な面もありますが、それを勘案しても武富の行方不明ぶりには参りました。また疲労困憊でボールキープもままならない興梠に代わって杉本がなんとか最前線でボールをキープしようと奮戦するも、後方からのフォローがないに等しいので徒労に終わるばかり。
・ところが広島が87分に最後の勝負手として左WBに送り出したエゼキエウの出来もこれまた酷くて、浦和右サイドでとんでもなく低レベルの攻防が繰り広げられたまま、何のハプニングもなくそのまま試合終了。
《総評》
・シュート数こそ16対5と大差が付きましたが、シュート数の割には広島がGK西川を脅かした回数は多くありませんでした。試合後興梠が「でも中盤で回されているだけで、最終的に危ないシーンを作られているかと言えばそうではない」と語っているのも決して負け惜しみではなく(負けてはいないのだが)、実際その通りだったと思います。
・浦和が早い時間帯に先制し、その後浦和が自陣で耐え忍ぶ時間帯がやたら長かったという意味では前回対戦時と似たような試合展開ですが、前回対戦時は西川のビッグセーブ連発でなんとか完封したのに対し、今回は決定的に危ない場面の数が激減しています。また前回対戦時はまさに守っているだけで攻め手皆無だったのに対し、今回は追加点を取れる好機もありました。
・従って試合内容は勝った前回より引き分けに終わった今回のほうが格段にマシで、超遅まきながら浦和の成長を証明できた試合だったと思います。むしろ相変わらず相手に引かれると弱い広島のほうに停滞感を感じました。城福監督は試合後悔しさを露わにしていましたが、いくらなんでもこの結果は受け入れざるを得ないかと。
・とはいえ、前回対戦時より内容はずっと向上しているのに浦和が勝ち点3を取れなかったのも、それなりに理由がある話。興梠が言うように端的には「2点目を取れるチャンスがありながら取れないというのがいまのチームの課題」なのでしょうし、それ以前に大槻監督が「守から攻のトランジションのところや、もう少しボールを握る時間があっても良かった」と悔やむ通り、守っているだけの時間があまりにも長すぎては勝ち点3は難しいのだろうと思います。
・また浦和の終盤のヘロヘロっぷりは目に余るものがあり、これはどこからどう見ても長距離移動付きの中2日でスタメンほぼ固定という無理が祟ったものと言わざるを得ません。ただ後半投入された選手の出来を見るとスタメンを代えようにも信頼に値する控え選手がいないので代えられない現状を踏まえたものなのかもしれません。
・超遅まきながら大槻監督のやりたいことがはっきりしだして、それを実現できるスタメンが固まってきたのは慶事でしょう。その結果中堅クラスの相手にも簡単に負けなくなったことは評価に値します。ただ如何せん試行錯誤に費やした時間が長すぎて、シーズン終盤に至ってもやりたいことを実現できるメンバーがワンセットしか揃えられないのが現状であり、それがこの試合で勝ち点3が取れなかった根本原因だと思います。
・ボトムハーフ相手のアウェー連戦で積み上げた勝ち点はわずか2に留まり、浦和は残り7試合で4位C大阪との勝ち点差は7(かつC大阪は試合数が一つ少ない)ので、監督や選手達がなぜかうわごとのように口にするACL圏入りはかなり難しくなりました。でも、これまでの試行錯誤に費やした日数と試合結果を考えればACL圏外になるなんて至極妥当な話で、昨年残留争いしていたチームがトップハーフ入りで終わるならそんなに悪い話でもないかと。
《選手評等》
・先制点をいきなり決めた興梠に殊勲賞。フィニッシュに至る全過程が素晴らしすぎて、興梠じゃないと難しいかと。全てがパーフェクトでした。終盤は最終ライン近くにまで下がって守備に奔走。なんで終盤の守備で目立つのが途中投入の選手ではなく興梠なのか・・・
・マルティノスの守備意識が格段に向上していてビックリ!!(当社従来製品比) 自分のミスで失ったボールはちゃんと自分で取返しに行くし、相手ボール時には下がって守備ブロックにもちゃんと入るし、2トップの動きを見ながら前ハメにもいけるし、橋岡と盛んに何やらコミュニケーション取っている風だし。20分に川辺から柏に横パスが通った後にマルティノスが柏と対峙して防戦なんてちょっと前までは考えられない場面じゃないかと。
・浦和があれだけアホほどマヌケな失点を繰り返していたクロス攻撃に対する耐性がこのところ滅茶苦茶上がっているのが不思議でなりませんでしたが、槙野によると「しっかりとコミュニケーションをとりながら、クロスを上げさせない守備、上げたときの中の守備の修正がここ数試合はものすごくコミュニケーションもとれていますし、ボールホルダーへのプレッシャーも良いですし」と要はコミュニケーションの問題だったことを吐露。デンがスタメンから外れたのは専らこれなのかなぁ????
・この試合の村上主審はやたら笛を吹くタイプ。流しまくるC大阪戦の西村主審とは対照的でしたが、あの笛のおかげでヘロヘロの浦和は随分助かったような気も。しょうもないイエローを取られたエヴェルトンには気の毒でしたが。
---興梠--武藤---
汰木--------マル
--エヴェルトン--長澤---
宇賀神-槙野-岩波-橋岡
-----西川-----
(得点)
3分 興梠
(交代)
62分 マルティノス→関根
62分 武藤→杉本
71分 エヴェルトン→青木
80分 関根→武富(故障による交代)
-----ペレイラ-----
--森島----浅野--
柏-青山--川辺--茶島
-佐々木-荒木--野上-
-----林------
(得点)
76分 ペレイラ
(交代)
60分 浅野→ヴィエイラ
87分 青山→エゼキエウ(エゼキエウが左WBへ、森島がCHへ下がる)
87分 柏→永井(永井がシャドーへ)
※写真は試合に全く関係ありません
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