【DAZN観戦記】20年第27節:横浜M 6-2 浦和 ~ 90分間を通じて色々とお恥ずかしいところを表現できたのではないでしょうか?
・中10日と久しぶりにまとまった準備期間があったにも関わらず、中2日の横浜Mに対して空恐ろしいほど無為無策で試合に臨んでものの見事に惨敗。大槻監督に時間を与える意味がないことがこんな形で明るみになるとは(苦笑)。
《スタメン》
・先週末に試合がなく中10日の浦和は前節広島戦と全く同じスタメン。ベンチにレオナルドが戻り、広島戦で小破した関根がベンチ外に。
・一方横浜MはACLの関係で水曜に第31節を前倒しでこなしての中2日。それゆえかどうか、高丘→オビ、松原→ティーラトン、畠中→伊藤、マルチンス→實藤、喜田→扇原、天野→オナイウ、松田→水沼、M・ジュニオール→J・サントス、エリキ→前田とGKを含めて9人もスタメンを入れ替え。前節と連続してスタメンなのは和田と小池のみ。ベンチにはエリキもM・ジュニオールも不在。
《試合展開》
・試合開始早々浦和左サイドでオナイウ縦パス→J・サントスがポスト→オナイウが中へ斬りこんでボックス内からシュートに持っていかれる場面がありましたが、終わってみればこの時点で浦和惨敗の要素がてんこ盛り。長澤がオナイウを潰しきれず、J・サントスに対応しようとして槙野が前に出たものの何の役にも立たず、オナイウに槙野の裏を突かれる。振り返ってみればこの試合、そんな場面だらけだったような気がしました。
・2分、長澤が敵陣でオナイウを潰せなかったのはともかく、なぜか槙野まで加勢に出たのがそもそも謎。しかもオナイウの縦パスをタッチ際で受けた水沼の縦パスを受けたJ・サントスへの岩波の対応が実に珍妙で守備にも何にもなっておらず、あっさり西川のニアをぶち抜かれてしまいました。
・10分水沼が右サイドからどフリーでクロス→クロスの先にはJ・サントス、オナイウ、前田と3人いる一方、浦和は岩波・橋岡の二人だけという絶望的な状況でファーの前田が詰めて2点目=久しぶりの典型的な「浦和殺し」。水沼がしょっちゅうフリーになるというのもこの試合しばしば見られた現象で、この失点場面では宇賀神は上がって来た小池を見ているので水沼への対応は無理でしょうが、汰木は何をしていたのか???
・そして14分伊藤(?)からの縦パスを受けたJ・サントスを槙野が前に出て潰せずにオナイウに繋がれ、槙野の裏へ走りこんだ小池にオナイウが優しくスルーパス。小池は冷静に決めて3点目。「槙野が前に出て相手を潰しきれず、その裏を突かれる」の再現でしたが、オナイウが浦和両CHとCBの間のスペースを上手く使う場面もこの試合でまま見られ、浦和両CHはいないも同然のようにオナイウにいいようにやられ続けました。
・試合開始からわずか14分間で3失点。その後も浦和の劣勢はなんら変わりませんでしたが、31分に今年最大級の珍プレーが現出。マルティノスのスルーパスをGKオビが前に出てクリアしたところまでは良かったのですが、そのクリアがなんと目の前のCB伊藤を直撃!! しかもその跳ね返りがそのままゴールに吸い込まれて見事オウンゴールというとんでもない珍プレーで浦和がついに反撃(苦笑)。
・GKオビはこれがJ1デビュー戦。9分にも汰木の縦パスを前に出てクリアしたものの、マルティノスに拾われてバー直撃のループシュートを撃たれていましたから、まぁやらかすべくしてやらかした珍プレーという気もしますが。
・でもそんな珍プレーで浦和が一点返したところで試合の流れが一変するはずもなく、37分ボックス内でほぼフリーの水沼のクロスをこれまたボックス内で受けたJ・サントスが決めて4点目。J・サントスのトラップ&ボールキープに対して寄せもせずにただただ見守っているだけの岩波には心底がっかりしました。
・浦和は前半終了間際に武藤のクロスに対して興梠が飛び込むもわずかに合わない場面がありましたが、浦和が自ら作り出した決定機はこれが最初かも(苦笑)。
・大槻監督は後半頭からエヴェルトン→青木、宇賀神→山中と2枚替え。どこからどう見ても横浜Mに対して無為無策すぎて構造的にやられているのに選手を代えてもあまり意味がないでしょうに・・・ というか、あえて選手を代えるなら名古屋戦の鈴木同様、岩波に懲罰的交代があって然るべしと思ったのですが、そこは代えないのが摩訶不思議。横浜Mは前田→松田と交代。
・横浜Mはリードしたらゲームを殺しに来るような芸風は持ち合わせておらず、「攻めてないと死ぬ!!」傾向が強いチームなのが浦和には幸いして後半は終始超オープンな展開(前半はオープンな展開)。53分カウンターからどフリーの水沼のパスをボックス内で受けたサントスに決定機があり、その直後には高い位置でのボール奪取に成功した浦和がマルティノス→長澤クロス→興梠の決定機を掴むも共に決められず。
・大槻監督は56分に武藤に代えてレオナルドを投入。早速61分に汰木のスルーパスを受けてボックス内に突入する見せ場を作りましたが、伊藤に寄せられてシュートコースが狭く、GKオビが難なくセーブ。
・とはいえ、浦和が一発殴ったら横浜Mが3発くらい殴り返してくるような試合展開で、共に順次選手を代えて延々と殴り合いを演じるも明らかに有効打の多いのは横浜Mのほう。浦和は西川の好守でなんとか凌いでいるにすぎず、67分にはオナイウとの壁パスでボックス内に突入した水沼のゴールが決まって5点目。右サイドで水沼がフリー、アーク付近でオナイウもフリーと浦和守備陣は人数がいるものの全員何の役にも立たずにカラーコーン状態。まぁ何度も見た光景ですが。
・その後も浦和の劣勢は何ら変わらず今年2度目の6失点を喫するのも時間の問題という試合内容で、90分カウンターから山中クロス→マルティノスで1点返すものの、その直後にカウンターからまたしてもJ・サントスの一発を浴びてとうとう6失点倶楽部に再加入というか上級会員入りというか・・・
《総評》
・ここ6戦で3勝3分け=6戦負け無し、しかもその間わずか3失点という結果に目を奪われてか、DAZNやスポーツ紙の解説等ではしばしば「好調浦和」と評されていました。
・しかし、引き分けに終わった柏戦こそ試合内容は優に相手に勝っていたものの、勝った鳥栖戦や引き分けに終わった大分戦・広島戦は負けていても全く不思議はなく、ここ6戦の内容を見れば「ホーム3連戦全部完封負け」という最悪期を脱したと見るのが精々。「好調浦和」という評価には非常に違和感がありましたが、横浜M戦でついにその化けの皮が剥がれたのでしょう。
・スポーツ紙等が勘違いするのは別に構わないのですが、浦和自体も「これで良し!」と勘違いして残り試合7連勝でACL圏入りガー!!とか世迷言を言い出したのが間違いのもの。もっともそんな絵空事に近い目標でも掲げないとチームの求心力が保てないのかもしれませんし、営業上無理やり言わされているのかもしれませんが(苦笑)。
・でもこの試合のあんまりな無為無策ぶりを見ると浦和の勘違いは本当なのかもしれません。ルヴァン杯決勝との兼ね合いで先週末は試合がなく、浦和は中10日と珍しく試合間隔が空きましたが、大槻監督はその間何をしていたのでしょう?? 同じようにぽっかり日程が空いた大分の片野坂監督はばっちり浦和対策を組んで試合に臨んだのとはあまりにも対照的。この先大槻監督にキャンプやらなんらかと時間を与えてもほとんど意味がないことがこんな形で明るみになるとは・・・
・一方横浜MはACL絡みで試合を次々と前倒し消化している最中で、この試合はなんと中2日。こちらも今年のACL圏入りはもはやあまり現実的でなく、リーグ戦の残り試合は今年のACLへ向けての調整という意味あいが濃厚。それゆえこの試合はGKを含めて9人もスタメンを入れ替えてきました。
・横浜Mがここまで極端にごっそり選手を代えてくるとは大槻監督も面食らったかもしれませんが、横浜Mのスタメンは割と流動的ですし、しかも選手の個人特性に依存した戦術を採っているわけでなく、それどころか誰が出ても(精度に差こそあれ)やっていることにたいして差はありません。それゆえ「横浜Mが選手を大幅に入れ替えたので大槻監督が準備していたことが空振りに終わった」訳はないと思います。
・そして無為無策で試合に臨んだ結果、J・サントスを潰そうとやたら前に出てくる槙野の裏を突かれる、水沼やオナイウがしょっちゅうフリーになる、後方から出てくる小池を掴まえられないの連続。
・大槻監督は「5レーン理論」とやらを高々と掲げているようで、攻撃面ではそれが着々と実装されつつあるようですが、守備面ではその「5レーン理論」の権化みたいな相手にここまで無為無策とはなあ(苦笑)。浦和は初めてそんな相手と闘ったチームであるかのように無残にも粉砕されました。
・槙野の「一人一殺」系守備はオルンガみたいな判りやすいターゲットがいるチームには効きますが、横浜Mのように後方から攻め手がワラワラ沸いてくるチームには往々にして槙野がCFに食いついたその裏を突かれがち。そしてこの「一人一殺」はゾーンディフェンスと思想が真逆という悲劇。
・結局浦和の守備が改善したように見えたのはたまたま相手との噛み合わせが良かったとか、大分や鳥栖みたいな相手の火力不足に助けられたとか、そんな感じでしかなかったのかも。
・この惨敗を受けてさすがに「ACL圏ガー!!」なんて世迷言を宣う人もいなくなるでしょうから、残り試合は正真正銘の消化試合に。浦和は残り試合ホームで来年の残留争いのライバルになりそうな湘南と札幌に勝つことが来年へ向けての最低タスクでしょうか。また若手を積極的に試合に使うのも良いでしょう。
・そしてフロントは後任監督を真面目に探すべきでしょう。もっとも「金がない」という理由で大槻監督続投になってしまう可能性が少なからずあるというのがいやはやなんとも・・・今年はMAX7位、悪くても10位でフィニッシュという結果が見えてきましたし、昨年残留争いに両足どっぷり浸かっていたことを考えれば今年の大槻監督の仕事も許容範囲内と観る向きもいるかと思いますし。
《選手評等》
・正視に耐えない、実に無残な試合でしたがそんな中でもマルティノスと西川はよくやっていたと思います。
・この惨敗を受けて大槻監督は中3日で迎えるアウェー神戸戦はさすがにスタメンを弄らざるを得ないでしょう。特に鳥栖戦から失態続きでなんでスタメンで起用され続けているのかさっぱり判らない岩波はデンに代えて然るべきと思いますが。
・オナイウはこんな浦和に戻らなくて本当に良かったと、「浦和を出る喜び」を噛みしめていたんだろうなぁ、きっと。
・横浜Mの控えクラスの選手にとって、ACLへ向けて実に有意義な練習試合になったかも。もうユースと試合をやって軽く汗を流しているも同然。いやユースの方がトップチーム相手にまともな守備をするかも(苦笑)。
---興梠--武藤---
汰木--------マル
--エヴェルトン--長澤---
宇賀神-槙野-岩波-橋岡
-----西川-----
(得点)
31分 オウンゴール
90分 マルティノス
(交代)
HT 宇賀神→山中
HT エヴェルトン→青木
56分 武藤→レオナルド
78分 興梠→杉本
87分 汰木→武富
前田---サントス---水沼
-----オナイウ-----
---扇原--和田---
ティーラトン-伊藤-實藤-小池
-----オビ-----
(得点)
2分 J・サントス
10分 前田
14分 小池
37分 J・サントス
67分 水沼
90+1分 J・サントス
(交代)
HT 前田→松田
58分 ティーラトン→高野
74分 オナイウ→大津
74分 水沼→仲川
84分 和田→渡辺
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