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2020.11.27

大槻監督、契約満了決定 ~ 2020年シーズンとは何だったのか

・11月25日早朝に浦和が現在リカルド・ロドリゲス氏(現徳島監督)の招聘に動いているという話がスポーツ各紙を飾りました。スポーツ紙のニュアンスは「内定」「条件面などで基本合意」から「候補を一本化」までバラツキがありましたが、ロドリゲス氏も当日浦和からにオファーがあることは認めました。

・そして、早朝のビッグニュースで赤者の興奮冷めやらぬうちに、浦和フロントが昼間になってすぐ「大槻毅監督との契約について2020シーズンをもって満了とし、来シーズンの契約を更新しない」こと、合わせて「上野優作ヘッドコーチ、山田栄一郎コーチ(分析担当)、末藤崇成コーチ(分析担当)についても契約満了」とすることを公表しました。

・2021シーズンの新体制は明らかになっておりませんが、監督どころかコーチ陣まで大幅に入れ替わることを考えると新監督が腹心となる一族郎党を引き連れてやってくることは間違いありません。ただ新監督がロドリゲス氏なのかどうかは如何せん一寸先は闇の世界で、「決定的」と書かれていた話が破談になる例もしょっちゅうあるので、ロドリゲス氏新監督就任を前提とした話はここでは差し控えます。

・ロドリゲス氏招聘話の前に、11月4日に「来季の監督候補として元湘南監督の曹貴裁氏に獲得を打診していることが3日、分かった。」という日刊スポーツのニュースがありました。もっともロドリゲス氏招聘話と違って、曹貴裁氏招聘話は日刊スポーツしかソースがなく信ぴょう性はあまり高くないと思いますが、こういう話が出てくることから大槻監督の続投がないことは割と早い時点で決まっていたと推察されます。

・ここから先は妄想が妄想を呼び、邪推に邪推を重ねたヨタ話なので、そういうのに興味がない方は読み飛ばしてください。

・大槻監督の「2021年も続投」という選択肢なんてそもそもなく(9月末のホーム3連戦3連続完封負け辺りで見切りを付けられた可能性もなくはないのですが・・・)、2020年限りでの契約満了は昨年シーズン終了直後に大槻監督の続投を決めた時点での既定路線だったような気がしてなりません。

・土田SDが就任早々「3年かけてチームコンセプトの明確化に取り組む」という話をぶち上げました。それはそれでもっともな話なのですが、それを具象化するのが新しく招聘した監督ではなく、悲惨な成績、悲惨な内容で2019シーズンを終えた大槻監督の続投なのかがそもそも謎過ぎました。

・「複数年契約の選手が多いので血の入れ替えはままなりませんが、浦和の責任をもってチームコンセプトを明確化すべくひとつヨロシク!! ACL圏入りもお忘れなく!!」なんて虫の良い条件を飲む監督なんて(もともと探す範囲がそんなに広くないこともあって)全くおらず、新監督招聘に失敗した挙句に大槻監督続投が決まっただけなのではないかと。

・ゆえに、土田SDがいう「3年計画」というのは「何をやるにしても血の入れ替えは3年くらいかかります。その間優勝なんて諦めてください」くらいの消極的な意味しかなく、「3年かけてチームコンセプトを明確化する」という積極的な意味なんて持っていないのではないか、実は来シーズンからが本当の「3年計画」の始まりなのだと考えるほうがスッキリします。

Hatesinaku

・この「3年計画非実在論」に立てば大槻監督は何を残そうとしたのか、そして大槻監督が残したものを新監督がどう承継するのか、なんて議論はあまり意味がないことになります。

・「3年計画を必ずしも同じ監督でやる理由はなく、大槻監督が積み上げたものを新監督が継承・発展させればいいのだ!!」という「3年計画実在論」に拘る向きもおられるようですが、浦和の悲しい歴史をつらつらと考えるとそんな合理的かつ壮大な計画が浦和にある訳がないでしょうに、非常に残念な話ですが。

・従ってこの一年はハナからほぼ捨てられた一年、失われた一年だったと思います。もっともミシャ解任以降毎年捨てているようなものなので、別に2020年が特に悪いシーズンでもないのですが。

・大槻監督は土田SDが語る「ボールを積極的に奪い、味方のスピードを生かし、ボールをできるだけスピーディーにゴールに運ぶ。ボールを奪ったら短時間でフィニッシュまで持っていく回数を増やしていく、そういったフットボール」を具象化すべく、たいした補強もない中でそれなりに頑張っていました。(どこまで本気だったのか疑問ですが)ACL圏入りへ向けて試行錯誤を繰り返し、最後は「マルティノス・サイコロの旅システム」に辿り着きました。

・昨年は残留争いに両足どっぶり浸かり、オフにさしたる補強もなかったことを考えれば今年7~10位くらいでのフィニッシュは上出来といっても良いでしょう。

・大槻監督のやろうとしたことは「理詰めのサッカー=再現性の向上」という見方もあるようですが、結局辿り着いたのはマルティノスというパフォーマンスが概して非常に不安定で確率変数的な要素が高い選手への依存だったというのは実に皮肉な結果でした。もっとも意外にもマルティノスのパフォーマンスがなぜか急に安定し、確実に再現性の向上に繋がっているので結果的に問題はなかったのですが。

・ただその過程で「同じような形での失点を繰り返す」「ボールを持たされるとどうにもならない」「フォーメーションが噛み合わない相手にはとことん弱い」といった諸症状が表れ、その打開策として「柏木全権委任システム」という明後日の方向に走りだしてしまうこともありました。そして大量失点を繰り返し、またホームでの勝利にあれほど拘ったにも拘らず今年もやっぱり勝率が悪いという残念すぎる結果が残りました。

・またコロナ禍を受けての超々過密日程をこなすべく、あるいは怪我人多発を受けてやむなく、他チームがバンバン若手選手を起用する一方、浦和は橋岡が昨年に続いてレギュラーを確保しているだけで、若手選手が起用されることは全くと言っていいほどありませんでした。今季伸びた柴戸や汰木の年齢は他チームなら若手とは言わないでしょうし。

・大槻監督及び各スタッフの仕事で評価できるのは、なんと言っても「コロナ禍を受けてコンディション維持に苦しむ選手が多い中で怪我による長期離脱者を出さなかった」ことに尽きます。新監督が何をやるのか全く判りませんし、浦和もどの選手が来年もいるのか判りませんが、少なくとも来シーズンの開幕に間に合わないレベルの怪我人を出さなかったことは評価して良いと思います。

・「3年計画実在論」のシナリオ通りに事が進み、来シーズン末にふり返ってみれば「2020年は失われた一年どころか、浦和再生の下地を作った実に有意義な年だった!!」という話になれば実に嬉しく、それはそれ、これはこれで手首がねじ切れるレベルで手のひらクルクル大回転なのがファン・サポーター心理。でも2020年末に何を感じ、何を考えていたのかちゃんと書き留めておくことは、ナチュラルな歴史修正主義者に陥らないために個人的に重要だと思いました。妄想だらけ、邪推だらけの駄文にお付き合いいただきありがとうざいました。

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